ラランの試み                       戻る

 Y=aXn の形の関数は、技術の分野で、よく使われる関数である。
n=2 のときは、Y=aX2 で放物線を表し、n=0.5 のときは、 となる。
この関数のグラフを、等分目盛の座標方眼紙に書くと、いろいろな曲線の形が得られる。

 
  (注意) これらの曲線は、便宜上 a>0
       と仮定した。

   このように、単にグラフの概形を書いて、
  その美しさを堪能するだけならば、それは
  それで一つの数学である。
   しかし、技術の世界では、このグラフを利
  用して、物事の判断をしなければならない。
   そのとき、いくつかの難しい点が出現する。
  a や n の値がいくらか複雑なとき、このよう
  なグラフを書くことは、非常に困難であるとい
  うこと、そして、そのグラフで値を読み取る計
  算の場合、十分な精度を得ることができない
  ということである。


 1843年ラランは、曲線を直線に変換する考えを提出し、このことより、時間の大きな節約
と計算精度の非常な向上をもたらした。
 対数目盛を、X軸、Y軸に用いる。(原点からの距離 logX に新しい目盛Xを対応させる。)
このとき、関数 Y=aXn は単に一次関数 Y=nX+a に変換される。

例 関数 は、一次関数 Y=(1/4)X に変換される。両者のグラフは次のようになる。 

 

   グラフが簡単にパソコンで描け
  る現代にあっては、ラランの試み
  は時代遅れという批判を受ける
  かもしれない。


しかし、グラフを使って、精密に計算をやろうという彼の試みは、現代に生きる我々が忘れ
てしまった大切なものを思い出させてくれる。何でも楽をしようとする我々に対する警鐘で
もある。

(参考文献:コロソフ著 木村君男 訳 数学課外よみもの(東京図書))