数の組合せ2                               戻る

 1 から 8 までの8個の異なる数を、2つの集まりA、Bに振り分ける。ただし、A、Bのどの
集まりにおいても、次の性質を持つようにしたい。

    どんな3つの数を選んでも、互いの差は全て異なる

8個の異なる数を、2つの集まりA、Bにどう振り分けたらよいのだろうか?

































(答)  { 1、2、5、6 } と { 3、4、7、8 } または { 1、3、6、8 } と { 2、4、5、7 }
   または { 1、4、5、8 } と { 2、3、6、7 } と振り分ければよい。

   (未菜実さん、らすかるさんの検証の結果、解は3つのみと判明しました!
                                    (平成17年12月19日付け))

 当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんが、上記の問題を次のように拡張された。
                                      (平成22年6月17日付け)

 1 から 9 までの9個の異なる数を、2つの集まりA、Bに振り分ける。ただし、A、Bのどの
集まりにおいても、次の性質を持つようにしたい。

    どんな3つの数を選んでも、互いの差は全て異なる

9個の異なる数を、2つの集まりA、Bにどう振り分けたらよいのだろうか?


 表現を変えれば(否定?)、次のようになる。

 U={1,2,3,4,5,6,7,8,9}を2つの部分集合A、Bの直和で表したとき、
A、Bの少なくとも一方は等差数列をなす3つの数を含むことを示せ。


 ペントミノさんは、「聴き取り調査」において、

 9部屋のうち、5つの部屋を訪れて宿泊客の性別を確認することで、どこかに同性3人が
等間隔になっているところがある

ことを示された。したがって、FNさんの拡張された問題には解がないことが分かる。

 そこで、FNさんは、問題をさらに次のように拡張された。(平成22年6月19日付け)

 1から n までの自然数を3つの集合A、B、Cに分ける。ただし、A、B、C のどの集
まりにおいても、次の性質を持つようにしたい。

    どんな3つの数を選んでも、互いの差は全て異なる

 このような分け方が可能であるのは、n がどのような場合であるか。


 これについて、当HPがいつもお世話になっているHN「らすかる」さんがプログラムを作っ
て調べられた。(平成22年6月19日付け)

 その結果によると、n=26 のとき、解の一つは、

  A={ 1,2,5,6,12,14,15,17,21 }

  B={ 3,4,7,9,16,18,19,24,26 }

  C={ 8,10,11,13,20,22,23,25 }

で、n=27 では解はないそうである。

 さらに、らすかるさんの探索の結果、n=76 では解がないことが判明したそうである。

探索に要した時間が「17時間10分!」とのことで驚きました。

 なお、n=75 の場合の解の一つは次のようになるとのこと。(平成22年6月20日付け)

  A={1,2,8,10,11,13,17,27,34,35,38,39,45,47,48,50,54,64,71,72}

  B={3,15,16,19,21,25,30,32,33,40,52,53,56,58,62,67,69,70,75}

  C={4,5,12,22,26,28,29,31,37,41,42,49,59,63,65,66,68,74}

  D={6,7,9,14,18,20,23,24,36,43,44,46,51,55,57,60,61,73}


 この問題について、FNさんからの新しい情報である。(平成22年7月24日付け)

 相当難しい問題だったようで、まず、次の定理が成り立つ。

定 理(Van der Waerden)・・・(参考:Van der Waerden's theorem

 自然数 r 、k に対して自然数Nが存在し、N以上の任意の自然数 n に対して次の
ことが成り立つ。

 1 から n までのすべての自然数の集合を、r 個の集合の直和としてどのように表
しても、そのうちの少なくとも1つの集合が長さ k の等差数列を含む。


 この定理によって、存在が保証されたNのうちで最小のものを

      Van der Waerden Number

といい、W( r , k ) で表す。この値は、r≧2、k≧3 でないと実質的な意味はない。

 r≧2、k≧3 のときで、W( r , k )の値が分かっているのは次の6個だけとのこと。

 
W( r , k ) k=3 k=4 k=5 k=6
r=2 35 178 1132
r=3 27      
r=4 76      

 ペントミノさんが示された事実により、W( 2 , 3 )=9 である。

 また、W( 3 , 3 )=27 、W( 4 , 3 )=76 であることも、らすかるさんがプログラム
で示された。

 ここで、W( 2 , 6 )=1132 が証明(確認?)されたのは、2007年であるそうだ。


 この定理をFNさんの提起された問題:

 1から n までの自然数を3つの集合A、B、Cに分ける。ただし、A、B、C のどの集
まりにおいても、次の性質を持つようにしたい。

    どんな3つの数を選んでも、互いの差は全て異なる

 このような分け方が可能であるのは、n がどのような場合であるか。


に適用すれば、

 1 から n までのすべての自然数の集合を、3個の集合の直和として表したとき、

ある自然数Nが存在し、N以上の任意の自然数 n に対して、そのうちの少なくとも

1つの集合が長さ 3 の等差数列を含む。


となる。このようなNのうち最小の値が「27」というわけだ。


 さて、W( 2 , 4 )>34 を示すために、FNさんは、次の問題を提起された。
                                     (平成22年7月24日付け)

 1から34までの自然数全体を2つの集合A、Bの和集合として表し、A、Bともに長さ
4の等差数列を含まないようにせよ。


 パズルとしてはかなり難しいものになるだろうとのことであるが、GAI さんが具体的に解を
求められた。(平成22年7月24日付け)

  A={1,2,4,5,6,10,12,13,15,16,17,21,23,24,26,27,28,32}
  B={3,7,8,9,11,14,18,19,20,22,25,29,30,31,33,34}

 これについて、FNさんが検証され、確かに長さ4の等差数列はなく、W( 2 , 4 )>34 は
確定とのことである。(平成22年7月26日付け)

 W( 2 , 4 )>34 が確定すれば、次は、W( 2 , 4 )≦35 の証明である。即ち

 1から35までの自然数全体を、2つの集合A、Bの和集合として表したとき、A、Bの
少なくとも一方は長さが4の等差数列を含むことを示せ。