最大値
当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
(平成24年3月7日付け)
複素数 z=3cosθ+i・sinθ に対して、y=θ-arg z (0<θ<π/2) の最大値とそのとき
のθを求めよ。
(答) 最大値 π/6 (θ=π/3)
空舟さんが考察されました。(平成24年3月7日付け)
・加法定理で計算した場合: arg z = Arctan (sinθ/(3cosθ))= Arctan
(tanθ/3)
tan(θ-arg z)=(tanθ-tanθ/3)/(1+tanθ・tanθ/3)=2t/(3+t2) (t=tanθ)
t は、-∞から∞までの値をとる。このとき、t= (θ=π/3) において、tan(θ-arg z) は、
最大値 1/ をとる。よって、θ-arg z の最大値は、π/6 となる。
・複素平面で考えてみると、単位円上の点P(x,y)と点Q(3x、y)の偏角の差Qは、単位円を左
右に3倍に引きのばした楕円上にある。
・幾何的に微分をなんとか考えると、
d∠POQ=d∠POX-d∠QOX
=|(dx,dy)・(-y,x)/OP|/OP-|(d(3x),dy)・(-y,3x)/OQ|/OQ
=√{(ydx)2+(xdy)2}/OP2 - 3√{(ydx)2+(xdy)2}/OQ2
ここで、d∠POQ=0 とすると、√の中身は同じで、OP=1 だから、OQ= を得て、
9x2+y2=3 、x2+y2=1 により、 (|x|,|y|)=(1/2,/2)
・t=tanθとおいた時の Arctan(t)-Arctan(t/3)の最大
・f(x)=1/(1+x2) を t/3 から t まで定積分した値の最大
・x=yt とおくと、 dx=tdy で、f(t,y)=t/(1+(yt)2) を 1/3 から 1 まで、yで積分した値の最大
これは、
1/π倍すると半減値γ=1/t をパラメーターとするコーシー分布にて、p (a≦X≦b) が最大
⇔ 半減値γ=√(ab) ⇔ このとき、f(√(ab)) も最大
となるようです。(天下りですが..)今回では、a=1/3、 b=1で、γ=1/、 t=
実は、「畳み込み」の答えもコーシー分布です。それでちょっと思い出した次第です。
よおすけさんによる解答です。(平成24年3月10日付け)
加法定理により、 tan(θ-argz)=(tanθ-tan(argz))/(1+tanθ・tan(argz))
ここで、θ≠π/2 だから、 tan(argz)=sinθ/3cosθ=(1/3)tanθ
よって、tan(θ-argz)=(tanθ-(1/3)tanθ)/(1+tanθ・(1/3)tanθ)
=(2/3)tanθ/(1+(1/3)・tan2θ)
=(2/3)/((1/tanθ)+(tanθ)/3)
相加平均・相乗平均の関係から、 1/tanθ+(tanθ)/3≧2√{(1/tanθ)・tanθ/3}=2/
これより、 tan(θ-argz)≦1/
ここで、等号が成り立つ条件は、 (1/tanθ)=(tanθ)/3 より、 tan2θ=3
よって、 tanθ=± で、0<θ<π/2 より、θ=π/3
以上から、θ=π/3 のとき、tan(θ-argz)の最大値は、1/ となり、その時、y=θ-argz
の最大値はπ/6 となる。