回覧板3                                  戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                      (平成25年12月28日付け)

 今年もあと僅か。1年365日は1週間(7日)の繰り返し。そこで下図の如く、7階建ての7つ
横並びの棟をもつマンションに49世帯が暮らしているところを想像してもらおう。
(各マス内に一家族が住む)

    

[第1問]
 西側端1Fに住むAさんは、右隣の部屋か、もしくは真上の部屋かに回覧板を回してもらう。
次に回覧板を受け取った人も同様にその部屋の右隣か、真上の部屋に回してもらうように
依頼する。こうして回覧板が、東側端7Fに住むBさんのところへ達したとすると、回覧板が
辿った経路は何通りできるか。

[第2問]
 上記の回覧板の回し方を、右の部屋か、真上の部屋か、右斜め上の部屋から選んで回し
てもらう規則にすると、Aさん宅からBさん宅へ回覧板の辿る経路は何通りか。

[第3問]
 回覧板回しをその部屋から次へ渡すのを右隣か、右上か、右下かの部屋で回してもらう
ことにしたとき、Aさんから出発した回覧板が、東側端1Fに住むCさんの所に達したときの
回覧板が辿った経路は何通りあるか。

[第4問」
 マンション西側端に住む住人(1F〜6Fだれでもよい。)から出発して隣の棟の住人に回す。
ただし、最初は自分の階より高い所に住む家庭に持って行く。つぎに受け取った人は、今度
は自分が住む階より下(4Fに住んでいれば、3,2,1Fいずれでもよい)に住む隣の棟の家
庭に回す。さらに次の人は、今度は住んでいる階より上に住む隣の棟へとアップとダウンを
交互に繰り返し渡していくものとする。
 さて、西端から出発した回覧板が東端の棟に辿り着いたとき、各棟の1Fから7Fの住人が
必ず一家族が含まれるような回覧板の経路は何通りできるか。
(例:西端棟から東端棟へ、4F→7F→3F→5F→2F→6F→1Fの住人を辿る)






















(答) [第1問] 126=924(通り) [第2問] 8989(通り) [第3問] 51(通り)
    [第4問」 272(通り)

   (回覧板といっても、全部の部屋を回らなくてもいいらしい...。)


 GAI さんからのコメントです。(平成25年12月30日付け)

 すべて正解です。(全世帯を回らなかったので他のネーミングが良かったかな?)その中で、
特に、問題2(よくある道の順路に斜めを加えた行き方)の解答数について面白いことを読ん
だので報告しておきます。

P0(x)=1 、P1(x)=x 、P2(x)=1/2 (-1 + 3 x2) 、P3(x)=1/2 (-3 x + 5 x3)
P4(x)=1/8 (3 - 30 x2 + 35 x4) 、P5(x)=1/8 (15 x - 70 x3 + 63 x5)
P6(x)=1/16 (-5 + 105 x2 - 315 x4 + 231 x6) 、P7(x)=1/16 (-35 x + 315 x3 - 693 x5 + 429 x7)
P8(x)=1/128 (35 - 1260 x2 + 6930 x4 - 12012 x6 + 6435 x8)
P9(x)=1/128 (315 x - 4620 x3 + 18018 x5 - 25740 x7 + 12155 x9)
P10(x)=1/256 (-63 + 3465 x2 - 30030 x4 + 90090 x6 - 109395 x8 + 46189 x10)
    ・・・・・・・・・・・

なるLegendre多項式という微分方程式から決まっていく関数があり、そのPN-1(3)の値が、
N×Nでの問題2(右か上か右斜めで進む)での解答数に一致するという。
                               (→ 参考:整数列大辞典「A001850」)

 この場合、7×7のマンションで考察していたので、

  P6(3)=1/16(-5+105*32-315*34+231*36)=8989(通り)

 従って、2×2のマンションなら、P1(3)=3(通り)

      3×3のマンションなら、P2(3)=1/2(-1+3*32)=13(通り)

      4×4のマンションなら、P3(3)=1/2(-3*3+5*33)=63(通り)

        ・・・・・・・・・

以下同様。

 まったく無関係に見えるLegendre(ルジャンドル)多項式と道の行き方が思わぬ所で繋がる
のが不思議でもあり、奥深さを感じてしまう。また、なぜ、x=3 なのかも不思議です。


(コメント) 問題2については、最短経路問題の裏技を活用しましたが、上記のような別解が
      あるとは驚きです。GAI さんに感謝します。


 攻略法さんからのコメントです。(平成26年1月18日付け)

 「A001850」より、 a0=1 、a1=3 、an={3(2n-1)an-1 - (n-1)an-2}/n

 ルジャンドル多項式が満足する漸化式(ボネの漸化式)は、

   Pn+1(x)={(2n+1)xPn-nPn-1}/(n+1)

 ここで、n=N-1、x=3を代入すると、P(3)={3(2N-1)PN-1-(N-1)PN-2}/N となり、同じ漸化式を
満たす。


 GAI さんからのコメントです。(平成26年1月18日付け)

 私もLegendre(ルジャンドル)多項式と道順との関連について興味があったので少し調べて
みました。

 ルジャンドル多項式Pn(x)は、母関数 1/√(1-2xt+t2)=Σn=0〜∞ Pn(x)・tn ・・・・・・・・(*) から
決まり、従って、x=3 と置くと、1/√(1-6t+t2)=Σn=0〜∞ Pn(3)・tn となる。

 左辺の関数をテイラー展開すると、tnの係数がまさにA001850の数列に一致する。

 また、x=5 と置くと、1/√(1-10t+t2)=Σn=0〜∞ Pn(5)・tn となる。

 左辺のテイラー展開で、tnの係数からA006442の数列が出現し、これは格子状を上方、右
斜め上、右横へは2通り(歩いて進むか走って進かの選択ができるとする。)で進むときの総
数を与える。

 さらに、x=7 と置くと、1/√(1-14t+t2)=Σn=0〜∞ Pn(7)・tn となる。同様に、これからA084768
の数列が発生する。

 これの説明に、

 Directed 2-D walks of length 2n starting at (0,0) and  ending on the X-axis using steps
NE,SE,NE,SW and avoiding NE followed by SE.


とあるが、これがどの様な行き方を意味するのかが判読できませんでした。