質問に対する回答(15)                    戻る

 当HPの掲示板「出会いの泉」に平成24年3月3日付けでHN「GAI」さんが、次のような質
問を書き込まれた。

 カタラン予想(2002年にミハイレスクにより証明)

 不定方程式 xa−yb=1 において、x、a、y、b>1を満たす自然数解の組み合わせは、

 x=3、a=2、y=2、b=3 だけである。

 これを真似て、ガウス整数(a+b・i a、bは整数)まで数を広げて、

 2つのガウス整数 Z,Wで、Z2−W3=i (虚数単位)や Z2−W3=-i 、Z2−W3=-1

の条件を満たすものがあるかご存知の方お知らせ下さい。また、存在するなら、具体的な

Z,Wを教えてください。



 この質問に対して、空舟さんが考察されました。(平成24年3月3日付け)

 Z、W の実部、虚部が100以下の範囲でちょっとしらみつぶしに調べてみました。

<script>var d2=[],d3=[];
function t2(x,y){d2[[x,y]]=true;
if(d3[[x+1,y]]||d3[[x-1,y]]||d3[[x,y+1]]||d3[[x,y-1]])
document.write("["+x+","+y+"], ");}
function t3(x,y){d3[[x,y]]=true;
if(d2[[x+1,y]]||d2[[x-1,y]]||d2[[x,y+1]]||d2[[x,y-1]])
document.write("["+x+","+y+"], ");}
for(a=0;a<100;a++){for(b=0;b<=a;b++){
var a2=Math.abs(a*a-b*b),b2=2*a*b,
a3=Math.abs(a*a*a-3*a*b*b),b3=Math.abs(3*a*a*b-b*b*b);
t2(a2,b2); t3(a3,b3); t3(b3,a3);}}
</script>

出力は [1,0], [1,0], [0,1], [0,2], [9,0], [0,12168], でした。

 確かに、12168=23・32・132、 12167=233 なので、12168i=(78+78i)2 、 12167i=(-23i)3

ということになります。なかなか自明でない解があるようです。


 S(H)さんが類似問題を提起されました。(平成24年3月4日付け)

 整( Z ,Z[i]....etc) 係数多変数高次不定方程式の具体例です。

 Z[i] に於ける不定方程式の解を幾つか求めて下さい。

(1)  Z2 - W3= 260075 + 284642・I

(2) (2 + 8・I)Z7 - W3 = 9738768178276888 - 5580585517745774・I

(此処に、2 + 8・I はガウス素数ではなく、{{-I, 1}, {1 + I, 2}, {1 + 4・I, 1}} です。)

(3) 1111111111111111111・Z7-W3=-411227905033269999958877209242891
                           - 1455413667650415555410014188525996・I

(此処に、1111111111111111111 は、Zに於いて素数で、Z[i]においても素数です。)

  1111111111......111111111・Z7-W3=a+b・i (a+b・i∈Z[i]) で問題を創作して下さい。

(→ 参考:「Catalan's Conjecture」)

 上の各問を、「Eisenstein Integer」に改竄して考察願います。(→ 参考:「Eisenstein Prime」)


 らすかるさんからのコメントです。(平成24年3月4日付け)

 実部、虚部を10000以下まで広げて調べても、他の解は見つかりませんでした。もしかした
ら非自明解は、 (78+78i)2-(-23i)3=i だけかも知れませんね。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年3月4日付け)

 そうなると、そんな気がします。平方数、立法数は原点から離れていくと予想以上にまばら
でした。

 S(H)さんの問(1)に対しては、しらみつぶし法 により、

 (117+86・i)2 = 20124・i+6293 、(-69-19・i)3 = -264518・i-253782 なので、

 (117+86・i)2-(-69-19・i)3= 260075 + 284642・i

を得ました。(2)(3)はちょっと...。


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年3月4日付け)

 代数曲線 k[X,Y]/<27X6 + 54・I・X4 + 36・I・Y3X2 - 27X2 + 4・I・Y6 -  4Y3> (kは複素数体)
の双対曲線を導出過程も明記し求めて下さい。(おそらく世界初の問題です!)

 k[X,Y]/<f*[X,Y]>  f*[X,Y]=________________________.(この方は、グラフ化可)

 f*[X,Y]=0 を満たすガウス整数解は?

 「Catalan's Conjecture」の(3)を凝視し、世紀の予想

 非自明解は、(78+78i)2-(-23i)3=i  だけかも知れない

の真偽を、「PARI/GP」等を駆使し、歴史に残る仕事を為して下さい。


 H.Nakao さんからのコメントです。(令和4年11月24日付け)

[補題1] c を定数とするとき、楕円曲線 E_{c}: y^2=x^3+c の2倍点と加法は、

 2*[x,y]=[9/(4*y^2)*x^4 - 2*x, -27/(8*y^3)*x^6 + 9/(2*y)*x^3 - y]

 [x1,y1]+[x2,y2]
=[(-x1^3 + x2*x1^2 + x2^2*x1 + (y1^2 - 2*y2*y1 + (-x2^3 + y2^2)))/(x1^2 - 2*x2*x1 + x2^2),
((-y1 + 2*y2)*x1^3 - 3*y2*x2*x1^2 + 3*x2^2*y1*x1 + (y1^3 - 3*y2*y1^2 + (-2*x2^3 + 3*y2^2)*y1
+ (y2*x2^3 - y2^3)))/(-x1^3 + 3*x2*x1^2 - 3*x2^2*x1 + x2^3)]

となる。(証明は容易)

[議論]

 I=√(-1)とするとき、不定方程式 Z^2-W^3=I のGauss整数解[W,Z]を求めることは、
K=Q(√(-1))上の楕円曲線

  E_{√(-1)}/K:? y^2=x^3+I

のK-整点[x,y]を求めることと同値である。

 そのためには、E_{√(-1)}/KのK-有理点を求めることが必要である。

 I=-I^3より、 x^3+I=x^3-I^3=(x-I)*(x^2+I*x+I^2)=(X-I)*(x^2+I*x-1) とK上で因数分解でき
るので、

  T=[I,0]

は、E_{√(-1)}/Kの位数2のねじれ点である。つまり、2*T=Oである。

 E_{√(-1)}/KのK-整点をしらみつぶしに探すと、

  T=[I,0]
  P=[-I,I+1]
  Q=[-23*I,78+78*I]

が見つかるが、

  2*P=[7/8*I, 13/32 + 13/32*I]
  2*P+T=[-23*I,78+78*I]=Q

より、2*PはK-整点ではないので、Pは無限位数のK-有理点であることが分かる。

 証明(虚2次体上の楕円曲線の有理点群の議論が必要)はまだできていないが、

  E_{√(-1)}/Kのねじれ点群は、Z/2Z。
  E_{√(-1)}/Kのrankは1以上(おそらく1)。
  E_{√(-1)}/KのK-整点は、おそらくT,±P,±Qのみ。

であると、★予想★できる。

ちなみに、

  P+T=[-1/2*I, -3/4 - 3/4*I]

  3*P=[-17/225*I, -2387/3375 - 2387/3375*I]
  4*P=[-31073/5408*I, -5491823/562432 - 5491823/562432*I]

  3*P+T=[-433/242*I, 9765/5324 + 9765/5324*I]
  4*P+T=[20257/36481*I, 4485468/6967871 + 4485468/6967871*I]

である。

以上をまとめると、以下のようになる。

[事実]
・不定方程式 Z^2-W^3=I のQ(√(-1))-有理数解[W.Z]は、

  [I,0],±[-I,I+1],±[-23*I,78+78*I],
  ±[-1/2*I, -3/4 - 3/4*I],
  ±[-17/225*I, -2387/3375 - 2387/3375*I],
  ±[-31073/5408*I, -5491823/562432 - 5491823/562432*I],
  ±[-433/242*I, 9765/5324 + 9765/5324*I],
  ±[20257/36481*I, 4485468/6967871 + 4485468/6967871*I],
  ....
のように無数に存在する。ただし、I=√(-1)。

[★予想★]
・不定方程式 Z^2-W^3=I のGauss整数解[W.Z]は、

  [I,0],[-I,±(I+1)],[-23*I,±(78+78*I)] のみ。ただし、I=√(-1)。


 H.Nakao さんからのコメントです。(令和4年11月25日付け)

■不定方程式 Z^2-W^3=-I の解 (ただし、I=√(-1))

複素数zの共役(複素数)をz~とし、共役写像をσ:C→C ;? z|→z~とする。

[W,Z]を

  Z^2-W^3=I ・・・  (*1)

のGauss整数解とする。

(*1)の両辺をσで写すと、

  (Z~)^2-(W~)^3=-I

となるので、[W~,Z~]は、

  Z^2-W^3=-I ・・・  (*2)

のGauss整数解である。

このように、σは(*1)の解を(*2)の解に写す。

σの逆写像もσであるので、σは(*2)の解を(*1)の解に写す。

つまり、(*2)の解は、(*1)の解を共役写像σで写すことで全て得られる。



  以下、工事中!