質問に対する回答(12)
平成20年2月21日 高校3年の受験生の方からメールをいただいた。
次の問題に悩んでいるという。
問 題 ax = logax の実数解の個数を求めよ。
悩める受験生を励ますために解いてみた。
(解) 底の条件から、 a>0 (ただし、a≠1)である。
2つの場合に分けて考えることにする。
(1) a>1 のとき、 y = ax は下に凸、 y = logax は上に凸の関数で、ともに増加
関数であり、しかも、直線 y = x に関して対称である。このとき、2曲線の交点は必ず
直線 y=x の上にあるので、
ax = logax の実数解の個数 と ax = x の実数解の個数 は等しい
と言える。
よって、ax = x の両辺の対数をとって、 x・log a = log x から
したがって、左辺のグラフと右辺のグラフの交点の数を調べればよい。
![]() |
の導関数は、 | ![]() |
y’=0 を解いて、 x=e となる。
0<x<e で、y は単調に増加し、x>e で単調に減少する。
さらに、
よって、
のグラフは下図となる。
このグラフと、x 軸に平行な直線 y = log a (>0) との交点の数を調べる。
上図より、
0<log a <1/e すなわち、1<a< のとき、 交点は、2個
log a = 1/e すなわち、 a= のとき、 交点は、1個
log a > 1/e すなわち、 a> のとき、 交点は、0個
(2) 0<a<1 のとき、 y = ax と y = logax はともに下に凸の関数で、ともに減少
関数であり、しかも、直線 y = x に関して対称である。このとき、2曲線の交点は必ずし
も直線 y=x の上だけにあるとは限らない。
例えば、a=0.02 のときは下図のようになり、交点は 3個ある。(微妙ですね!)
y = ax のグラフと直線 y=x は必ず 1点で交わるので、y = ax と y = logax の交
点は少なくとも 1個はあることになり、さらに、グラフの特徴から、交点の数は、1個または3
個である。
いま、2つの曲線の交点で、直線 y=x 上にない点( α , aα )が存在するための a の条
件を求めたい。この条件を満たすとき、2つの曲線の位置関係は下図となる。
直線 y=x 上の点( m , m )において、2つの曲線は交わるものとする。このとき、条件
を満たすためには、点( m , m )における2つの曲線の接線の傾きについて、
が成り立てばよい。このとき、 am=m 、 log a<0 であることに注意して、
m・loga<−1 すなわち、 log m<−1
このとき、 0<m<1/e となる。
ここで、 am=m より、 m・log a=log m であり、
から、関数
のグラフを活用して、 log a<−e となる。このとき、 0<a<e−e が成り立つ。
よって、
0< a <e−e のとき、 交点は、3個
e−e≦ a <1 のとき、 交点は、1個
以上から、求める実数解の個数は、
0< a <e−e のとき、3個
e−e≦ a <1 のとき、1個
1<a< のとき、2個
a= のとき、1個
a> のとき、0個
となる。
(コメント) この問題は、数学Vらしい問題ですね!でも、完全解答を書くのは、現役の高
校生にとっては難しそうな...予感。
平成20年6月29日付けで、HN「だるまにおん」さんから解答の不備のご指摘を頂き、修
正させていただきました。(上記は修正済み)。また、当HPがいつもお世話になっている、ら
すかるさんからもご教示いただきました。だるまにおんさん、らすかるさんに感謝いたします。