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 平成20年2月21日 高校3年の受験生の方からメールをいただいた。

 次の問題に悩んでいるという。

問 題   = logx の実数解の個数を求めよ。

 悩める受験生を励ますために解いてみた。

(解) 底の条件から、 a>0 (ただし、a≠1)である。

 2つの場合に分けて考えることにする。

(1) a>1 のとき、 y = a は下に凸、 y = logx は上に凸の関数で、ともに増加

 関数であり、しかも、直線 y = x に関して対称である。このとき、2曲線の交点は必ず

 直線 y=x の上にあるので、

  = logx の実数解の個数 と a = x の実数解の個数 は等しい

と言える。

 よって、a = x の両辺の対数をとって、  x・log a = log x  から

 

 したがって、左辺のグラフと右辺のグラフの交点の数を調べればよい。

       の導関数は、  

 y’=0 を解いて、 x=e となる。

 0<x<e で、y は単調に増加し、x>e で単調に減少する。

 さらに、

      

よって、

 

のグラフは下図となる。



 このグラフと、x 軸に平行な直線 y = log a (>0) との交点の数を調べる。

上図より、

 0<log a <1/e すなわち、1<a< のとき、 交点は、2個

 log a = 1/e すなわち、 a= のとき、 交点は、1個

 log a > 1/e すなわち、 a> のとき、 交点は、0個

(2) 0<a<1 のとき、 y = a と y = logx はともに下に凸の関数で、ともに減少

 関数であり、しかも、直線 y = x に関して対称である。このとき、2曲線の交点は必ずし

 も直線 y=x の上だけにあるとは限らない。

 例えば、a=0.02 のときは下図のようになり、交点は 3個ある。(微妙ですね!)

       

 y = a のグラフと直線 y=x は必ず 1点で交わるので、y = a と y = logx の交

点は少なくとも 1個はあることになり、さらに、グラフの特徴から、交点の数は、1個または3

個である。

 いま、2つの曲線の交点で、直線 y=x 上にない点( α , aα )が存在するための a の条

件を求めたい。この条件を満たすとき、2つの曲線の位置関係は下図となる。

          

 直線 y=x 上の点( m , m )において、2つの曲線は交わるものとする。このとき、条件

を満たすためには、点( m , m )における2つの曲線の接線の傾きについて、

 

が成り立てばよい。このとき、 a=m 、 log a<0 であることに注意して、

 m・loga<−1 すなわち、 log m<−1

 このとき、 0<m<1/e となる。

 ここで、 a=m より、 m・log a=log m であり、

 

から、関数

 

のグラフを活用して、 log a<−e  となる。このとき、 0<a<e−e が成り立つ。

よって、

 0< a <e−e のとき、 交点は、3個

 e−e≦ a <1 のとき、 交点は、1個

以上から、求める実数解の個数は、

 0< a <e−e のとき、3個

 e−e≦ a <1 のとき、1個

 1<a< のとき、2個

 a= のとき、1個

 a> のとき、0個

となる。


(コメント) この問題は、数学Vらしい問題ですね!でも、完全解答を書くのは、現役の高
      校生にとっては難しそうな...予感。

 平成20年6月29日付けで、HN「だるまにおん」さんから解答の不備のご指摘を頂き、修
正させていただきました。(上記は修正済み)。また、当HPがいつもお世話になっている、ら
すかるさんからもご教示いただきました。だるまにおんさん、らすかるさんに感謝いたします。