第1章 資料の整理                        目次に戻る

1.資料の整理  あるクラス(50人)の実力テストで次のような得点結果となった。

 60、63、42、7、39、40、92、41、45、88、55、30、22、85、82、50、40、51、75、58、33、42、
 21、95、62、55、62、42、50、30、78、41、72、60、11、24、35、25、73、46、93、34、67、75、
 13、0、55、47、99、46

 上の点数の羅列では、個々の生徒の得点状況は分かるが、集団としてどのような特徴が
あるのか分かりづらい。そこで、上のデータを種々の表にまとめることを考える。

(1) 度数分布表  階級は10個位が適当である。

階級 度数計算 度数
 0〜 9    
10〜19    
20〜29    
30〜39    
40〜49    
50〜59    
60〜69    
70〜79    
80〜89    
90〜99    
   まず、上のデータから度数計算をし
  て度数を記入する。

   度数計算には、「正」の字を利用す
  るなど、いろいろな記号が用いられる。

  (→ 参考:「記号の歴史」)

   正解は、上から順に

   2、2、4、6、11、7、6、5、3、4

階級 階級値 度数
 0〜 9    
10〜19    
20〜29    
30〜39    
40〜49    
50〜59    
60〜69    
70〜79    
80〜89    
90〜99    
   階級値は階級の中央値のことである。

  例えば、「 0〜 9」の階級値は「4.5」
  であるが、0以上10未満と考えて階級
  値を「5」とする場合がある。

   左のような表を度数分布表という。

   生徒の得点状況がどのような特徴を
  持つか、大まかな把握ができる。

(2) ヒストグラムと度数分布多角形(度数折れ線)

 度数分布表を柱状グラフにしたものがヒストグラムである。度数分布多角形は、各柱の上
辺の各中点を折れ線で結んだものである。

(3) 累積度数分布表と累積度数のヒストグラム 

    
階級 累積度数
80以上  
60以上  
40以上  
20以上  
0以上  

(4) 相対分布表と相対度数分布曲線

    
階級 度数 相対度数
 0〜 9    
10〜19    
20〜29    
30〜39    
40〜49    
50〜59    
60〜69    
70〜79    
80〜89    
90〜99    

2.資料の代表値

(1) 平均値  x1、x2、・・・、x の平均値は、 =(Σk=1〜N)/N で求められる。

  一般に、x が f 個(1≦k≦n)あるとき、 N=Σk=1〜n とすると、

         =(Σk=1〜n・x)/N

(問) 第1章 1.資料の整理で与えられたデータの平均値を、階級値を用いて求めよ。

  ≪平均値計算の簡便法≫ 適当な値 c と仮平均 x0 を用いた変換 u=(x−x0)/c
                  に対して、
                           =x0+c・

    
階級 u・f
 0〜 9        
10〜19        
20〜29        
30〜39        
40〜49        
50〜59        
60〜69        
70〜79        
80〜89        
90〜99        

(問) 次の度数分布表において、平均値を求めよ。

    
u・f
34.5 1    
44.5 4    
54.5 7    
64.5 29    
74.5 30    
84.5 20    
94.5 9    
100    

(2) 中央値  資料を大きさの順に並べたとき、その中央の値のこと。メジアンともいう。
        中央の値がないときは、隣り合う2つの値の平均で示す。資料が度数分布表
        で与えられたときは、中央値の属する階級値で示す。

(問) 第1章 1.資料の整理で与えられたデータの中央値を求めよ。

(3) 最頻値  度数が最も大きい階級の階級値のこと。モードともいう。

(問) 第1章 1.資料の整理で与えられたデータの最頻値を求めよ。

(問) データ 5、4、7、9、6、8、7、4、7、5 について、平均、メジアン、モードを求めよ。

3.資料の散らばり  中学校では、範囲(レンジ)というものを学習した。

(問) データ 5、3、7、2、8、5、3 について、レンジを求めよ。

 x1、x2、・・・、x の平均 に対して、x偏差という。このとき、

 σ2=(Σk=1〜N (x2)/N を分散という。また、σを標準偏差という。

(問) データ 3、2、1、6、5、7 の分散と標準偏差を求めよ。

  ≪重要公式≫  σ2=(x2 の平均)−(x の平均)2

(問) この公式を用いて、上の(問)を求めて見よ。

(問) 公式を証明せよ。

 
σが大 ・・・ 散らばりが大    σが小 ・・・ 平均の周りに集中

 一般に、x が f 個(1≦k≦n)あるとき、分散は次の式で計算できる。

  σ2=(Σk=1〜n・(x2)/N

 ただし、 N=Σk=1〜n 、=(Σk=1〜n・x)/N

 また、変換 (x−x0)/c=u について、x の標準偏差σと u の標準
偏差σとの関係は、
               σ=|c|・σ

(問) 上の公式を証明せよ。

(問) 第1章 1.資料の整理で与えられたデータの分散と標準偏差を求めよ。