品切れの確率                              戻る

 日本の流通業界はすごい。徹底した在庫管理で、商品の品切れが起こらないように日々
配送車が街中を飛び回る。昔だったら各商店が自前の倉庫を持っていて、そこにある量の
商品をストックし、売れ行きに応じて出し入れしていた。

 今でも私の近所のお店は、店の真向かいに大きな倉庫を抱え、そこから商品を運び出し
ている姿を時々見かける。巷間にはコンビニがあふれ、配送車が定期的に来店し商品を並
べていく。これもコンピュータによるネットワークのなせる技なのだろう。

 物を売る商売では、なるだけ管理に費用がかかる在庫を減らしたいし、かといって、商品
を買いたい人がいるのに商品を切らしていては商売にならない。

 「在庫量を、どの程度にすべきか」、「どの商品を、いつ、どれくらい発注すべきか」、・・・・
など商店主の方にとっては悩みが尽きない。

 このような問題は、在庫管理(Stock Control)の問題と言われる。

 在庫管理の問題では、いくつか留意する点がある。

(1) 需要はあるのかどうか。
(2) 発注は他の影響(発注時点での在庫量など)を受けるのかどうか。
(3) 在庫量は適切かどうか。
  (商品の品切れが、ある一定基準までは起こらないようにするための在庫を安全在庫という。

 今、次のような問題を考える。

 ある商品が1週間以内に、2個売れる確率は、1/6 、1個売れる確率は、1/3 である。
また、全く売れない確率は、1/2 であるものとする。
 すなわち、この商品は、1週間のうちに売れる個数は、0個、1個、2個の3通りしかない
ものとする。
 これまでの売れ行きの状況を考えて、商店主は次のような在庫管理を行うこととした。

 ある商品の販売期間を3週間とし、最初の週の初めに商品を3個だけ在庫させる。そして、
週末に在庫状況を調べる。

 (1) もし、在庫が 0 のとき → 商品を 3 個仕入れ、次の週初めの在庫を3 個にする

 (2) 在庫が 0 でないとき → 商品を仕入れず、そのままの在庫量で次の週に移る

 この在庫管理で、3週間の間に、商品が品切れになる確率を求めよ。

 品切れになる場合を検証すると、

(ア) 3→3、3→2、2→0 ・・・・・ 1/2×1/3×1/6=1/36

(ア) 3→3、3→1、1→0 ・・・・・ 1/2×1/6×1/3=1/36

(ア) 3→2、2→2、2→0 ・・・・・ 1/3×1/2×1/6=1/36

(ア) 3→2、2→1、1→0 ・・・・・ 1/3×1/3×1/3=1/27

(ア) 3→2、2→0 ・・・・・・・・・・・ 1/3×1/6=1/18

(ア) 3→1、1→1、1→0 ・・・・・ 1/6×1/2×1/3=1/36

(ア) 3→1、1→0 ・・・・・・・・・・・ 1/6×1/3=1/18

 よって、求める確率は、

   1/36×4+1/18×2+1/27=28/108=7/27

(コメント) 1週間内に売れる個数の期待値は、2/3個、3週続けても2個で、1個は残る
      はずなのに、品切れになる確率が、7/27≒0.26 とは、意外に高いですね!
       それだけ在庫管理は難しいということかな?