掛け金の収支
あるゲームで、X 円を掛け金として、勝った場合にN倍の払い戻しがあるということは、実際
に増えている金額は、(N−1)X 円である。逆に、負けた場合は、当然掛け金のX
円は没収さ
れる。このことは、数学的には自分の所持金が、−X 円増えることを意味する。
このことに注意して、以下の問題を考えてみよう。
1. Nは、1,2,3,4,5,6 の何れかの数とする。ひとつのさいころを投げて、目の数が
N
のとき掛け金は N 倍に、その他のときは没収されるというゲームを行う。
このとき、このゲームの期待金額が、0円となるようなNの値を求めよ。
(解) A 円を掛け金として、目の数が N となる確率を、P とおくと、題意から次の等式が成
り立つ。
(N−1)AP−A(1−P)=0 すなわち、 NP=1
ひとつのさいころを投げたとき、起こり得る全ての場合は、6通りで、目の数が
N となる
場合の数を、X とすれば、上記の式は、
NX=6
と書き直すことが出来る。
N | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
X | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
左の表から分かるように、NX=6 を満たす場合は、
N=6
の場合しかない。
2. Nは、2以上12以下の整数の何れかの数とする。2つのさいころを投げて、目の数の和
が N のとき掛け金は N 倍に、その他のときは没収されるというゲームを行う。
このとき、このゲームの期待金額が、0円となるようなNの値を求めよ。
(解) 1.と同様に考えて、等式 NX=36 を満たすようなNを求めればよい。
N | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
X | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
左の表より、求めるNの値は、
N=9
である。
同じような問題を、さいころが3個の場合、4個の場合についても考えようとしたが、次の表
からも分かるように、ゲームの期待金額が、0 円になる場合はないようである。
N | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
X | 1 | 3 | 6 | 10 | 15 | 21 | 25 | 27 | 27 | 25 | 21 | 15 | 10 | 6 | 3 | 1 |
NX=216
N | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
X | 1 | 4 | 10 | 20 | 35 | 56 | 80 | 104 | 125 | 140 | 146 |
N | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | |
X | 140 | 125 | 104 | 80 | 56 | 35 | 20 | 10 | 4 | 1 |
NX=1296
さいころの個数が 5 以上の場合について、ゲームの期待金額が、0 円になる場合は果た
して起こり得るのだろうか?今後の研究課題としたい。