放物線の作図                              戻る

 下図は、曲線群 F={ y=mx+m2 ( m は実数) }をパソコンで描いたものである。


   それらに接する包絡線として、放物線 y=−(1/4)x2 の姿
  が垣間見える。


   このページでは、パソコンに頼らず手書きで放物線を描くこと
  を試みたいと思う。



 作図のために、次の美しい放物線の性質が用いられる。


   放物線に対して、3本の接線を引いたとき、

     SP/PA=BQ/QS=QT/TP

  が成り立つ。






(証明) 簡単のため、放物線を y=ax2 とし、接点の座標を、

        A(α,aα2)、B(β,aβ2)、T(γ,aγ2

とすると、S((α+β)/2,aαβ)、P((α+γ)/2,aαγ)、Q((γ+β)/2,aγβ)

 このとき、 SP2=(β−γ)2/4+a2α2(β−γ)2=(1+4a2α2)(β−γ)2/4

        PA2=(γ−α)2/4+a2α2(γ−α)2=(1+4a2α2)(γ−α)2/4

   より、 SP2/PA2=(β−γ)2/(γ−α)2 が成り立つ。

 同様にして、 BQ2=(β−γ)2/4+a2β2(β−γ)2=(1+4a2β2)(β−γ)2/4

         QS2=(γ−α)2/4+a2β2(γ−α)2=(1+4a2β2)(γ−α)2/4

   より、 BQ2/QS2=(β−γ)2/(γ−α)2 が成り立つ。

 また、 QT2=(β−γ)2/4+a2γ2(β−γ)2=(1+4a2γ2)(β−γ)2/4

     TP2=(γ−α)2/4+a2γ2(γ−α)2=(1+4a2γ2)(γ−α)2/4

   より、 QT2/TP2=(β−γ)2/(γ−α)2 が成り立つ。

 以上から、 SP2/PA2=BQ2/QS2=QT2/TP2 すなわち、

    SP/PA=BQ/QS=QT/TP

が成り立つ。  (証終)


(コメント) もっと純粋に幾何的な解法を追究しようとしたが思いつかず、結局解析的な解答
      に落ち着いてしまった。比の値が、放物線に依らずに一定になることが面白い。果
      たして、もっとエレガントな解法は存在するのだろうか?


 上記で得られた性質から放物線が得られる。

 交わる2直線上に等分点を左図のように設
け、番号を付ける。同番号同士を線分で結ぶ
と、それらは放物線の接線となっている。










 放物線の性質って、意外と知らないものが多いことに気づかされる。次の美しい放物線の
性質に出会い、何となく得した気分で心地よい。


  (1) 焦点Fの放物線において、放物線外の点
    をPとし、Pより放物線に接線PA、PBを引く。

     このとき、△APF∽△PBFが成り立つ。

  (2) 焦点Fの放物線において、放物線外の点
    をPとし、PFを直径とする円Cを描く。

      この円Cが、放物線の頂点Oを通り軸に
    垂直な線分と交わる点をQ、Rとする。

     このとき、PQ、PRは放物線の接線となる。






(証明) (1) 放物線の準線上に、A、Bより垂線の足D、Eを下ろす。さらに、線分APとFD
        の交点をM、線分APと準線の交点をNとおく。

  このとき、放物線の性質から、
 ∠FAM=∠DAMで、AF=AD、AM共通
 より、 △AFM≡△ADM が成り立つ。

よって、 FM=DM 、AP⊥FD

 このとき、△ADN∽△DMN より、
   ∠FAP=∠DAP=∠EDF ・・・(*)

PD=PE=PF より、3点D、E、FはPを中
心とする同一円周上にあるので、
   ∠APF=∠DEF ・・・(**)

 よって、(*)(**)より、2角相等なので、
   △APF∽△DEF

 同様にして、 △DEF∽△PBF が成り
立つので、
       △APF∽△PBF

(2) (1)から実は、Q=Mである。(Rも同様) このことから(2)は自明だろう。  (証終)


 上記の(1)より、△APF∽△PBF なので、 AF/PF=PF/BF すなわち、

    PF2=AF・BF

が成り立つ。さらに、次の性質も美しい。

 準線上の点Pから引いた接線の接点を結ぶ直線は焦点を通る。

 上図で、AFとBFは一般には折れ線になるが、Pが準線上にあるとき、3点A、F、Bは同一
直線上に並ぶというわけだ。

 幾何的には、∠AFB=2(∠APF+∠BPF)=180°から明らかであるが、解析的な証
明にも取り組んでみよう。

(証明) 放物線を y2=4px とすると、焦点F(p,0)である。

 接点A(pm2,2pm)、B(pn2,−2pn) (mn≠0)における接線の方程式は、

 2pmy=2p(x+pm2)、 −2pny=2p(x+pn2) すなわち、

    my=x+pm2、 ny=−x−pn2 である。

 辺々加えて、 (m+n)y=p(m−n)(m+n) より、 y=p(m−n)

 このとき、 mp(m−n)=x+pm2 より、x=−mnp

 Pは準線上にあるので、 −mnp=−p すなわち、 mn=1 が成り立つ。

 直線ABの式において、m=n のとき、A(pmn,2pm)、B(pmn,−2pm) すなわち、

 A(p,2pm)、B(p,−2pm)となり、明らかに直線ABは焦点Fを通る。

 m≠n のとき、傾きが2p(m+n)/p(m2−n2)=2/(m−n) より、

 y={2/(m−n)}(x−pm2)+2pm
  ={2/(m−n)}x−2pmn/(m−n)={2/(m−n)}x−2p/(m−n)

 x=p のとき、y=0 となり、直線ABは焦点Fを通る。  (証終)

      

 また、次の事実も上図より明らかだろう。

 準線上の点から放物線に引いた2本の接線は垂直である。

 ∠DPE=180°なので、∠APB=90°となる。

 逆に、

 放物線に、互いに直交する2本の接線を引くとき、その交点は準線上にある。
また、交点と2接点の中点を通る直線は準線に直交する。

 前半は、上図から明らかだろうが、後半も含めて解析的に示そう。

(証明) 放物線を y2=4px とし、接点A(pm2,2pm)、B(pn2,−2pn) (mn≠0)にお

 ける接線の方程式は、 2pmy=2p(x+pm2)、 −2pny=2p(x+pn2) すなわち、

 my=x+pm2、 ny=−x−pn2 である。これらが垂直なので、mn=1 が成り立つ。

 辺々加えて、 (m+n)y=p(m−n)(m+n) より、 y=p(m−n)

 このとき、 mp(m−n)=x+pm2 より、x=−mnp=−p

 よって、Pは、準線上にあり、その座標は、P(−p,p(m−n))

 さらに、線分ABの中点のy座標は、 (2pm−2pn)/2=p(m−n) となることから、交点

 と2接点の中点を通る直線は準線に直交する。  (証終)


 上記の更なる一般の場合として、次の事実も面白い。

 放物線上の異なる3点A、B、Cについて、点Aにおける接線と点Cにおける接線との交点
をP、点Bにおける接線と点Cにおける接線との交点をQ、点Aにおける接線と点Bにおける
接線との交点をRとする。このとき、

  △PQRの外接円は、放物線の焦点を通る。

 Cが放物線の頂点の場合を考えれば、これまでに示したことであるが、実は、Cが頂点で
ない場合も言えるという点が興味深い。

 この事実を示すには、円周角の定理の逆が用いられる。

(証明) 放物線の焦点をFとし、Aから準線に下ろした垂線の足をA’とすれば、AF=AA’

   また、放物線の性質から、Aにおける接
  線は、∠FAA’を2等分するので、AMは
  FA’の垂直2等分線となる。

   同様に、Bから準線に下ろした垂線の足
  をB’、Cから準線に下ろした垂線の足をC’
  とすれば、BNはFB’の垂直2等分線、CH
  はFC’の垂直2等分線となる。

   ここで、中点連結定理より、M、N、Hも同
  一直線上にある。

 また、∠FMR=∠FNR=90°であるから、四角形MFNRは同一円周上にあり、
∠RNM=∠RFM すなわち、∠RNM=∠QNHである。

 ∠QHF=∠QNF=90°であるから、四角形FNQHは同一円周上にあるので、
∠QNH=∠QFHが成り立つので、よって、∠RFM=∠QFHである。

 ∠RPQ=θ とおくと、図から明らかに、∠HFM=θ

 ここで、∠RFM=∠QFH より、 ∠RFM+∠HFM=∠RFM+∠RFQ なので、

 ∠RFQ=∠HFM=θ

 従って、∠RPQ=∠RFQ となり、これは、Fが△PQRの外接円上にあることを示す。

                                                  (証終)

 放物線と言えば、共通接線の話題が有名だろう。次の性質も興味深い。

 2つの放物線 y=ax2 、y=a(x−p)2+q の共通接線の傾きは、q/p である。

 2つの放物線は同形なので、その頂点(0,0)、(p,q)を結ぶ直線の傾きと共通接線の傾
きが同じだろうことは想像に難くない。しかし、いざ証明しようとすると、少し大変かもしれない。

(証明) 共通接線の方程式を y=mx+n とし、それぞれの接点の x 座標を α、β とおくと、

 ax2−(mx+n)=a(x−α)2 より、 m=2aα 、n=−aα2

 a(x−p)2+q−(mx+n)=a(x−β)2 より、 2ap+m=2aβ 、 ap2+q−n=aβ2

 よって、 m=2a(β−p)=2aα より、 β−p=α であり、また、 β−α=p

 このとき、

  m={a(β−p)2+q−aα2}/(β−α)={aα2+q−aα2}/(β−α)=q/p

が成り立つ。  (証終)

 この事実を知っていれば、次のような問題に応用できるだろう。

例 2つの放物線 y=x2 、y=(x−2)2+4 の共通接線の方程式を求めよ。

(解) 放物線 y=x2 の接点の x 座標を α とおくと、接線の傾きは、2αで、これが共通接

  線の傾き 2 に等しいので、 2α=2 より、 α=1  よって、接点(1,1)

  これより、共通接線の方程式は、 y=2(x−1)+1=2x−1 となる。  (終)


 もし、上記の事実を知らなければ、次のような計算をするのだろう。

(別解) 共通接線の方程式を y=mx+n とし、それぞれの接点の x 座標を α、β とおくと、

    x2−(mx+n)=(x−α)2 より、 m=2α 、n=−α2

   (x−2)2+4−(mx+n)=(x−β)2 より、 4+m=2β 、 4+4−n=β2

   よって、 β−α=2 、 β2−α2=8 より、 β+α=4

   これより、 α=1、β=3 となり、 m=2、n=−1 なので、

   求める共通接線の方程式は、 y=2x−1 となる。  (終)


(コメント) 公式の有り難みが実感できますね!


 ところで、放物線 y=ax2 に点Pから引いた接線の接点の x 座標を、α、β とすると、点
Pの x 座標が、(α+β)/2 で与えられることは有名であるが、同様なことが、2つの放物
線が共通接線を持つときにも起こる。すなわち、

 2つの放物線と共通接線の接点の x 座標を、α、β とすると、2つの放物線の交
点の x 座標は、(α+β)/2 で与えられる。


(証明) 2つの放物線を y=ax2、y=a(x−p)2+q 、共通接線の方程式を y=mx+n と

 し、それぞれの接点の x 座標を α、β とおく。

 このとき、 a(x−p)2+q=ax2 より、 −2apx+ap2+q=0

 よって、 2x=(ap+q/p)/a=(aβ−aα+m)/a=(aβ−aα+2aα)/a=α+β

 より、 x=(α+β)/2 となる。


(コメント) これは全くの偶然なのか、それとも意味があることなのだろうか?


   以下、工事中!