持続係数                                     戻る

 当HPの掲示板「出会いの泉」に、平成23年6月15日付けで、HN「DJ Jerry」さんが次
の質問を書きこまれた。

 持続係数というものがあります。例えば、49→36→18→8という風に、各位の数字を掛
け合わせて、次の数字を出し、その数字の各位を掛け合わせてその次の数字とする。こう
やって、最後一桁の数字が出るまで展開します。上の場合だと、3回展開しているので、
49の持続係数は3になるのだそうです。

 そこで、問題なのですが、持続係数が4になる最小の数は何でしょうか?

 しらみつぶしに探せば、たぶん「77」だと思います。答えは見つかりますが、何か漸化式
のようなもの、あるいは公式・法則はあるのでしょうか?



 この質問に、当HPがいつもお世話になっているHN「らすかる」さんが答えられた。
                                      (平成23年6月16日付け)

 数列は、こちらにありますが、漸化式も公式も法則もなく、基本的にしらみつぶしに探すし
かないと思います。

 (補足) 0を除外しない場合の持続係数は、上記サイトがわかっているすべての値とのこ
      とである。(平成23年6月19日付け)

   FNさんからのコメントです。(平成23年6月19日付け)

    持続係数(10進法)の最大値は11ということですね。ということはこれが本当に最大値
   である可能性が強いということなのかもしれません。

 (補足) らすかるさんが10500まで調べたところ、持続係数(10進法)が12となるものはな
     かったとのことです。(平成23年6月19日付け)


 また、当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんからも回答が寄せられた。
                                      (平成23年6月16日付け)

 らすかるさんも書かれていますが理論的な扱いは無理でしょう。持続係数が4である最小
の数が「77」であることは手作業で確認できました。持続係数が5である最小の数が「679」
であることを手作業で確認するのは大変だと思います。

 10進法の話ですが、難しそうなので、2進法や3進法で考えてみます。

 2進法の場合は使う数字が1と0だけなので、1回の操作で0か1になります。
 従って持続係数は常に1(または0)です。

 以下、3進法で考えます。3進法表示を標準とし、10進法で表示するときは、後にTをつけ
ることにします。

 例 5T=12 、 10T=101 、・・・ etc

 26T=222 → 8T=22 → 4T=11 → 1ですから、26T=222 の持続係数は3です。

では、「3進法表示で持続係数が4である最小の自然数を求めよ。」

 解があるかどうか私にはわかりません。


 DJ Jerry さんからのコメントです。(平成23年6月16日付け)

 らすかるさん、FNさん、本当にありがとうございました。やはり、しらみつぶしに探すしかな
いみたいですね。ある人の話で、これはまだ未解決の難問だと今日知りました。何とかして、
規則性を発見したいです。


 らすかるさんからの続報です。(平成23年6月16日付け)

 FNさんの「3進法表示で持続係数が4である最小の自然数を求めよ。」について、

 3進法表示で各桁の積は、2のベキ乗か0ですから、2のベキ乗で持続係数が3以上のも
のがないと持続係数が4以上の数は存在しません。

 ところが、2のベキ乗を、22〜約2158500(3100000、約1047700)まで調べてみると、桁に0
を含まないものは、

 22=4=11(3)  (持続係数 1)

 23=8=22(3)  (持続係数 2)

 24=16=121(3)  (持続係数 1)

 215=32768=2211222211(3)  (持続係数 2)

の4つしかありません。他の数は、0を含みますので、すべて持続係数は、1です。

 よって、もし持続係数が4以上の数が存在するとしたら

・2158500以上の2のベキ乗の値で、3進法表示したときに、2の個数が3個または15個で
 他の桁はすべて1

・2158500以上の2のベキ乗の値で、3進法表示したときに、2の個数がm個(m≧158500)
 で他の桁がすべて1であり、かつ、2を3進法表示したときに0を含まない

のいずれかを満たさなければなりませんので、証明はできませんが、存在する確率は極め
て低いと思います。HPサイト「http://oeis.org/A102483 」でも「0を含まないものはこれ以上
存在しない」と予想されていますし、もし、0を含まないものが無限個存在したとしても、上記
のいずれかの条件を満たす可能性はとても低そうです。


 FNさんからのコメントです。(平成23年6月17日付け)

 2158500 まで調べられたとはびっくりです。私はExcel VBAで、230 まで計算しました。

 最初は、2は、n=2、3、4を除いて、3進法表示したら必ず0が現れるだろうと思い、証
明もできるのではと考えたのですが無理で、Excelで調べたら、n=15も0を含まないことが
わかりました。しかし、持続係数4を実現できるものではありません。持続係数4は無理か
なと思いながら問題としました。

 らすかるさんの結果によって、3進法で持続係数の最大が3であることは状況証拠として
は完全なようです。4進法も考えてみましたが、同様にかなりきつい条件が必要で、持続係
数4は無理なような気がします。5進法になると、3や4に比べると条件はかなり弱くなり、持
続係数4は可能です。

  2344(10)=33334(5)→324(10)=2244(5)→64(10)=224(5)→16(10)=31(5)→3

持続係数5は私にはわかりません。桁数はかなりあがるかもしれませんが、ありそうな気が
します。もう少しいけるのかなという気がしますが、10進法の持続係数13、14の世界に近
くなりそうに思います。

 P進法(P=6、7、・・・)について、100,000以下で調べてみました。
P=2、3、4、5もあわせて書いておきます。10進法で100,000以下の範囲での話です。

P 持続係数
の最大
それを実現する
最小数(10進法表示)
26
63
2344
3629
11262
1535
30536
10 68889
11 38200
12 1571
13 21786

 持続係数は、有界、即ち、最大値が存在するという気はしますが、P=3のときですら証明
は難しいのでしょうね。


らすかるさんからの続報です。(平成23年6月17日付け)

 3進法〜18進法について、1018まで計算してみました。

 5進法では、持続係数5の「244140624」と持続係数6の「1811981201171874」が見つかり
ました。

P 持続係数
の最大
それを実現する
最小数(10進法表示)
26
63
1811981201171874
3629
1086400325525346
57596799
1409794
10 11 277777788888899
11 10 199718348047
12 17902874277
13 13 38389570874684132
14 11 18693488093783
15 11 1219847883912873884
16 3644381
17 14 1570081251102035
18 10 360129437

 持続係数は、基数が素数のときに大きくなり、基数の素因数が小さいときに小さくなる傾
向があるようです。

 P.S. その後、5進法について、10500(5進法で約715桁)まで調べて持続係数7が
見つかりませんでしたので、5進法では、持続係数6が最大かも知れません。


 FNさんからのコメントです。(平成23年6月17日付け)

 私は、105まで(後で、106まで)計算しただけで、「1018まで」とは全く桁が違います。私
の表と同じなのは、P=(2)、3、、4、6です。これらは最大値である可能性が強そうです。

 P=5については、10500(5進で約715桁)までとはすごいですね。これも確かに最大値で
ある可能性が強そうです。

 N.J.A.Sloaneが1973年に「P進法での持続係数は有界だろう」と予想しているようで
す。P=3については、2(n>15)を3進法表示したとき、必ず0が出るだろうことも予想して
います。いまだに証明されてないようです。P.Erdosは持続係数の定義を少し変えて、「各
位の数の積」ではなく、「各位の数で0でないものの積」としても有界であろうと予想してい
るようです。

 ところが、Erdos型の持続係数については有界ではないという予想もあるらしいです。「各
位の数の積」を「各位の数の和」に変えたものもあるようでこれは有界ではないようです。

 P進法での持続係数(英語では、multiplicative persistence)について、ほとんど情報がみ
つかりませんでした。


 らすかるさんからのコメントです。(平成23年6月17日付け)

 FNさんの「P.Erdosは持続係数の定義を少し変えて、「各位の数の積」ではなく、「各位の
数で0でないものの積」としても有界であろうと予想しているようです。」について、直感的に
は有界でない気がしますけどね。

 巨大な数Mを3進表示すると、桁数の約1/3が2であることが期待され、2(Mの桁数の1/3)
3進表示すると、また、その桁数の約1/3が2であることが期待され、・・・と考えると、1回に
つき桁数が約1/5になるだけであって有界であるような気がしません。

 また、FNさんの「P進法での持続係数(英語ではmultiplicative persistence)について、ほと
んど情報がみつかりませんでした。」について、5進法の最大値「1811981201171874」で検
索してリンクを調べると結構情報が出てきますよ。

 FNさんからのコメントです。(平成23年6月18日付け)

A Counterexample to Conjectures by Sloane and Erdoes
                     concerning the Persistence of Numbers


の本文5〜8行目に書いてあるのですが、もう1ヶ所上限を c(b)、d(b) として書いてあったの
を見たような記憶があるのですが見つかりませんでした。

 有界でないほうの予想はこちらにあります。このほうがもっともらしそうですね。
ここにErdoesの意味での持続係数(10進法)が18である数が書いてあります。2345桁だそ
うです。

 5進法の最大値「1811981201171874」で検索してリンクを調べると結構情報が出てきます
よ。」とのことですが、いろいろありますね。一番読みたいと思ったものがドイツ語だったの
が残念でした。

 らすかるさんが調べられたのと同様なのが出ていますね。P=10までは同じです。2001年
の論文ですが、Last Updateは2005/11/30となっているので、らすかるさんの求められた値
のP=10までは、2005年時点で最善のもののようです。そして多分現在でも...。
                          (FNさん、加筆修正 平成23年6月19日付け)

 「各位の数の積」を「各位の数の和」に変えたadditional persistenceが有界でないことは
大学入試レベルの問題です。大学入試問題のスタイルで書いてみます。

 自然数 a を10進法で表したときの各位の数の和を S(a) とし、

  S0(a)=a、S1(a)=S(a)、S2(a)=S(S1(a))、S3(a)=S(S2(a))、・・・

 一般に、Sn+1(a)=S(Sn(a))で定める。

 また、Sn(a)が1桁の自然数である最小の n を、T(a)とする。

 例えば、 S0(753)=753

       S1(753)=S(753)=7+5+3=15

       S2(753)=S(15)=1+5=6

       S3(753)=S4(753)=・・・=6  よって、 T(753)=2

 このとき、次の問いに答えよ。

(1) S(5789)、T(5789)を求めよ。

(2) 任意の自然数 n に対して、T(a)=n となる自然数 a が存在することを、n に関
  する数学的帰納法で証明せよ。


(解)(1) S0(5789)=5789、S1(5789)=S(5789)=5+7+8+9=29、

      S2(5789)=S(29)=2+9=11、S3(5789)=S4(5789)=・・・=2、  T(5789)=3

(2) n=1のとき、a=10 とすれば、

      S0(10)=10、S1(10)=S(10)=1+0=1、S2(10)=S3(10)=S4(10)=・・・=1

     より、T(1)=1 となるので、n=1のとき成り立つ。

   n=k(k≧1)のとき成り立つと仮定する。すなわち、

     T(a)=k となる自然数 a が存在する。a をそのような自然数のうちの最小値として

    よい。このとき、a−1 は、9の倍数となる。

     S0(a)=a、S1(a)=S(a)、・・・、S(a)=Sk+1(a)=・・・=(1桁の自然数)

   そこで、 b=2・10(a-1)/9−1 とおくと、b は自然数である。

    このとき、

     S0(b)=b、S1(b)=S(b)=1+9・(a−1)/9=a となるので、T(a)=k より、

   T(b)=k+1 となる。

    よって、n=k+1 のときも成り立つ。

   したがって、すべての自然数 n に対して、T(a)=n となる自然数 a が存在する。 (終)

(コメント) 少々粗いですが、こんな風な証明でいいのでしょうか?

   上記の証明では、(a−1)/9を整数にしたかったので、a を最小数としましたが、FNさ
  んは、T(a)=n となる a に対して、1をa個並べた数を b としたそうです。FNさんの方が
  簡明ですね。

 FNさんは、次の表にまとめられました。(平成23年6月19日付け)

T(a)=n となる最小の a
10
19
199
19999999999999999999999
1の後に9を2222222222222222222222個並べた数

 n に対する a はあまりにも大きくなります。multiplicative persistenceはそれほどでもない
のに多分有界で、additive persistenceが有界でないのが面白いです。