整数の分割                               戻る

 当HPの読者のHN「hasu」さんから、「整数の分割」についてご投稿いただきました。
(平成23年9月8日付け)

(1) p を q 個の自然数に分ける分け方(重複を考えないので、1+4 と4+1 は別)の総
  数を N(p,q) とする。

例  4=3+1=2+2=1+3 なので、 N(4,2)=3
 3=2+1=1+2 なので、 N(3,2)=2

 ここで、 N(p+1,q+1)= が成り立つ。

 実際に、p+1 個の「1」が並んだ配列 1,1,1,・・・・・,1,1 の隙間p 個から、q+1
個の数字を区別するための仕切り q 個を選ぶ場合の数に等しい。

例 N(4,2)=31=3 、N(3,2)=21=2

(2) 重複を考えずに、p を q 個の絶対値のついた整数に分けるわけ方を、Z(p,q) とする。

(例) |x|+|y|+|z|=5 (x,y,z は整数) の組み合わせは、Z(5,3)=102

 実際に、 5=5+0+0 ・・・ 数字の順列と±の組合せを考えて、 3×2=6通り
 5=4+1+0 ・・・ 数字の順列と±の組合せを考えて、 6×22=24通り
 5=3+2+0 ・・・ 数字の順列と±の組合せを考えて、 6×22=24通り
 5=3+1+1 ・・・ 数字の順列と±の組合せを考えて、 3×23=24通り
 5=2+2+1 ・・・ 数字の順列と±の組合せを考えて、 3×23=24通り
から、
 Z(5,3)=6+24×4=102(通り)

 上記は私の計算だが、hasuさんは、次のように計算された。

(解) 0以外の整数での分割を、Z’(p,q) とすると、明らかに、

 Z’(p,q)=N(p,q)・2 が成り立つ。

|x|+|y|+|z|=5 (x、y、zは整数) において、Z(p,q) の計算は、

(イ) 3つのうち2つが0  (ロ) 3つのうち1つが0  (ハ) 3つのどれも0ではない

の3種類に分かれる。

(イ)は、3個の中から2つ選ぶので、32・Z’(5,1)

(ロ)は、3個の中から1つ選ぶので、31・Z’(5,2)

(ハ)は選ばないので、30・Z’(5,3)

よって、 Z(5,3)=32・Z’(5,1)+31・Z’(5,2)+30・Z’(5,3)

ここで、Z’(5,1)=2 (・・・±5なので)

Z’(5,2)=16 (・・・(±4,±1)、(±3,±2)、(±2,±3)、(±1,±4)なので)

Z’(5,3)=48 (・・・(±3,±1,±1)、(±2,±2,±1)、(±2,±1,±2)、
        (±1,±2,±2)、(±1,±3,±1)、(±1,±1,±3)なので)

から、 Z(5,3)=3・2+3・16+1・48=102

 一般に、Z(p,q)= k=1〜q q・N(p,k)・2 が成り立つ。


例  Z(p,1)=11・N(p,1)・2111p-10・21=1・1・2=2
  (これは、±p なので当然ですね!)

Z(p,2)=21・N(p,1)・2122・N(p,2)・22
 =21p-10・2122p-11・22=4+(p−1)・4=4p

Z(p,3)=31・N(p,1)・2132・N(p,2)・2233・N(p,3)・23
 =31p-10・2132p-11・2233p-12・23
 =6+12(p−1)+8(p−1)(p−2)/2=4p2+2

Z(p,4)=41・N(p,1)・2142・N(p,2)・2243・N(p,3)・2344・N(p,4)・24
 =41p-10・2142p-11・2243p-12・2344p-13・24
 =8+24(p−1)+32(p−1)(p−2)/2+16(p−1)(p−2)(p−3)/6
 =(8p3+16)/3

Z(p,5)=51・N(p,1)・2152・N(p,2)・2253・N(p,3)・23
     +54・N(p,4)・2455・N(p,5)・25
 =51p-10・2152p-11・2253p-12・23
     +54p-13・2455p-14・25
 =10+40(p−1)+80(p−1)(p−2)/2+80(p−1)(p−2)(p−3)/6
     +32(p−1)(p−2)(p−3)(p−4)/24
 =(4p4+20p2+6)/3

 以上から、表にまとめると

Z(1,1)   Z(1,2)   Z(1,3)   Z(1,4)   Z(1,5)
10
Z(2,1) Z(2,2) Z(2,3) Z(2,4) Z(2,5)
18 32 50
Z(3,1) Z(3,2) Z(3,3) Z(3,4) Z(3,5)
12 38 88 170
Z(4,1) Z(4,2) Z(4,3) Z(4,4) Z(4,5)
16 66 192 450

 ここで、なぜか分からないのですが、

 Z(p,q)=Z(p−1,q)+Z(p,q−1)+Z(p−1,q−1)

が成り立ちます。これは、k=1〜p Z(k,q)=(1/2)(Z(p,q)+Z(p,q+1))-1 が成り
立てば成り立ちます。


 当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんからのコメントです。(平成23年9月9日付け)

 第1式は、次のように考えれば証明できます。

(証明) Z(p,q)は、q 個の整数の絶対値の和が p であるものの個数

1番前が 0 であるもの・・・残りの q-1 個で、和 p を作ればよいから、Z(p,q−1)通り
1番前が 1 であるもの・・・残りの q-1 個で、和 p-1 を作ればよいから、Z(p−1,q−1)通り
1番前が 2 以上、または、-1 以下であるもの
  ・・・2以上のときは、1を引く 、-1以下のときは、1を加える

 この操作により、q個の整数で絶対値の和がp-1であるもの全体と 1:1に対応する。
その数は、Z(p−1,q)通り

 以上から、 Z(p,q)=Z(p−1,q)+Z(p,q−1)+Z(p−1,q−1)  (証終)

 第2式は、第1式から導くこともできるし、直接でもできます。

 第1式から導く場合

(証明) Z(p,q)=Z(p−1,q)+Z(p,q−1)+Z(p−1,q−1)のp を k に、q を q+1

に変えて、 Z(k,q+1)=Z(k−1,q+1)+Z(k,q)+Z(k―1,q)

 これを、k=2 から k=p まで加えると、

 Z(2,q+1)=Z(1,q+1)+Z(2,q)+Z(1,q)

 Z(3,q+1)Z(2,q+1)+Z(3,q)+Z(2,q)

 Z(4,q+1)Z(3,q+1)+Z(4,q)+Z(3,q)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 Z(p−1,q+1)Z(p−2,q+1)+Z(p−1,q)+Z(p−2,q)

 Z(p,q+1)=Z(p−1,q+1)+Z(p,q)+Z(p−1,q)

より、Z(p,q+1)=Z(1,q+1)+Z(1,q)+2{Z(2,q)+・・・+Z(p―1,q)}+Z(p,q)

両辺に、Z(p,q) を加えて、

Z(p,q+1)+Z(p,q)
=Z(1,q+1)+Z(1,q)+2{Z(2,q)+・・・+Z(p―1,q)}+Z(p,q)+Z(p,q)

=Z(1,q+1)+Z(1,q)+2{Z(2,q)+・・・+Z(p―1,q)+Z(p,q)}

ここで、 Z(1,q)=2q 、Z(1,q+1)=2(q+1) なので、

 Z(1,q+1)+Z(1,q)=4q+2=2Z(1,q)+2

よって、

 Z(p,q+1)+Z(p,q)=2Z(1,q)+2+2{Z(2,q)+・・・+Z(p−1,q)+Z(p,q)}

 =2+2{Z(1,q)+Z(2,q)+・・・+Z(p−1,q)+Z(p,q)}

より、

Z(1,q)+Z(2,q)+・・・+Z(p−1,q)+Z(p,q)=(1/2){Z(p,q+1)+Z(p,q)}−1

                                                   (証終)

 直接証明する場合

(証明) Z(p,q+1) q+1個の整数の絶対値の和が p であるものの個数

  1番前が0であるもの・・・残りのq個で和 p を作ればよいから、Z(p,q)通り

  1番前が±1であるもの・・・残りのq個で和 p-1 を作ればよいから、2・Z(p−1,q)通り

  1番前が±2であるもの・・・残りのq個で和 p-2 を作ればよいから、2・Z(p−2,q)通り

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1番前が±(p-1)であるもの・・・残りのq個で和 1 を作ればよいから、2・Z(1,q)通り

  1番前が±pであるもの・・・残りのq個はすべて0だから、2通り

 従って、 Z(p,q+1)=Z(p,q)+2{Z(p−1,q)+Z(p−2,q)+・・・+Z(1,q)}+2

すなわち、

 Z(1,q)+Z(2,q)+・・・+Z(p−1,q)+Z(p,q)=(1/2){Z(p,q+1)+Z(p,q)}−1

(証終)


 hasuさんからの続報です。(平成23年10月25日付け)

 前にあげたZ(p,q)について、Z(p,q)の定義を次の(1)〜(4)とします。

(1) Z(p,q)+Z(p,q+1)+Z(p+1,q)=Z(p+1,q+1)

(2) Z(p,q)=Z(p,1−q)・(−1)p+1

(3) Z(p,q)=Z(−p,q)・(−1)q+1

(4) Z(1,q)=2q 、Z(p,1)=2 、Z(0,0)=−2

 これらはすべて昔のZ(p,q)でも成り立ちます。

(次の表は、縦がp軸、横がq軸です。)

 88  38 12 2  2 12 38 88
-32 -18 -8 -2 2  8 18 32
 8   6  4 2  2  4  6  8
 0  -2  0 -* 2  0  2  0
-8   6 -4 2  2 -4  6 -8
32  -18  8 -2 2 -8 18 -32
-88  38 -12 2  2 -12 38 -88


(*=Z(0,0)は、-*=-2=Z(0,0)という意味です。)

 定義から、pZ(p,q)=qZ(p,q)  (p、q>0) が成り立ちます。私の証明は長いので載
せません。

 「pZ(p,q)=qZ(p,q) (p、q>0)」と定義より、「pZ(p,q)=qZ(p,q) (p、q>0)」は拡
張できますが、すごく汚くなります。

 pZ(-p,q)=qZ(-p,q)(−1)p+q+1

 pZ(p,-q)=qZ(p,-q+1)(−1)p+q+1

 pZ(-p,-q)=qZ(-p,-q+1)(−1)p+q (p、q>0)

他にも、「pZ(p,q)=qZ(p,q) (p、q>0)」より、

 Z(p,q)+Z(p,q+1)=Z(q,p)+Z(q,p+1)

が成り立つ。ここまでわかったら一般化しようと思い、最近ずっと考えていますが、かけらも
分かりません。誰か似ている形をした積分など知りませんでしょうか?


(追記) 「自然数の分割数」について、GAI さんからご投稿いただきました。
 (令和4年8月9日付け)

 自然数nの分割数として、n=6 なら、

[6] 、[1, 5] 、[2, 4] 、[3, 3] 、[1, 1, 4] 、[1, 2, 3] 、[2, 2, 2] 、[1, 1, 1, 3] 、[1, 1, 2, 2]
[1, 1, 1, 1, 2] 、[1, 1, 1, 1, 1, 1]
                     以上 11 通り
 n=8 なら、

[8] 、[1, 7] 、[2, 6] 、[3, 5] 、[4, 4] 、[1, 1, 6] 、[1, 2, 5] 、[1, 3, 4] 、[2, 2, 4] 、[2, 3, 3]
[1, 1, 1, 5] 、[1, 1, 2, 4] 、[1, 1, 3, 3] 、[1, 2, 2, 3] 、[2, 2, 2, 2] 、[1, 1, 1, 1, 4] 、[1, 1, 1, 2, 3]
[1, 1, 2, 2, 2] 、[1, 1, 1, 1, 1, 3] 、[1, 1, 1, 1, 2, 2] 、[1, 1, 1, 1, 1, 1, 2] 、[1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]

 以上 22 通りと、nに対して、その分割数が決まるので、それを P(n) で表すことにする。

 n=1、2、3、・・・、20 では、

 P(n)=1、2、3、5、7、11、15、22、30、42、56、77、101、135、176、231、297、385、490、627

と言うことになる。

 さて、この一見不規則な数の並びに、例のラマヌジャンが n=0、1、2、3、・・・ のすべてに
対し、

 P(5*n+4)≡0 (mod 5)
 P(7*n+5)≡0 (mod 7)
 P(11*n+6)≡0 (mod 11)

を発見する。P(13*n+7)≡0 (mod 13) と調子に乗りたいが、これは全く成立しない。

 1960年代で、Atokin がやっと P(11^3*13*n+237)≡0 (mod 13) を発見する。

その後、P(59^4*13*n+111247)≡0 (mod 13) も見つかる。

 次の素数17では、

 P(23^3*17*n+2623)≡0 (mod 17)
 P(41^4*17*n+1122838)≡0 (mod 17)

 素数19では、

 P(101^4*19*n+815655)≡0 (mod 19)

他に、

 P(999959^4*29*n+289956221336976431135321047)≡0 (mod 29)
 P(107^4*31*n+30064597)≡0 (mod 31)

が成立しているという。

 また、素数 5、7、11 だけを組み合わせたような数には、

 If δ = 5^a*7^b*11^c and 24*λ ≡ 1 (mod δ),then P(δ*n + λ) ≡ 0 (mod δ)

とラマヌジャンは予想する。

 これを元に調べてみると、1000以下にある条件数では、

25 => P(25*n + 24)≡0 (mod 25)
35 => P(35*n + 19)≡0 (mod 35)
49 => P(49*n + 47)≡0 (mod 49)
55 => P(55*n + 39)≡0 (mod 55)
77 => P(77*n + 61)≡0 (mod 77)
121 => P(121*n + 116)≡0 (mod 121)
125 => P(125*n + 99)≡0 (mod 125)
175 => P(175*n + 124)≡0 (mod 175)
245 => P(245*n + 194)≡0 (mod 245)
275 => P(275*n + 149)≡0 (mod 275)
343 => P(343*n + 243)≡0 (mod 343)
385 => P(385*n + 369)≡0 (mod 385)
539 => P(539*n + 292)≡0 (mod 539)
605 => P(605*n + 479)≡0 (mod 605)
625 => P(625*n + 599)≡0 (mod 625)
847 => P(847*n + 600)≡0 (mod 847)
875 => P(875*n + 474)≡0 (mod 875)

が起こることになる。ところが、ここが数論の繊細で玲瓏、陰翳深い部分で、そのほとんどが
成立するのであるが、ただ一つ

 343 => P(343*n + 243)≡0 (mod 343)

だけは、n=0、1、2、・・・、20 に対し、

 245、294、0、196、0、0、0、196、98、0、98、0、0、0、98、98、0、196、0、0、0

が並び、予想に反する。他のより多くの実例を観察することで、その原因が 343=7^3 で数
を構成する素数7の部分の指数にあり、そこを変更して、一般に、 7^b -> 7^(floor(b/2)+1)
として処理せねばならないことが判明した。

 即ち、b=3 なら、 floor(3/2)+1=1+1=2 つまり、(mod 343) ではなく、(mod 7^2)=(mod 49)で
処理すれば、

 343 => P(343*n + 243)≡0 (mod 49) なら、0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0 と予想
に合致する。

 そこで、次の変更が加えられた。

If δ = 5^a*7^b*11^c and 24*λ ≡ 1 (mod δ),
then P(δ*n + λ) ≡ 0 (mod 5^a*7^(floor(b/2)+1)*11^c)

というわけである。一見不規則のようでも色々な微妙な不変規則が潜んでいるもんですね。

 どなたか素数23に対する0に繋がる合同式をご存知ならお知らせ下さい。

 いろいろ文献やサイトを探し回ったのですが、これだけは見つけられなくいます。また自分
で探してみてはいるんですが、ひょんな事から、次の式は、(mod 23)では0にならないのだろ
うかと思った。時間の関係で一部しか確認されていない。
(でもこんなにあるわけないだろうに?)

 P(37^4*23*n+631052) 、P(67^4*23*n+5476393) 、P(95^4*23*n+18897974)
 P(133^4*23*n+29309936) 、P(179^4*23*n+60460032) 、P(185^4*23*n+103152724)


 Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和4年8月20日付け)

 GAIさんによる御投稿「自然数の分割数を勉強してみて」に関連する話題について、記載
しているサイトをみつけましたので御報告いたします。

■「分割数をグランドカノニカル分布で求める


(追記) 令和6年12月22日付け

 令和4年8月9日付けで、GAI さんが次のことを述べている。

 nに対して、その分割数を P(n) で表すことにする。

 n=1、2、3、・・・、20 では、

P(n)=1、2、3、5、7、11、15、22、30、42、56、77、101、135、176、231、297、385、490、627

と言うことになる。


 実際に、列挙してみよう。

n=1 のとき、1 の通りである。

n=2 のとき、2=1+1 の通りである。

n=3 のとき、3=2+1=1+1+1 の通りである。

n=4 のとき、4=3+1=2+2=2+1+1=1+1+1+1 の通りである。

n=5 のとき、

 5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1 の通り
である。

n=6 のとき、

 6=5+1=4+2=4+1+1=3+3=3+2+1=3+1+1+1=2+2+2
 =2+2+1+1=2+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1 の11通り

n=7 のとき、

 7=6+1=5+2=5+1+1=4+3=4+2+1=4+1+1+1=3+3+1=3+2+2
 =3+2+1+1=3+1+1+1+1=2+2+2+1=2+2+1+1+1
 =2+1+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1+1 の15通り

n=8 のとき、

 8=7+1=6+2=6+1+1=5+3=5+2+1=5+1+1+1=4+4=4+3+1
 =4+2+2=4+2+1+1=4+1+1+1+1=3+3+2=3+3+1+1=3+2+2+1
 =3+2+1+1+1=3+1+1+1+1+1=2+2+2+2=2+2+2+1+1
 =2+2+1+1+1+1=2+1+1+1+1+1+1
 =1+1+1+1+1+1+1+1 の22通り

n=9 のとき、

 9=8+1=7+2=7+1+1=6+3=6+2+1=6+1+1+1=5+4=5+3+1
 =5+2+2=5+2+1+1=5+1+1+1+1=4+4+1=4+3+2=4+3+1+1
 =4+2+2+1=4+2+1+1+1=4+1+1+1+1+1=3+3+3=3+3+2+1
 =3+3+1+1+1=3+2+2+2=3+2+2+1+1=3+2+1+1+1+1
 =3+1+1+1+1+1+1=2+2+2+2+1=2+2+2+1+1+1
 =2+2+1+1+1+1+1=2+1+1+1+1+1+1+1
 =1+1+1+1+1+1+1+1+1 の30通り

n=10 のとき、

 10=9+1=8+2=8+1+1=7+3=7+2+1=7+1+1+1=6+4=6+3+1
 =6+2+2=6+2+1+1=6+1+1+1+1=5+5=5+4+1=5+3+2
 =5+3+1+1=5+2+2+1=5+2+1+1+1=5+1+1+1+1+1
 =4+4+2=4+4+1+1=4+3+3=4+3+2+1=4+3+1+1+1
 =4+2+2+2=4+2+2+1+1=4+2+1+1+1+1=4+1+1+1+1+1+1
 =3+3+3+1=3+3+2+2=3+3+2+1+1=3+3+1+1+1+1
 =3+2+2+2+1=3+2+2+1+1+1=3+2+1+1+1+1+1
 =3+1+1+1+1+1+1+1=2+2+2+2+2=2+2+2+2+1+1
 =2+2+2+1+1+1+1=2+2+1+1+1+1+1+1
 =2+1+1+1+1+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1+1+1+1+1 の42通り


 このように整数の分割を書き下せば、その場合の数は求められるが、数が大きくなると、
求めること自体が大変になってくる。上記の計算を通して、何らかの規則性が感じられる。

 n=1〜10 に対して、最大数に着目して、その場合の数を整理してみよう。

最大数\n 10
 
   
     
       
         
           
             
               
10                  
11 15 22 30 42

 n=6で、最大数が2となるのは、

 +2+2=+2+1+1=+1+1+1+1

の3通りであるが、最大数2を1個外してあげると、

 2+2=2+1+1=1+1+1+1

で、これは、n=4で、最大数が2のものと最大数が1のものの合計となっている。

 この規則性を理解すると、例えば、n=8で、最大数が3となるのは、

 n=8−3=5 で、最大数が1、2、3のものを合計すれば、 1+2+2=5 となり、表の

値と一致する。このことから、具体的に書き下すことなく、前の結果を活用することにより、

漸化的に順次、追加の結果を得ることが出来る。

最大数\n 10 11
10
11
10
   
       
           
10                
11                    
11 15 22 30 42 56

 n=11のとき、分割数が56になることは、GAI さんの結果に一致する。

 自然数nに対して、その分割のうち、最大数がkであるものの個数をN(n,k)とおく。

例 N(4,2)=2 (← 2+2=2+1+1)

 N(6,3)=3 (← 3+3=3+2+1=3+1+1+1)

 このN(n,k)という記号を使えば、上記の性質は、整理すると、

 P(n)=N(n,1)+N(n,2)+・・・+N(n,n)

 N(n,k)=N(n−k,k)+N(n−k,k−1)+・・・+N(n−k,1)

となる。さらに、N(n−k,k−1)+・・・+N(n−k,1)=N(n−1,k−1) なので、

 N(n,k)=N(n−k,k)+N(n−1,k−1)

が成り立つ。

例 N(11,5)=N(6,5)+N(10,4)=1+9=10

最大数\n ・・・ 10 11
・・・
・・・
・・・ 10
・・・ 11
・・・ 10
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
  11 15 22 30 42 56

(コメント) 2箇所の値から求められるので、計算が楽になりました!

 この性質を、n=12に対して適用してみよう。

最大数\n 10 11 12
 
    10 12
      11 15
        10 13
          11
           
             
               
10                  
11                    
12                      
11 15 22 30 42 56 77

 n=12のとき、分割数が77になることは、GAI さんの結果に一致する。


 上記では、各分割における最大数に着目したが、各分割における項の数に着目する見方
もある。

 自然数nに対して、その分割のうち、項の数がkであるものの個数をL(n,k)とおく。

例 n=5 のとき、分割は、次の7通りである。

 5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1

 このうち、項の数が1であるものは、5のみなので、L(5,1)=1

項の数が2であるものは、4+1=3+2 なので、L(5,2)=2

項の数が3であるものは、3+1+1=2+2+1 なので、L(5,3)=2

項の数が4であるものは、2+1+1+1 のみなので、L(5,4)=1

項の数が5であるものは、1+1+1+1+1 のみなので、L(5,5)=1

 何となく、 N(n,k)=L(n,k) であるように見える。

 n=1〜10について、表にまとめてみよう。

項の数\n 10
 
   
     
       
         
           
             
               
10                  
11 15 22 30 42

 n=1〜10についても、 N(n,k)=L(n,k) であるように見える。

 下図のようなヤング図形を考えれば、その理由が察せられる。

n=5 のとき、ヤング図形は、次の7種である。

  

 各ヤング図形を縦方向に見れば、最大数に着目した場合に相当し、横方向に見れば、
項の数に着目した場合に相当し、常に、

 N(n,k)=L(n,k)

が成り立つことが分かる。

 したがって、次の性質が成り立つ。

 L(n,k)=L(n−k,k)+L(n−k,k−1)+・・・+L(n−k,1)

 L(n,k)=L(n−k,k)+L(n−1,k−1)

問題 N(11,4)=L(11,4) であることを確かめよ。

(解) 4+4+3=4+4+2+1=4+4+1+1+1=4+3+3+1=4+3+2+2
 =4+3+2+1+1=4+3+1+1+1=4+2+2+2+1=4+2+2+1+1+1
 =4+2+1+1+1+1+1=4+1+1+1+1+1+1+1

から、 N(11,4)=11

また、 8+1+1+1=7+2+1+1=6+3+1+1=6+2+2+1=5+4+1+1
 =5+3+2+1=5+2+2+2=4+4+2+1=4+3+3+1=4+3+2+1
 =3+3+3+2

から、 L(11,4)=11

 よって、 N(11,4)=L(11,4) である。  (終)


 その他の性質を探してみよう。

n=5 のとき、その分割は、

 5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1 の通り

であるが、このうち、すべて奇数であるものは、

 5=3+1+1=1+1+1+1+1 の3通り

 数がすべて異なるものは、

 5=4+1=3+2 の3通り で、両者は等しい。

n=6 のとき、その分割は、

 6=5+1=4+2=4+1+1=3+3=3+2+1=3+1+1+1=2+2+2
 =2+2+1+1=2+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1 の11通り

であるが、このうち、すべて奇数であるものは、

 5+1=3+3=3+1+1+1=1+1+1+1+1+1 の4通り

 数がすべて異なるものは、

 6=5+1=4+2=3+2+1 の4通り で、両者は等しい。

n=7 のとき、その分割は、

 7=6+1=5+2=5+1+1=4+3=4+2+1=4+1+1+1=3+3+1=3+2+2
 =3+2+1+1=3+1+1+1+1=2+2+2+1=2+2+1+1+1
 =2+1+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1+1 の15通り

であるが、このうち、すべて奇数であるものは、

 7=5+1+1=3+3+1=3+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1+1 の5通り

 数がすべて異なるものは、

 7=6+1=5+2=4+3=4+2+1 の5通り で、両者は等しい。

 こうしてみると、何となく

 「すべて奇数であるもの」 と 「数がすべて異なるもの」

は、同じ場合の数になりそう...。(→ Euler の分割恒等式と言われる。)

 これは、どんな原理で説明ができるのだろうか?

 オイラーは、この2種類の分割方法の数が等しいことを、母関数を用いて示したという。


 自然数nをこのように「すべて奇数であるもの」とか「数がすべて異なるもの」に分割する方
法の個数をQ(n)とおくと、

 Q(1)=1、Q(2)=1、Q(3)=2、Q(4)=2、Q(5)=3、Q(6)=4、Q(7)=5、Q(8)=6、

 Q(9)=8、Q(10)=10

であることが知られている。



  以下、工事中!