正n角形の対角線の交点                    戻る

 当HPの掲示板「出会いの泉」(平成22年8月17日付け)で、HN「凡人」さんが次の問題
を提起された。

 正n角形の対角線の本数は、n(n−3)/2 で求められるが、正n角形の対角線の

交点の個数は、n の式で表すことができるだろうか?


 凡人さんは、図を描くことで、次の表を得られた。

個数 13 35 49

        
        正7角形の対角線の交点

 正7角形の場合、7つの頂点から4つ選び四角形を作ると、その対角線の交点が一つ決
まることから、74=35(個)となる事が分かる。

 また、正6角形で同様に計算すると、 64=15(個)だが、中心で3本の対角線が1点で
交わっていることから、3回数えており、余計な2回を引かなければならない。

 よって、正6角形の対角線の交点の個数は、15−2=13(個)となることが分かる。

 ところで、この2回というのは、 32−1 で計算することができる。

 このことから、正6角形の対角線の交点の個数は、 6432+1 と表すことができる。

 同様の考えで、正8角形では、 84−21 で求めることができると予想した。

 再び図を見ると、
         

3本の対角線が1点で交わる点が8個、4本の対角線が1点で交わる点が1個あり、

  (32−1)×8+(42−1)×1=21

が求められる。

 そこで、凡人さんは、以上の計算をもとに、一般に、

 正奇数角形の場合は、4(個)

 正偶数角形の場合は、4−Σ[k=3〜?]{(2−1)・ak}

のような形で書けるのではないかと予想された。

 凡人さんは、現在、次の問題点を研究中とのこと。

・正奇数角形であれば、3本の対角線が1点で交わることが無いのか?

・ak は具体的に求めることができるのか?



 この問題について、当HPがいつもお世話になっているHN「らすかる」さんが次のサイトを
紹介された。(平成22年8月18日付け)

  http://www.research.att.com/~njas/sequences/A006561

 それによると、「正奇数角形のとき、3本の対角線が1点で交わることはない」とのことです。

 さらに、当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんからご教示いただきました。
                                      (平成22年8月18日付け)

 下記の論文で完全に解かれているとのこと。

  http://arxiv.org/PS_cache/math/pdf/9508/9508209v3.pdf

 2006年の論文ですが、完全な式が与えられたのは初めてだと書いてあります。しかし、
1936年に本質的に解かれていたらしいです。計算ミスがあって完全ではなかった。

 この1936年の結果は気付かない人が多くて、1958年に次の問題が出された。

 n が素数のとき、正n角形の3本の対角線が1点で交わることはないことを示せ。

これに対して、素数の場合が1961年に、奇数の場合が1962年に解かれたそうです。

 即ち、凡人さんの1つ目の問いは、1962年(実際には、1936年?)に解かれているようで
す。


(コメント) 凡人さん、らすかるさん、FNさん、ありがとうございます。FNさんが紹介された
      論文によれば、

  正n角形の対角線の交点の個数は、

  4+ (−5n3+45n2−70n+24)/24・δ2(n)−(3n/2)・δ4(n)

     +(−45n2+262n)/6・δ6(n)+42n・δ12(n)+60n・δ18(n)

     +35n・δ24(n)−38n・δ30(n)−82n・δ42(n)−330n・δ60(n)

     −144n・δ84(n)−96n・δ90(n)−144n・δ120(n)−96n・δ210(n)

  ただし、 n≡0 (mod m) のとき、 δm(n)=1 で、

       その他の場合は、δm(n)=0


 で与えられるとのことなので、具体的に計算してみました。

例 n=8 のとき、

   84+ (−5・83+45・82−70・8+24)/24・δ2(8)−12・δ4(8)

     +(−45・82+262・8)/6・δ6(8)+42・8・δ12(8) +60・8・δ18(8)

     +35・8・δ24(8)−38・8・δ30(8)−82・8・δ42(8)−330・8・δ60(8)

     −144・8・δ84(8)−96・8・δ90(8)−144・8・δ120(8)−96・8・δ210(8)

 =84+ (−5・83+45・82−70・8+24)/24・−12・

     +(−45・82+262・8)/6・+42・8・+60・8・

     +35・8・−38・8・−82・8・−330・8・

     −144・8・−96・8・−144・8・−96・8・

 =70+(−2560+2880−560+24)/24−12

 =70−9−12

 =49

となり、冒頭の表の結果と一致する。(う〜む、なるほど!)



  以下、工事中