時計の数理
毎日、時計は黙々と健気に時刻を刻み続け休まることはない。もしかしたら人に注目さ
れるのが1日の内、数回にも満たないかも知れないというのにだ。
普段使っている「今、時間は何時かな?」は、正しくは「今の時刻はいつかな?」だろう。
時間はあくまでも「時刻と時刻の引き算」で求められる相対的な量である。「今、何時?」
というと、どうしてもサザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」が頭をよぎってしまう。
明治6年(1873)1月1日(明治5年12月3日相当)に太陽暦に改暦されたが、その理
由が面白い。それまでの太陰暦では年に13回給料を払わなければならないので財政上
の理由から改暦されたらしい。改暦と同時に、現行のような時法も定められた。改暦以前
は下図の十二支を用いた時法が使用されていた。国語の副読本等によく載っているもの
なので、ご存じの方も多いだろう。
午の刻を境に、それまでを 「午前」 : ante meridiem その後を 「午後」 : post meridiem ということは今でも用いられている。 子供の頃に限らず、今でも楽しみなのが 「おやつ」の時間。左図を見ると、午後2時 の前後1時間が「八つ時」であるが、1日 2食だった江戸時代に午後2時頃仕事の 手を休めて間食をとったことが由来と言わ れる。 現代でも、おやつとして糖分を補給する ことは健康上大切と言われている。 |
平成21年1月1日午前9時に「うるう秒」が1秒挿入された。
いつもだったら、「・・・、8時59分58、59、9時、・・・」と時刻が進むのであるが、この日は、
「・・・、 8時59分58秒 、 59秒 、 60秒 、 9時 、・・・」
と時刻が進み、「8時59分60秒」の1秒が挿入された。うるう秒の制度が始まった1972年
以来、今回で23回目になるという。意外に多いね!
日本では小学校に入学すると必ずと言っていいほど、「算数セット」なるものを買わされる。
その中には、おはじきや三角形、長方形などの図形とともに時計のおもちゃが入っている。
これらを十分に使いこなせるようになるのが日本における算数のリテラシーということになる
のだろう。
時計をいろいろいじくって観察すると、時計にもいろいろな数学的要素 が潜んでいることが伺える。 |
たとえば、長針、短針、秒針のある時計を考えて、下記のように、いろいろ興味ある問題
が目白押しである。
(1) 午前0時に同時に揃ってスタートした後、次の日の午前0時までの間に、長針は短針
を何回追い抜くか?
答えは、22回かな...。
(2) 午前0時から次の日の午前0時までの一日のうちで、長針と短針が重なるのは何回
あるか?
答えは、23回かな...。
(3) 午前0時から次の日の午前0時までの一日のうちで、長針と短針が反対向きになる
のは何回あるか?
(解) 長針、短針の午前0時から計った回転の一般角が等しくなる回数を調べればよい。
即ち、長針は1時間当たり360度回転するので、午前0時から計って m 時間後の一般角
は、360m(度)になる。
短針は、1時間当たり30度回転するので、午前0時から計って m 時間後の一般角は、
30m(度)になる。
題意より、 360m≡30m+180 (mod 360) が成り立つ。
即ち、 360m−30m−180=360n より、 330m−180=360n で、
11m−6=12n から、 m=(12n+6)/11
0≦m<24 なので、 0≦(12n+6)/11<24 より、−1/2≦n<43/2
この不等式を満たす整数 n は、 n=0、1、2、・・・、21 の22個存在する。
以上から、長針と短針が反対向きになるのは、22回ある。 (終)
(コメント) いつ題意のようになるのか大いに気になったので計算してみた。
n=0 のとき、m=6/11=0.5454545・・・ これは、0時32分43秒38 くらい?
n=1 のとき、m=18/11=1.6363636・・・ これは、1時38分10秒55 くらい?
n=2 のとき、m=30/11=2.7272727・・・ これは、2時43分38秒11 くらい?
n=3 のとき、m=42/11=3.8181818・・・ これは、3時49分05秒27 くらい?
n=4 のとき、m=54/11=4.9090909・・・ これは、4時54分32秒44 くらい?
n=5 のとき、m=66/11=6.0000000・・・ これは、6時00分00秒00 ちょうど。
n=6 のとき、m=78/11=7.0909090・・・ これは、7時05分27秒16 くらい?
n=7 のとき、m=90/11=8.1818181・・・ これは、8時10分54秒33 くらい?
n=8 のとき、m=102/11=9.2727272・・・ これは、9時16分21秒49 くらい?
n=9 のとき、m=114/11=10.363636・・・ これは、10時21分49秒05 くらい?
n=10 のとき、m=126/11=11.454545・・・ これは、11時27分16秒22 くらい?
n=11 のとき、m=138/11=12.545454・・・ これは、12時32分43秒38 くらい?
n=12 のとき、m=150/11=13.636363・・・ これは、13時38分10秒55 くらい?
n=13 のとき、m=162/11=14.727272・・・ これは、14時43分38秒11 くらい?
n=14 のとき、m=174/11=15.818181・・・ これは、15時49分05秒27 くらい?
n=15 のとき、m=186/11=16.909090・・・ これは、16時54分32秒44 くらい?
n=16 のとき、m=198/11=18.000000・・・ これは、18時00分00秒00 ちょうど。
n=17 のとき、m=210/11=19.090909・・・ これは、19時05分27秒16 くらい?
n=18 のとき、m=222/11=20.181818・・・ これは、20時10分54秒33 くらい?
n=19 のとき、m=234/11=21.272727・・・ これは、21時16分21秒49 くらい?
n=20 のとき、m=246/11=22.363636・・・ これは、22時21分49秒05 くらい?
n=21 のとき、m=258/11=23.454545・・・ これは、23時27分16秒22 くらい?
こんな計算をやっていると、普段味気ない計算も楽しくなりますね!
(4) 長針、短針、秒針上に回転の中心から等距離にある点をとるとき、その3点からなる
三角形で正三角形になる場合はあるか?
(解) 長針、短針、秒針の午前0時から計った回転の一般角が等しくなる回数を調べれば
よい。即ち、長針は1時間当たり360度回転するので、午前0時から計って m 時間後の一
般角は、360m(度)になる。
短針は、1時間当たり30度回転するので、午前0時から計って m 時間後の一般角は、
30m(度)になる。
秒針は、1時間当たり360×60=21600度回転するので、午前0時から計って m時間
後の一般角は、21600m(度)になる。
長針→短針→秒針 と時計回りに並ぶ場合は、30m≡360m+120 (mod 360)
より、11m+4≡0 (mod 360) すなわち、 11m+4=360k (kは整数)
21600m≡360m+240 (mod 360) より、
75m−1≡0 (mod 360) すなわち、 75m−1=360h (hは整数)
このとき、 11m+4=360k より、 m=(360k−4)/11
0≦m<24 なので、 0≦(360k−4)/11<24 より、1/90≦k<67/90
この式を満たす整数 k は存在しない。
長針→秒針→短針 と時計回りに並ぶ場合は、30m≡360m+240 (mod 360)
より、11m+8≡0 (mod 360) すなわち、 11m+8=360k (kは整数)
21600m≡360m+120 (mod 360) より、
177m−1≡0 (mod 360) すなわち、 177m−1=360h (hは整数)
このとき、 11m+8=360k より、 m=(360k−8)/11
0≦m<24 なので、 0≦(360k−8)/11<24 より、1/45≦k<34/45
この式を満たす整数 k は存在しない。
以上から、長針、短針、秒針上に回転の中心から等距離にある点をとるとき、その3点から
なる三角形で正三角形になる場合はない。 (終)
(5) 長針、短針、秒針は、1日に何回重なるか?
明らかに、午前0時をスタートと考えれば、まず「午前0時」に1回重なっている。この重な
りが、あと何回出現するかを問うているわけだだが、ありそうで実はそれほど起こり得ない
現象である。次の出現は「午後12時」で、結局、1日に2回しか、長針、短針、秒針は重な
らない。
(解) 午前0時より午後12時までの間に、長針と短針が重なるのは、11回ある。
もしも、午前0時より午後12時までの間に、長針、短針、秒針が重なるときがあるとすれ
ば、それは、11回のうちの何れかであり、しかも、11の約数でなければならない。ところが、
11は素数なので、約数は、1 と 11 のみである。
今、午前1時台で長針、短針、秒針が重なるものとする。
午前1時から計り始めて、x 秒後とする。
長針は、1秒間に、 360/3600=1/10(度)
短針は、1秒間に、 30/3600=1/120(度) 回転するので、長針と短針が重なるとす
ると、(1/10)x=30+(1/120)x より、 x=3600/11
すなわち、長針は、午前0時の位置から、 (1/10)x=360/11(度)回転している。
秒針は、1秒間に、 360/60=6(度)回転するので、秒針の位置は、午前0時の位置か
ら計り始めて、(3600/11)×6=21600/11(度)回転している。
これらの角度が一致しないので、午前1時台で長針、短針、秒針が重なることはない。
午後10時台も同様である。
以上から、1日のうちに、長針、短針、秒針が重なるのは、2回である。 (終)
また、次のような時刻に関する問題も時に人を悩ませる。
仲良し4人組が、午前9時に銀座三越の「ライオン像」前で待ち合わせをした。この像は大
正3年(1914)に誕生して以来、三越の象徴的存在であり、東京における有名な待ち合わせ
場所となっている。ただ、互いの持っている時計が電波時計でなく時刻がてんでんばらばら
で、4人全員がピッタシ約束の9時に集まることはなかった。
次のような状況で4人が無事待ち合わせ場所に到着できたらしい。
○ Aは自分の時計で1分程遅れてしまい皆に申し訳ないと思ったが、先に来ていたDか
ら、「まだ4分前だよ!」と言われて安心した。
○ Bも自分の時計で2分程遅れてしまい皆に申し訳ないと思ったが、Bより先に着いて
いたCから、「まだ3分前だよ!」と言われて安心した。
○ Cは自分の時計では6分前に着いたと思い余裕であったが、Aよりは遅かった。
○ Dは自分の時計で5分前に一番最初に待ち合わせ場所に着いた。Cに聞いたら、C
の時計と3分程ずれていた。
このとき、4人の時計のずれの最大値は如何ばかりであったろうか?
文章で考えると頭がグチャグチャになってしまうが、次のように、誰か一人、例えばDの時
計を基準にして表にまとめるとスッキリするだろう。
|
左の表は、Dの時計を基準に時系列で整理したもので ある。背景が薄緑色の時刻に到着している。 左表より、時計のずれの最大値は、8分となる。 |
(参考文献
: 山根英司 著 関数とは何だろう (講談社ブルーバックス))
上記のような時刻のズレを問う問題は入試問題に散見される。次の灘中学(2007)の問
題も面白い。
A、B、C の3つの時計を、ある日の正午に合わせた。その日、Aが午後6時を示すとき、
Bは午後5時50分を示し、Bが午後7時を示すとき、Cは午後7時20分を示した。Cがその
日の午後11時を示すとき、A、Bはそれぞれどんな時刻を示すか?
この問題を見て、ふと疑問に思ったことがある。時計の進み具合は、速さが一定なのか、
加速度が一定なのかということ。多分、小学生対象の試験であるので、「進む速さは一定」
ということが条件だろうが、果たしてこのことを暗黙の了解としていいのだろうか?
以下では、それぞれの時計の進む速さは一定であるものとして考えることにしよう。
A、B、C
の時計の進む速さを、それぞれ a 、b、c とすると、
正午を時刻の計り始めとして、各時計での経過時間(分)を表にまとめてみた。
正午 | ・・・・・ | ・・・・・ | ・・・・・ | |
A | 0 | 360 | X | |
B | 0 | 350 | 420 | Y |
C | 0 | 440 | 660 |
上表より、 360/a=350/b 、 420/b=440/c なので、
36b=35a 、 21c=22b
よって、 a/c=(a/b)(b/c)=(36/35)(21/22)=54/55 、b/c=21/22
より、 X=660・(54/55)=648 、 Y=660・(21/22)=630 となる。
すなわち、時計Aは、午後10時48分を示し、時計Bは、午後10時30分を示す。
(コメント) 文章を読んでいるだけでは頭が大混乱ですね!表にして整理することがポイン
トでしょう。
(追記) 平成22年4月19日付け
当HPの掲示板「出会いの泉」に、GAI さんが次のような問題を出題された。
(平成22年4月18日付け)
AM10時 x 分に会場に来た人が用事を済ませ、PM2時50分過ぎに会場を去ると
きに時計を見たら、来たときに長針と短針で作っていた角度と全く同じ角度に時計の
針が長針と短針の位置が逆転した状態で位置していたという。
さて、この人が会場に着いた時刻は10時何分であったのか?
この問いかけに対して、4月18日付けで、FNさんが次のように解かれた。
(一部文言等を加筆修正させていただきました...f(^^;) 。)
問題文によれば、時計が上図のようになっているということである。
左の時計が、「10時 x 分」、右の時計が、「2時 y 分」を示しているものとする。
ただし、 10<x<15 、 50<y<55 である。
このとき、短針は1時間で30°進むので、1分間当たり (1/2)°進む。
長針は、1時間で360°進むので、1分間当たり 6°進む。
条件より、長針と短針がちょうど逆の位置になり、左右の時計の長針と短針の間の角度が
等しいので、
6°・x=30°・2+(1/2)°・y すなわち x=10+y/12
30°・2−(1/2)°・x=360°−6°・y すなわち y=50+x/12
が成り立つ。 これを解いて、 x=2040/143 、 y=7320/143
これらは条件を満たす。
2040/143 を分秒単位に換算すれば、 14分15秒9404・・・
7320/143 を分秒単位に換算すれば、 51分11秒32866・・・
以上から、問題の答えは、「10時14分15秒9404・・・」となる。
ところで、FNさんによれば、問題文を素直に読めば、
長針と短針が逆になってその間の角が等しい
とも読むことができるという。
この場合は、 300+x/2−6x=6y−(60+y/2) すなわち、 x+y=720/11 とな
り解は無数にある。
また、出題者のGAI さんによれば、x や y を用いないで、比例の考えを使って解く方法も
あるとのことであるが、4月20日付けで、HN「mita」さんにその解法をご教示いただいた。
(一部文言等を加筆修正させていただきました...f(^^;) 。)
会場に来た人が会場を去るまでにいた時間で、短針の動いた角度をθとすると、長針は、
360°×4+360°−θ だけ動いているので、長針と短針の動いた角度の合計は、
θ+360°×4+360°−θ=360°×5=1800°
となる。長針と短針の動く速さの比は、 6 : 1/2=12 : 1 なので、
θ=1800°×1/13=(1800/13)°
10時ちょうどの短針と長針とのなす角は60°であるが、1分間当たり短針と長針のなす
角は、6−1/2=11/2(度)ずつ開いていくので、10時 x 分時点での短針と長針とのなす
角は、 60+(11/2)x (度) となる。
よって、 60+(11/2)x=1800/13 が成り立つ。
これを解いて、 x=2040/143 となり、分秒単位に換算すれば、14分15秒9404・・・
(コメント) mita さん、とても簡明で初等的な解法ですね!mita さんに感謝します。
FNさんより、上記の問題に関連する問題が提起されました。(平成22年4月25日付け)
上記の問題では、時計の長針と短針がちょうど入れ替わった位置にありました。では、あ
る時刻の長針と短針を入れ替えて正しい時刻を表すような場合は、12時間の間に何通り
あるでしょうか。
「0時=12時」は、もちろん条件を満たします。これは1つとします。
「10時(2040/143)分」と「2時(7320/143)分」は、もちろんそれぞれ1つとします。
この問題について、早速、HN「凡人」さんより解答が寄せられました。
(平成22年4月26日付け)
各時刻で、数字と数字の5分間に、1回ずつ存在する。
ただし、0時0〜5分と11時55分〜12時には存在しない。また、0時(=12時)に、1回存
在する。
以上から、 12(回)×12(時間)−2+1=143 (通り)
例えば、1時台であれば、
1時(60/143)分と0時(720/143)分、1時(60/11)分 (長針と短針が重なる)
1時(1500/143)分と2時(840/143)分、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時(7980/143)分と11時(1380/143)分 の12回 ある。
出題者のFNさんからのコメントです。(平成22年4月26日付け)
凡人さん、正解です! 私なら、方程式を作って解くという手にすぐに持っていってしまい
ます。すっきり理解できたかどうかは多少あやしいですがなんとかわかったような気がしま
す。この問題は数学パズルなんかにも載ってるらしいですが、以前に「数学セミナー」の「エ
レガントな解答を求む」で出題されたことがあるらしいです。出題者の用意していた解答は
次のようなものだったようです。
横軸に短針、縦軸に長針をとって(目盛りは、0から12でも0から60でもよい)グラフを書
くと、傾きが12の12本の線分になる。短針と長針を入れ替えると、傾きが1/12の12本の
線分になり、交点は、12×12=144 になる。0時0分=11時60分が重複して入ってい
るので、143本。
実質的には凡人さんと同じものかと思います。
(コメント) なるほど!グラフを使う手があるんですね。視覚的にハッキリしますね。
FNさん、凡人さんに感謝します。
(追記) 平成22年5月24日付け
私の大好きな番組「熱血!平成教育学院」(NTV系)で昨日マス北野から次のような問題
が出題された。
床に転がっているアナログ時計を見たら、短針と長針のなす角が65度で、ちょうど
「?時?0分」を示していた。これって、一体「何時何分?」。
ただし、アナログ時計には数字は書かれていないものとする。
正解者は宇治原さんただ一人で難しかった模様。しかし、次のように考えれば容易かな?
ポイントは長針が「?0分」という点!時計の1目盛りは、360°÷12=30°で、短針と
長針のなす角が65°ということから、短針は正時より、90°−65°=25°進んでいるこ
とになる。短針は、10分当たり5°進むので、25°÷5°=5 より、「50分」進んでいるこ
とになる。よって、長針の指す数字は「10」で、短針は数字の「7」と「8」の間にあることにな
る。したがって、正解は、「7時50分」になる。
(コメント) 面白い問題でした。マス北野さんに感謝!
(追記) 平成22年9月6日付け
時計の問題というと、
短針は1時間で30°進むので、1分間当たり (1/2)°進む
長針は、1時間で360°進むので、1分間当たり 6°進む
が基本になるが、次のような考え方も捨てがたい。
問 題 4時台で、時計の長針と短針が重なるのは、4時何分か?
(解) 0時ちょうどに長針と短針は重なっている。これから、12時間に長針は12周、短針
は1周する。すなわち、長針は、短針を11回追い越す。それは、12/11時間毎に起こる。
このとき、0時から数えて4回目の追い越しは、 4×(12/11)=48/11時間後 である。
「4時何分」かを計算するために、
48/11−4=4/11(時間)、4/11×60=240/11=21・(9/11) (分)
9/11×60=540/11=49・(1/11) (秒)
より、「4時21分49秒1/11」である。 (終)
(別解) 短針は1時間で30°進むので、1分間当たり (1/2)°進む
長針は、1時間で360°進むので、1分間当たり 6°進む
ので、求める時刻を「4時 n 分」とすると、30°×4+(1/2)°×n =6°×n
よって、 (11/2)n=120 より、 n=240/11
即ち、4時台で、時計の長針と短針が重なるのは、4時21分49秒1/11 である。 (終)
(追記) 令和2年2月9日付け
2つの時刻を足したり引いたりすることは、日常生活でもよくあることだろう。
例(1) 今、14時43分です。今から1時間28分後は何時何分ですか?
例(2) 今、14時43分です。今から3時間56分前は何時何分ですか?
素直に計算すれば、例(1)は、 14時43分+1時間28分=16時11分
例(2)は、 14時43分−3時間56分=10時47分
このように時分間で繰り上がり、繰り下がりが発生する場合は、次のように計算する裏技
があることを最近知ることができた。
例(1) 筆算で普通に、 1443+128=1571 と計算し、その結果に「40」を加えると、
1571+40=1611 → 16時11分
例(2) 筆算で普通に、 1443−356=1087 と計算し、その結果から「40」を引くと、
1087−40=1047 → 10時47分
このからくりは、十進数では100で繰り上がりが発生するが、60進数では60で繰り上がり
が発生する。両者の補正をするために「40」を加えるわけである。
繰り下がりの場合も考え方は、繰り上がりと同様である。