牛乳パックの真実                          戻る

    店頭で販売されている牛乳パックには、1000ml 用とか、500ml 用と
   かいろいろ種類がある。

    ここでは、1000ml 用の牛乳パックを話題にしよう。

    牛乳パックは、左図のような風貌をしている。外見上の寸法は、上部の
   とんがり部分以外の側面は、縦 19.6cm、横 7.15cm の長方形の形
   状をしている。(正確に測定したわけではないので、あくまでも近似値です。

    ここで、疑問がある。1000ml なので、ここは分かりやすく、
        10cm × 10cm × 10cm
   の立方体になぜしなかったのか、とても不思議だ。


 多分、流通上の問題、デザイン上の問題等いろいろあるのだろう。

   底面積が約50cm2 、 高さが約20cm

の直方体で、約 1000ml を表現しているところが面白い。

 ここで、「約 1000ml 」と書いたの
には訳がある。

 牛乳パックは、資源ゴミとして各自
治体で回収しているので、牛乳パッ
クを、右図のようにひろげたことがあ
る方は多いことと思う。

 これも近似値ではあるが、右図の
ような寸法になっている。

 そこで、単純に直方体の部分の容
積を計算してみると、

 7.02×19.5=955.5 (ml)

で、1000ml にはなっていない。

 これには理由がある。

 牛乳パックは材質が紙で、金属のように一様に側面が平面にはなっていない。牛乳の圧
力で、側面が微妙に膨らんでいることが見える。

 その膨らみ方を多少大げさに誇張したものが左下図である。これも正確に測ったわけで
はないので、あくまでも近似値である。

   膨らみの部分を四角錐として、その容積を計算してみよう。

     7.0×19.5×0.2×(1/3)=9.1 (ml)

   これが、4個の側面で起こりえるので、直方体の部分の容
  積にこの膨らみの部分の容積を加えれば、容積は全部で、

     955.5+9.1×4=991.9 (ml)

  となる。上記の計算は、だいぶ誤差を含んでいるので、きっ
  ちり 1000ml になることは望むべくもないが、ほぼそれに
  近い数値になっている。

   購入してきた牛乳パックを開けてみると、液面が長方形の
  縁より約5mm程度下にあるので、牛乳パックは、膨らみも
  考慮して、疑似直方体の容積=1025 (ml) で設計され
  ていることになる。

    牛乳パックを展開して採寸し、それから容積を計算して
   みて、「1000ml にはなっていない」ということに驚いたが、
   側面の膨らみの部分も考慮して牛乳パックが設計されて
   いることを知り、工業デザインの深遠さを痛感した。










(追記) 平成17年2月1日、当HPにKさんという方からメールを頂戴した。

 Kさんは、上記にある牛乳パックの展開図から、容積が一定の条件で、展開図を切り出
す紙の面積の最小値について考察された。

 企業としては牛乳パックを作るときに、なるべく無駄を省きたいわけで、これは、洋裁で
端切れがあまり出ないように型抜きをするのに似ている。

 Kさんの計算から、経済原理が働いて、このような形になったということが理解できた。

   Kさんの計算: 側面の長方形の長辺をL、短辺をMとし、必要な切出し長方形紙の
            面積をS=(4M+1.6)x(L+M+1.6)とする。体積V=MxMxL
            が一定の条件で、Sが最小となる場合を求めればよい。

 大変貴重なご意見をいただいたKさんに感謝いたします。

(追々記) 平成19年3月17日付け

 1リットルの容器には、中身も1リットル入っていると誰でも思うだろうが、何と沖縄では、
946ml しか入っていないという。1972年の本土復帰前の名残からか、1/4ガロンが常
識なのだという。なんか損した気分になりますね!