自然数nとn以下の数での互いに素である個数を、オイラーのトーシェント関数φ(n)という
が、更に、nとφ(n)が互いに素であるような、nを超えないすべての整数の個数をL(n)とする。
例
n: φ(n): gcd(n,φ(n))==1か?:L(n)
1 1 ○ 1
2 1 ○ 2
3 2 ○ 3
4 2 × 3
5 4 ○ 4
6 2 × 4
7 6 ○ 5
8 4 × 5
9 6 × 5
10 4 × 5
11 10 ○ 6
12 4 × 6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
が対応していく。このL(n)の列が、「A061091」にあり、そこに、エルディスが以下のことを示し
たと記載がある。
limn→∞ L(n) * log(log(log( n ))) / n = 1 / exp( gamma )
(この記事は他の本で数学定数辞典(スティーヴン・R・フィンチ著:朝倉書店)にも同じことが書かれていた。)
右辺は、 1 / exp( gamma )=exp(-gamma)=exp(-0.5772156649・・・)=0.561459・・・・・ なる
値であるが、L(n)をプログラムで組み、nを 10^7〜10^8 位で計算させても、とても上記の値
には届かない。(せいぜい0.304あたりで微小に増加が起こる程度)
もちろん、n→∞ だからとは思うが、この先どこまで大きいnを準備しないと、この値まで行
くのか見当も付かない。逆に、本当に、この記事は正しいのだろうか?という疑問がわく。
どなたか、この検証とご意見を聞かせて下さい。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年12月22日付け)
全く検証にはなっておらず、単なる「意見」でしかありませんが…。
n=10^7〜10^8 ではあまりにも小さすぎるだけでは?
(3重logがある式で、コンピュータで数えられるような数は小さすぎると思います)
n=10^100のとき、L(n)/n≒0.33
n=10^100000のとき、L(n)/n≒0.22
n=10^(10^118)で、L(n)/n≒0.1
n=10^(10^(10^24))で、L(n)/n≒0.01
n=10^(10^(10^243))で、L(n)/n≒0.001
n=10^(10^(10^2438))で、L(n)/n≒0.0001
n=10^(10^(10^2438387555))で、L(n)/n≒0.0000000001
数の程度が合っているかどうかは感覚的に全くわかりませんが、少なくとも「nが巨大なと
き、gcd(n,φ(n))=1であるものはほとんどない」ということだけは直感と合っていますね。
追記 「3重logがある式で、コンピュータで数えられるような数は小さすぎる」の実例
GAIさんが9月に書かれた「発散のイメージは難しい」の中にあった、Σ[k=2〜n]1/(klogk)
が10に達するnが約1.6×10^4321ということを踏まえ、仮に今回のL(n)*logloglogn/n が
1/exp(gamma) - 1/{Σ[k=2〜n]1/(klogk)}
のような変化だとしたら、10^7〜8ではあまりにも小さすぎることは明らかですね。
Σ[k=2〜n]1/(klogk) は2重logのオーダーですから、3重logならなおさらです。
GAI さんからのコメントです。(平成29年12月23日付け)
正に、無限大での話に対し10^7なんか米粒みたいなもので、地球の歴史で考えることを、
ここ100年,200年の過去を指してちょっと雪や雨が多いと異常気象だと騒いでいることに
似てなくもないですね。
リンクに貼ってあるエルディスの論文を見ていたら、最後ら辺に
L(n)*log(2)*log(log(n))/n
なる、気になる式が書かれてあったので、これで、n=10^7〜10^8 辺りの計算機で処理可能
な範囲での様子を見ると、上記の値が、
n=10^7 →0.5573408・・・
n=2*10^7→0.5630533・・・
n=3*10^7→0.5662372・・・
・・・・・・・・・・・・
n=10^8 →0.5753089・・・
と、exp(-gamma)=0.561459・・・ に近いものになることが起こるみたいです。
(あくまで近似的という意味で極限が一致ではない。)
これに対し、エルディスが示したことは莫大な大きさでは極限が一致できるという真理を指
摘していることになる。
エドムント・ランダウがオイラーのトーシェントφ(n)関数に対し、
limn→∞ inf(φ(n)*log(log(n))/n)=exp(-gamma)
を証明していることと合わせて、想像を遥かに超える数に対しても直感が働いていける能力
に驚いてしまいます。らすかるさんのご指摘で、何となくそんな事が起こっても不思議ではな
いんだという感覚は持てました。
GAI さんからのコメントです。(平成29年12月25日付け)
2重logの実例です。調和級数 S1=Σn=1〜∞ 1/n に対し、
limn→∞(Σn=1〜∞ 1/n-log(n))=0.5772156649・・・=γ (オイラーのガンマ定数)
なる定数が存在することに対応して、素数pの逆数和 S2=Σp≦n 1/p と自然数n以下でのす
べての素数pの逆数和においては、
limn→∞(Σp≦n 1/p-log(log(n))=0.2614972128476・・・=M (マルセイ・メンテンス定数)
なる定数が見つかっているので、一般に、S1、S2がそれぞれ整数kを初めて超える必要な
nの大きさを、n1、n2 とすると、
n1≒round(e^(k-γ)) 、n2≒e^(e^(k-M))
から推測してみると、
k: n1: n2:
-----------------------------------
2: 4: 296 (正しくは277で超えてしまう。)
3: 11: 5198159
4: 31: 1801241234963748934
5: 83: 4.20522*10^49
6: 227: 7.78833*10^134
7: 616: 4.70937*10^366
8: 1674: 5.25354*10^996
9: 4550: 2.32859*10^2709
10:12367: 6.65791*10^7364
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
和を10以上になすために必要な自然数の範囲がこうも開きが起こることが、この2つの級
数の発散のスピードの違いで教えてくれます。
GAI さんからのコメントです。(平成29年12月27日付け)
2重logの活用例です。
素数は言わずと知れた気まぐれもの。いつどんな間隔で現れるのかも、n番目の素数が何
になるのかも先々闇の中に隠れてその正体は不明。ところが、これらが集団で成す振る舞
いは調和そのものを感じさせる行動をとる。
この頃n番目に出現してくる素数prime(n)が、n≧20 なるnに対して
n*(log(n)+log(log(n))-1.5)<prime(n)<n*(log(n)+log(log(n))-0.5)
なる範囲にひょっこり顔を出すことを知った。
(まだよく調べてはいないが上記の誤差分の「1.5」、「0.5」はもっと絞れるような気もする。)
以下、計算結果を出しておきます。ただし、両端は、roundをかけて算出しています。