Σk=1〜∞ 1/k や Σk=2〜∞ 1/(klog(k)) はいずれも発散し、項を加えれば加えるだけい
くらでも大きくできる。しかし、その増加量は微々たるものであることを実感するため、
Σk=1〜n 1/k>10 や Σk=2〜n 1/(klog(k))>3 が初めて起こる項数の最小値nをそれぞ
れで探して下さい。
また、下の値が10を超えるためには集める項数はどれくらいと見積もられるでしょうか?
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月8日付け)
「遅く発散する級数」について、以前考えたことがあります。
(log x )’=1/x から、 Σk=1〜n 1/k>∫1n dx/x=log n → ∞ (調和級数)
(loglog x )’=1/(xlog x ) から、
Σk=2〜n 1/(klog k )>∫2ndx/(xlog x )=loglog n -loglog 2 → ∞
(logloglog x )’=1/(xlogxloglog x ) から、
Σk=3〜n 1/(klogkloglog k )>∫3ndx/(xlogxloglog x ) → ∞
同様に、
Σk=16〜∞ 1/(klogkloglogklogloglog k ) 〜 loglogloglog n
Σk=3814280〜∞ 1/(klogkloglogklogloglogkloglogloglog k ) 〜 logloglogloglog n
Σk=3〜n 1/(klogkloglog k ) だと、n=10^(1千億)でも8程度にしかなりません(が、発散します)。
ちなみに、f(x)=log(x+1) とおいて、f(f(f(…(n))…)を考えれば、Σの始値を気にせずにいくら
でも遅く発散する級数が作れます。こうすると、
Σk=1〜n 1/(k+1) 〜 f(n)
Σk=1〜n 1/{(k+1)(f(k)+1)} 〜 f(f(n))
Σk=1〜n 1/{(k+1)(f(k)+1)(f(f(k))+1)} 〜 f(f(f(n)))
・・・
のようになります。
GAI さんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
ものがよく見えている人は、そのことについて自分の頭で一度深く考えているからなんで
すね。正に自分が思った疑問や感覚はこんな例は考えつきもしませんが、そのことを深く教
えてくれる。らすかるさん、本を出版してください。どこにもこんな例を上げて級数の意味を
考えさせる本は見当たりません。らすかるさんがいろいろな場面で経験してきた気付きの集
大成を是非本にまとめて世に出して下さい。
ちなみに、
Σk=1〜12367 1/k=10.000043・・・ 、Σk=2〜8718 1/(klog(k))=3.0000039・・・
S(n)=Σk=2〜n 1/(klog(k))-∫2n 1/(tlog(t))dt =Σk=2〜n 1/(klog(k))-log(log(n))+log(log(2))
でn→∞を考えると(n=100000000で数値計算)、S(n)→0.4281657251318・・・ より、
Σk=2〜n 1/(klog(k))≒log(log(n))-log(log(2))+0.4281657251318・・・=log(log(n))+0.7946786454・・・
g=0.7946786454(勝手にGAI定数と名付ける)とおけば、
Σk=2〜n 1/(klog(k))=N の総計を起こすnは、log(log(n))≒N-g から、n≒exp(exp(N-g))
これを元に計算させると、
N ; n
1 ; 3.41411940607736934
2 ; 28.1580007663448402
3 ; 8718.18892555003914
4 ; 51426757506.3776809
5 ; 1.30626354724069148 E29
6 ; 1.39822628145392255 E79
7 ; 1.38033663666436018 E215
8 ; 6.47309292366542609 E584
9 ; 4.80195847024516754 E1589
10 ; 1.59262186933507216 E4321
よって、10を超えるためには、項の数を1.6*10^4321(個)の膨大な数だけ集めねばならな
い!
DD++さんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
らすかるさんの「いくらでも遅く発散する級数が作れます」は、いくらでも「遅く発散する級数」
が作れます、の意味では正しいとして、さて、「いくらでも遅く発散する」級数が作れます、の
意味ではこれは正しいのでしょうか?
(∞に発散する任意の級数に対し、それより遅く発散する級数が作れる)
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
「遅く発散」の定義が(自分で書いておいて)よくわかりませんが、例えば、∞に発散する級
数Σa[k]があったとして、
b[1]=a[1]、b[2]〜b[11]=a[2]/10、b[12]〜b[111]=a[3]/100、b[112]〜b[1111]=a[4]/1000、・・・
のようにすれば、「任意の級数Σa[k]に対して、それより遅く発散する級数Σb[k]が作れる」と
言えるのでしょうか…?
DD++さんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
Σa[k]→∞ であるような級数に対し、Σk=1〜∞ b[k] が Σk=1〜∞ a[k] より遅く発散すると
は、
Σb[k]→∞ かつ limn->∞ {Σk=1〜n b[k]}/{Σk=1〜n a[k]} = 0
というように、発散の遅さはランダウ記号と同様の定義でいいかと思いますが如何でしょう?
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
なるほど。それならば上に書いたb[k]で良さそうな気がしますが、如何でしょうか。
DD++さんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
a[10], a[10^10], a[10^(10^10)], a[10^(10^(10^10))], ……は 1、残りは全部 0 という
a[n] を
用意すると、部分和の比は 1 に収束するので、Σa[k] と同程度の遅さの発散になってしまう
と思います。
らすかるさんからのコメントです。(平成29年9月9日付け)
なるほど、確かにそうですね。では、
b[1]=[3]√a[1]
b[n]=([3]√Σk=1〜n a[k])-([3]√Σk=1〜n-1 a[k]) (n≧2)
(ここで、「[3]√」は三乗根)
とするのはどうでしょうか。
at さんからのコメントです。(平成29年11月23日付け)
なるほど!このようにb[n]を定義すれば、a[n]の部分和が負になる場合であっても、きちん
とb[n]は定義できていますね。
さらに、Σb[k]→∞ であること、および、lim[n→∞] {Σk=1〜n b[k]}/{Σk=1〜n a[k]} = 0 で
あることも一目瞭然です。
さらには、lim[n→∞](b[n]/a[n])=0 であることも容易に示せますね。
いやはや、なんとも簡潔で明瞭なb[n]の具体例です。よい勉強になりました。