・三角比の総和                       DD++ 氏

 nを自然数とし、θ=π/(2n+1) とするとき、

 Σ[k=1...n] sin((2k-1)θ) = 1/2*cot(θ/2)

 Σ[k=1...n] (2k-1)*sin((2k-1)θ) = (2n+1)/2*cotθ

という2つの等式を様々な手段で証明してください。

#最近のある記事を見て面白い証明があるものだなあと思ったもので...。


 りらひいさんからのコメントです。(平成29年6月30日付け)

 とりあえず最初に思いついた方法で...。

  sin(θ) * Σ[k=1...n] sin((2k-1)θ)
= Σ[k=1...n] sin((2k-1)θ)*sin(θ)
= 1/2 * Σ[k=1...n] (cos((2k-1)θ-θ) - cos((2k-1)θ+θ))
= 1/2 * Σ[k=1...n] (cos((2k-2)θ) - cos((2k)θ))
= 1/2 * (cos(0) - cos(2nθ))
= 1/2 * (1 + cos(θ))

両辺を sin(θ)≠0 で割って、

  Σ[k=1...n] sin((2k-1)θ)
= 1/2 * (1 + cos(θ)) / sin(θ)
= 1/2 * (1 + 2*cos^2(θ/2) - 1) / (2*sin(θ/2)*cos(θ/2))
= 1/2 * cos(θ/2) / sin(θ/2)
= 1/2 * cot(θ/2)

  2*sin(2θ)*sin(θ) * Σ[k=1...n] (2k-1)*sin((2k-1)θ)
= 2*sin(2θ) * Σ[k=1...n] (2k-1)*sin((2k-1)θ)*sin(θ)
= sin(2θ) * Σ[k=1...n] (2k-1)*(cos((2k-1)θ-θ) - cos((2k-1)θ+θ))
= sin(2θ) * Σ[k=1...n] (2k-1)*(cos((2k-2)θ) - cos((2k)θ))
= sin(2θ) * (cos(0) - (2n-1)*cos(2nθ) + Σ[k=1...n-1] 2*cos((2k)θ))
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + Σ[k=1...n-1] 2*cos(2kθ)*sin(2θ)
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + Σ[k=1...n-1] (sin(2kθ+2θ) - sin(2kθ-2θ))
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + Σ[k=1...n-1] (sin((2k+2)θ) - sin((2k-2)θ))
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + sin(2nθ) + sin((2n-2)θ)) - sin(2θ) - sin(0)
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + sin(θ) + sin(3θ) - sin(2θ) - 0
= (2n-1)*sin(2θ)*cos(θ) + sin(θ) + sin(3θ)
= (2n-1)*sin(2θ)*cos(θ) + sin(θ) + 3*sin(θ) - 4*sin^3(θ)
= (2n-1)*sin(2θ)*cos(θ) + 4*sin(θ)*(1 - sin^2(θ))
= (2n-1)*sin(2θ)*cos(θ) + 4*sin(θ)*cos^2(θ)
= (2n-1)*sin(2θ)*cos(θ) + 2*sin(2θ)*cos(θ)
= (2n+1)*sin(2θ)*cos(θ)

両辺を 2*sin(2θ)*sin(θ)≠0 で割って、

  Σ[k=1...n] (2k-1)*sin((2k-1)θ)
= (2n+1)/2*cos(θ)/sin(θ)
= (2n+1)/2*cot(θ)


 DD++さんからのコメントです。(平成29年6月30日付け)

 sin(2θ) * (cos(0) - (2n-1)*cos(2nθ) + Σ[k=1...n-1] 2*cos((2k)θ))
= sin(2θ)*(1 + (2n-1)*cos(θ)) + Σ[k=1...n-1] 2*cos(2kθ)*sin(2θ)


の部分も sin(2θ) ではなく sinθ をかけた方が楽だったのでは……。


 りらひいさんからのコメントです。(平成29年6月30日付け)

 ああ、そうか。言われてみればそうですねー。昨日は特に深く考えずに思いついたままに
手を動かして答えまでもっていこうとしてただけなので、とりあえずできたからいいかなーで
終わってました。


 GAI さんからのコメントです。(平成29年7月1日付け)

 これを、「cos」にしたものは、

 Σ[k=1...n] cos((2k-1)θ) = 1/2

 Σ[k=1...n] (2k-1)*cos((2k-1)θ) = (2n+1)/2-1/(2*(1-cosθ))

となるわけですか?


 DD++さんからのコメントです。(平成29年7月3日付け)

 等式としてはそうですね。何か面白い証明方法はあるでしょうか?


 DD++さんからのコメントです。(平成29年7月3日付け)

 1種類しか証明いただけませんでしたが、他にも e^(iθ) を使って等比数列で処理する方法
などがありますね。そして、私が面白いと思ったのは「正7角形のある性質」の二等辺三角形
分割を用いるものです。

 1辺の長さが a である正 2n+1 角形 OP[1]P[2]……P[n]Q[n]……Q[2]Q[1] を考えます。

 まず、△OP[1]P[2] は、等辺の長さが L、頂角 (2n-1)θ、底角 θ の二等辺三角形です。

 n≧3 のとき、この三角形と線分 OP[2] について対称な三角形を作ります。すると、
△OP[2]P[3] の一部に等辺の長さが L、頂角 (2n-1)θ、底角 θ の二等辺三角形ができ、
残りの部分は等辺の長さが L、頂角 (2n-3)θ、底角 2θ の二等辺三角形になります。

 n≧4 のとき、この2つの三角形と線分 OP[3] について対称な2つの三角形を作ります。す
ると、△OP[3]P[4] の一部に等辺の長さが L、頂角 (2n-1)θ、底角 θ の二等辺三角形と、
等辺の長さが L、頂角 (2n-3)θ、底角 2θ の二等辺三角形ができ、残りの部分は等辺の
長さが L、頂角 (2n-5)θ、底角 3θ の二等辺三角形になります。

 n≧5 のとき、この3つの三角形と線分 OP[4] について対称な3つの三角形を作ります。す
ると、△OP[4]P[5] の一部に等辺の長さが L、頂角 (2n-1)θ、底角 θ の二等辺三角形と、
等辺の長さが L、頂角 (2n-3)θ、底角 2θ の二等辺三角形ができ、等辺の長さが L、頂角
(2n-5)θ、底角 3θ の二等辺三角形ができ、残りの部分は等辺の長さが L、頂角 (2n-7)θ、
底角 4θ の二等辺三角形になります。

 以下、n-2 個の三角形と線分 OP[n-1] について対称な n-2 個の三角形を作り、
△OP[n-1]P[n] の残りの部分が等辺の長さが L、頂角 3θ、底角 (n-1)θ の二等辺三角形
になるところまで繰り返します。

 同様に Q 側も二等辺三角形に分割していきます。

 最後に、n≧2 のとき、△OP[n-1]P[n] 内の n-1 個の三角形と線分 OP[n] について対称な
n-1 個の三角形を作ると、△OP[n]Q[n] の残りの部分が等辺の長さが L、頂角 θ、底角 nθ
の二等辺三角形になります。

 これで正 2n+1 角形全体が等辺の長さが L の二等辺三角形に分割されました。

 これを用いて等式を証明します。

 △OP[n]Q[n] は n 個の二等辺三角形に分割されていて、頂角 θ のものが1つ、頂角 3θ
のものが1つ、……、頂角 (2n-1)θ のものが1つ、なので、その面積の合計は、

  1/2*L^2*(sinθ+sin3θ+……+sin(2n-1)θ)

 一方、△OP[n]Q[n] 自体も底辺の長さが L、頂角 θ、底角 nθ の二等辺三角形なので、
その面積は 1/2*L*(L/2)cot(θ/2) = 1/4*L^2*cot(θ/2) です。

 よって、  1/2*L^2*(sinθ+sin3θ+……+sin(2n-1)θ) = 1/4*L^2*cot(θ/2)  より

  sinθ+sin3θ+……+sin(2n-1)θ = 1/2*cot(θ/2)

 また、正 2n+1 角形 OP[1]P[2]……P[n]Q[n]……Q[2]Q[1] は  n^2 個の二等辺三角形に
分割されていて、頂角 θ のものが1つ、頂角 3θ のものが3つ、……、頂角 (2n-1)θ のも
のが (2n-1) 個、なので、その面積の合計は、

   1/2*L^2*(1sinθ+3sin3θ+……+(2n-1)sin(2n-1)θ)

 一方、正 2n+1 角形自体は中心と頂点を結んで考えれば、その面積は、

   1/2*L*(L/2)cotθ*(2n+1) = (2n+1)/4*L^2*cotθ

です。よって、 1/2*L^2*(1sinθ+3sin3θ+……+(2n-1)sin(2n-1)θ) = (2n+1)/4*L^2*cotθ

より、  1sinθ+3sin3θ+……+(2n-1)sin(2n-1)θ = (2n+1)/2*cotθ

# 三角比の等式を証明するときに辺の長さを使うことは多いですが、面積を使うのは珍し
  い例ではないかと思います。


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