・ 倍数の性質                     S.H氏

 例えば、
      471は、3の倍数。
      472は、その一部72が、3の倍数。
      473は、その一部3が3の倍数。
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 このように見てくると、3桁の数は、必ず自分自身か、その連続する一部が3の倍数にな
るという性質を持っていそうである。

 この性質は、鳩ノ巣原理を用いて、容易に示すことができる。

 3桁の数を、abc とする。このとき、abc が3の倍数ならば、何も問題はない。

連続する一部として、次の3個の数 c、bc、abc を考える。この中に、3の倍数があれば、

何も問題はない。

 これら相異なる3個の数が、3の倍数でないとすると、3で割った余りは、1または2であ

る。よって、鳩ノ巣原理により、どれか2つの数の余りは等しい。

 この2つの数の差をとり、10のべきで割り算することによって得られる連続する一部は、

10と3が互いに素なので、3の倍数となる。

 このことは、一般的にも成立する。

定理 任意の p 桁の数は、自分自身か、その連続する一部が p の倍数になる。
   ただし、p と10は互いに素とする。

 今まで、全然気にせず素通りしてきたことに、光があてられたような気分である。


(参考文献:中村義作 著 数学パズル 20の解法 (講談社))


 HN「鼈甲」さんからのコメントです。(平成24年8月13日付け)

 上記の定理に関して思ったのですが、p は、自然数?素数?どういう数ならいいのですか
ね。

 例えば、11111は、どこをとっても5の倍数ではありませんし(5は素数)、例えば、9桁の数
については、常に命題は成り立ちます(9は合成数)。

 結局、p は、「素因数に2も5も持たない数」であることが必要十分と思うのですが、どうで
しょう。

 それから、12345678901(11桁)の中に11の倍数は0しかありません。だから、0も倍数に認
める必要がありますね。


(コメント) 2003年9月5日に投稿されたもので、ほぼ9年ぶりの見直しです!

 確かに、HN「鼈甲」さんの反例からも分かるように、上記の定理は一般に成り立つという
のは語弊がありそうですね。証明の問題点をもう一度整理したいと思います。

 p桁の数を、abc・・・def とする。このとき、abc・・・def がpの倍数ならば、何も問題は

ない。連続する一部として、次のp個の数 f、ef、・・・、abc・・・def を考える。

 この中に、pの倍数があれば、何も問題はない。これら相異なるp個の数が、pの倍数で

ないとすると、pで割った余りは、1、2、・・・、p−1の何れかである。

 よって、鳩ノ巣原理により、どれか2つの数の余りは等しい。

 この2つの数の差をとり、10のべきで割り算することによって得られる連続する一部が、

p の倍数となるためには、10とpが互いに素であることが必要十分である。


(コメント) 定理の不備をご指摘いただいたHN「鼈甲」さんに感謝します。上記の定理は修
      正済みのものです。


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