・サイコロの目                         GAI 氏

 通常のサイコロ{1,2,3,4,5,6}の2個の目の和の確率分布と同等の分布をするものに、
{1,2,2,3,3,4}と{1,3,4,5,6,8}の目を使うことが可能となる。

 そこで、今度は正八面体のサイコロ{1,2,3,4,5,6,7,8}の目2個の目の確率分布と同等の分布
を起こす異なる目のサイコロの組合せは何か?

 ただし、同じ目が重複していても良いものとする。


 Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成28年4月30日付け)

 中学生のとき先生が出していたのを思い出します。初歩の組み合わせ論の知識と因数分
解ができれば、解けると思います。

(答え) 1, 3, 3, 5, 5, 7, 7, 9 と 1, 2, 2, 3, 5, 6, 6, 7

     1, 2, 5, 5, 6, 6, 9, 10 と 1, 2, 3, 3, 4, 4, 5, 6

     1, 3, 5, 5, 7, 7, 9, 11 と 1, 2, 2, 3, 3, 4, 4, 5

でしょうか?


(コメント) GAIさんの前半部分を確認しておきたいと思います。

 通常のサイコロの目の和の出方は、

 2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12

の11通りあり、それらの確率は、順次

 1/36、2/36、3/36、4/36、5/36、6/36、5/36、4/36、3/36、2/36、1/36

 {1,2,2,3,3,4}と{1,3,4,5,6,8}の目のさいころを使うときの目の和の出方は、

 2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12

の11通りあり、それらの確率は、順次

 1/36、2/36、3/36、4/36、5/36、6/36、5/36、4/36、3/36、2/36、1/36

で、両者の確率分布は一致する。

 しかも、このように一致する確率分布を持つものは、{1,2,2,3,3,4}と{1,3,4,5,6,8}の目のさいこ
ろに限ることが次のように示される。

 題意より、{1,2,3,4,5,6}の目の和と同じ確率分布を持つサイコロとして、

 {1,*,*,*,*,a} と {1,*,*,*,*,b}

とおくと、a+b=12から、(a,b)=(10,2)、(9,3)、(8,4)、(7,5)の場合が考えられ
る。目の和が1、12となるのは1通りしかないので、2≦*≦最大数−1 である。

 このことから、(a,b)=(10,2)の場合は明らかに起こりえない。

(a,b)=(9,3)の場合は、{1,*,*,*,*,b}={1,2,2,2,2,3} で、和=3となる場合が4通り以上あり
矛盾するので、起こりえない。

(a,b)=(8,4)の場合は、{1,*,*,*,*,4} で、2≦*≦3 である。この場合の可否は不明。

(a,b)=(7,5)の場合は、{1,*,*,*,*,5} で、2≦*≦4 である。この場合の可否は不明。

 上記の2つの場合の可否が不明なので、別途の方策が必要となる。

(→ 参考:「目の和」)

 2つのサイコロの目の和kは、母関数 (x+x2+x3+x4+x5+x6)2 の展開式のxkの係数で考
察されることから、この通常のサイコロと同等な役割を演じる2つのサイコロの有り様を考
察する。(通常の1〜6の目を逸脱する。)

 母関数は、(x+x2+x3+x4+x5+x6)2=x2(x+1)2(x2-x+1)2(x2+x+1)2 と因数分解されること
から、ここに出現する因数に着目し、これを2グループ[P|Q]に分けること(ただし、xはどちら
も1個含む)を考えればよい。

 題意より、 (x+x2+x3+x4+x5+x6)2=x(x+1)(x2+x+1)(x2-x+1)2・x(x+1)(x2+x+1) と因数分
解されることが必要である。すなわち、

  (x+x2+x3+x4+x5+x6)2=(x+x3+x4+x5+x6+x8)(x+2x2+2x3+x4)

 このことから、求めるサイコロは、{1,3,4,5,6,8}と{1,2,2,3,3,4} となる。

 Seiichi Manyamaさんの3つの解も母関数

  (x+x2+x3+x4+x5+x6+x7+x8)2=x2(x+1)2(x2+1)2(x4+1)2

の因数分解と因数の組み合わせを利用したものであろう。


 因みに、正4面体のサイコロ{1,2,3,4}が2個の場合は、確率分布が同じになる場合は、1通
りあり、{1,3,3,5}と{1,2,2,3} がその解となる。

 正12面体のサイコロ{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12}が2個の場合は、確率分布が同じになる場
合は、7通りあることが知られている。



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