(問題) 8%の食塩水Aが300g、12%の食塩水Bが200gある。この2つの食塩水に対して、
以下の操作を行う。
Aから100gをくみとり、Bから100gをくみとった後、Aからくみとった100gをBに加え、Bからくみ
とった100gをAに加える。
この操作をn回行った時、A、Bの濃度は何%か。
(解) 操作をn回行った時のA、Bの濃度を、a[n]、b[n] (%) とする。
a[0]=8 、a[1]=(16+12)/300×100=28/3 、a[2]=86/9 、・・・ (単調増加)
b[0]=12 、b[1]=10 、b[2]=29/3 、・・・ (単調減少)
a[0]<a[1]<a[2]<…<a[極限]=48/5=b[極限]<…<b[2]<b[1]<b[0] (振動しない)
これらより、a[0]-b[0]=-4 、a[1]-b[1]=28/3-10=-2/3=-4×(1/6)=(a[0]-b[0])×(1/6)
a[2]-b[2]=86/9-29/3=-1/9=-2/3×(1/6)=(a[1]-b[1])×(1/6)
これらから、簡便に、(私の腕前では、漸化式で計算すると40行ぐらい必要です)
a[n]=48/5+( 8-48/5)(1/6)^n=48/5-( 8/5)(1/6)^n
b[n]=48/5+(12-48/5)(1/6)^n=48/5+(12/5)(1/6)^n
一般に、 a[n]=a[極限]+(a[0]-a[極限]){(a[1]-b[1])/(a[0]-b[0])}^n
b[n]=b[極限]+(b[0]-b[極限]){(a[1]-b[1])/(a[0]-b[0])}^n
a[極限]=48/5=b[極限]ですから、a[n]とb[n]の式の違いは、2項目のa[0]とb[0]の違いです。
こんな所に、辿り着きました。(終わり)
ヤフーの知恵袋で、ある方から「食塩の重さで連立漸化式を立てた方が分かり易い」と言
われましたが、食塩の重さの漸化式 A[n]=3a[n] 、B[n]=2b[n] では、
A[n]=3a[n]=3×48/5+3( 8-48/5)(1/6)^n=144/5-(24/5)(1/6)^n
B[n]=2b[n]=2×48/5+2(12-48/5)(1/6)^n= 96/5+(24/5)(1/6)^n
一般に、 A[n]=3a[n]=3a[極限]+3(a[0]-a[極限]){(a[1]-b[1])/(a[0]-b[0])}^n
B[n]=2b[n]=2b[極限]+2(b[0]-b[極限]){(a[1]-b[1])/(a[0]-b[0])}^n
という計算結果でした。当たり前の結果です。「分かり易い」のは、その人にとって分かり易い
だけのことだと思います。いかがでしょうか?違いがあるのでしょうか?違いがなければ、読
み捨てて下さい。失礼しました。
DD++さんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)
a[n+1]-b[n+1] = (1/6) (a[n]-b[n]) なる関係が、n=0、1 のときに成り立ったからといって、そ
れ以降も成り立つかどうかは一般にはわかりません。それでも「まあ成り立つと勝手に信じて
いいんじゃないの」というアバウトな扱いをするのであれば両者で違いはないでしょうね。しか
し、「数学でそんな勝手なことしちゃいかんだろ」ときちんと立式するのであれば、この問題は
保存量の存在する問題ですので、そこに近しい値を数列にした方が立式の意味がはっきりし
てわかりやすくなります。
りらひいさんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)
そこで終わってはいけません。最初の方を具体的に計算して一般式を予測することはいい
ですが、その式が本当に正しい答えとなっているかを確かめなければ数学の解答にはなりま
せん。今回の場合は、漸化式を立ててそれに代入して成り立つかどうか調べるだけなので、
すぐ終わると思います。わずかなひと手間ですが、それを怠ると数学の解答ではなくなってし
まうのでご注意ください。
文章題の解答における文字の置き方は解く側が自分のわかりやすさと計算のしやすさを考
慮して自由に決めていいと思います。正しい答えにたどり着けるなら本質は同じようなものに
なることがほとんどでしょう。今回の場合も「食塩水に対する食塩の量」なのか「食塩そのもの
の量」なのかの違いだけで、本質はほぼ同じです。
(コメント) こういう問題、好きですね!場面設定は違いますが、「意外な実験」に意外!と
思われるかな?
ももっこうの父さんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)
皆さん、ありがとうございました。濃度と食塩の重さのそれぞれでの計算結果です。
DD++さんからのコメントです。(平成27年12月30日付け)
両食塩水合わせて48gの食塩がある(保存量)ことはわかりきっているので、Aの食塩量を
a[n] とすると、Bの食塩量は 48-a[n] なので、 a[n+1] = (2/3) a[n] + (1/2) (48-a[n]) つまり、
a[n+1] = (1/6) a[n] + 24 となり、わざわざ連立漸化式にしなくても答えが出ますよ。
(コメント) DD++さんの素晴らしい着眼点に感動しました。まさに濃度問題の基本ですね。
濃度ではなく食塩の量に注目した方が分かりやすいと言われた理由かも知れな
いですね。
ももっこうの父さんからのコメントです。(平成27年12月30日付け)
そうですね。やはり、ヤフー板で指摘されたとおり、食塩の重さで計算するのが短くて済み
ますね。ありがとうございました。
ももっこうの父さんからのコメントです。(平成28年2月3日付け)
【問い】 容器Aには濃度aの食塩水がA、容器Bには濃度bの食塩水がB入っている。今、容
器Aから容器BへC移し、よく混ぜ、次に、容器Bから容器AへC移す。
この操作をn回繰り返した後の容器A、容器Bの食塩水の食塩量と濃度を求めよ。
【解】 この操作をn回繰り返した後の容器A、容器Bの食塩水の食塩量をa[n]、b[n]とする。
a[n]+b[n]=Aa+Bb・・・(1) a[n]={(A-C)/A}a[n-1]+{C/(B+C)}{(C/A)a[n-1]+b[n-1]}・・・(2)
(2)に(1)の b[n-1]=Aa+Bb -a[n-1] を代入して、
a[n]={B(A-C)/A(B+C)}a[n-1]+{C/(B+C)}(Aa+Bb)・・・(3)
さて、a[n]-α={B(A-C)/A(B+C)}(a[n-1]-α)・・・(4) とおく。
(3)と(4)の係数を比較して、α=A(Aa+Bb)/(A+B)・・・(5)
(5)を(4)に代入して、
a[n]=A(Aa+Bb)/(A+B)+{AB(a-b)/(A+B)}{B(A-C)/A(B+C)}^n
b[n]=B(Aa+Bb)/(A+B)-{AB(a-b)/(A+B)}{B(A-C)/A(B+C)}^n(@より)
容器A、Bの食塩水の濃度をA[n]、B[n]とすると、
A[n]=(1/A)a[n]=(Aa+Bb)/(A+B)+{B(a-b)/(A+B)}{B(A-C)/A(B+C)}^n
B[n]=(1/B)b[n]=(Aa+Bb)/(A+B)-{A(a-b)/(A+B)}{B(A-C)/A(B+C)}^n
#ヤフー知恵袋では無反応でした。(1)式はよく効く式です。