・周期数列                               KS氏

 同じ数が、一定の区間で繰り返す周期数列は、複素平面で円を等分して得られるか、剰
余を利用するとか、ガウス記号を利用するものしか知りませんでしたが、

 A(1)=6、A(2)=1、A(n+2)=(1+A(n+1))/A(n)

で示される数列は、周期5の数列であることを知りました。数学の奥深さを感じます。他にも、
周期数列がありますか。


 S(H)さんからのコメントです。(平成27年12月4日付け)

 z1、z2、(1 + z2)/z1、(1 + z1 + z2)/(z1z2)、(1 + z1)/z2、z1

と、確かに、(z1,z2)∈C2 で周期点列ですが、如何にして見出されましたか?(出典は?)


 りらひいさんからのコメントです。(平成27年12月5日付け)

 試してみたらなぜかできてしまったので載せてみます。

 初項、第2項、第3項は適当に決めておいて、

 A[n+3]=(1+A[n+1]+A[n+2])/A[n]

という漸化式で作られる数列。

 他には、「1次分数関数」にあるように、

 Sを3以上の整数、 p≠q として、初項は適当に決めて、

 A[n+1]=p-{(p-q)/(2cos(π/S))}^2/(A[n]-q)

として得られる数列。

※わたしはすべてのSで成り立つか確かめていませんが…。


 KSさんからのコメントです。(平成27年12月6日付け)

 A(N+2)=A(N+1)/A(N)が周期6であることがわかりました。


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年12月6日付け)

 A(N+2)=A(N+1)/A(N) の周期は、1や3もあり得ますね。「最長周期」という意味なら6
ですが。


(コメント) 周期1: 1,1,1,1,1,1,・・・
       周期3: 1,−1,−1,1,−1,−1,・・・
       周期6: 1,a,a,1,1/a,1/a,1,・・・


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月7日付け)

 これはけっこう自明な周期性を持ちます。

 例えば、B(n+2)B(n+1)B(n)=1という漸化式があれば、1つずらして
B(n+3)B(n+2)B(n+1)=1でもあるわけですから、これは明らかに周期3です。

 それで、A(n)=B(n) (nが偶数)、A(n)=1/B(n) (nが奇数) とすれば、

   A(n+2)A(n)/A(n+1)=1 つまり A(n+2)=A(n+1)/A(n)

という漸化式になり、周期が2と3の最小公倍数の6になります。

 これがこの漸化式のカラクリ。

 同様に作れるものに、

A(n+2)=-A(n+1)/A(n) (周期6) 、A(n+2)=-A(n+1)-A(n) (周期3)
A(n+2)=A(n+1)-A(n) (周期6) 、A(n+2)=iA(n+1)+A(n) (周期12)i は虚数単位

など。

 k項間漸化式で定義される周期Nの数列で、Nがkの倍数であるものはさほど不思議では
ないのです。一方で、k項間漸化式で定義される周期Nの数列で、Nとkが互いに素になるも
のは非自明で、大変不思議です。最初に挙げられたのがまさにその例ですね。

 脱線への脱線ですが、周期は2もありえますよ。A(1)=ω、A(2)=ω2 とか。(ωは1の虚三
乗根)


 KSさんからのコメントです。(平成27年12月8日付け)

 任意の周期数列を作る。N個の積のみの基本対称式の場合「1」と置くことで、周期Nの漸
化式形式の数列が作れ、他のN個の基本対称式の場合は式を「0」と置くことで同様の数列
が作れます。最初の数列の意外なところは、少ない変数でより大きな周期をえるところでしょ
うか。


 りらひいさんからのコメントです。(平成27年12月8日付け)

証明への着想を得ましたので、実際に証明してみました。

 Sを3以上の整数、p≠q とする。このとき、

 A[n+1] = p - ((p-q)^2/(4cos(π/S)^2)) / (A[n]-q)

という漸化式を満たす数列が、A[n+S] = A[n] を満たすことを証明する。

 B[n] = (A[n]-p) / (p-q) とおく。

 A[n] = (p-q)B[n] + p 、A[n+1] = (p-q)B[n+1] + p

を漸化式に代入して整理すると、

 B[n+1] = - (1/(4cos(π/S)^2)) / (B[n]+1)

となる。B[n+S] = B[n] ならば、A[n+S] = A[n] であるため、以下では、B[n+S] = B[n] の証明
を目指す。

 k = 4cos(π/S)^2 とおくと、漸化式は、B[n+1] = -1/(kB[n]+k) となる。

今、B[n] = u[n]/v[n] と書けると仮定すると、

  u[n+1]/v[n+1] = - 1 / (ku[n]/v[n] + k)= - v[n] / (ku[n]+kv[n])

となるため、 u[n+1] = -v[n] 、v[n+1] = ku[n] + kv[n] である。これを行列で表すと、

 {{u[n+1]},{v[n+1]}} = {{0,-1},{k,k}}.{{u[n]},{v[n]}}

となる。ゆえに、

 {{u[n+S]},{v[n+S]}} = {{0,-1},{k,k}}^S.{{u[n]},{v[n]}}

 そこで、M = {{0,-1},{k,k}} とおいて、M^Sについて調べる。

 まず、k = 4cos(π/S)^2 について、S≧3 であるので、1 ≦ k < 4 である。

 Mの固有方程式は、x^2-kx+k であり、判別式 k^2-4k<0 に注意すると、固有値は、
(k±i√(k(4-k)))/2 となる。

 cos(π/S)>0, sin(π/S)>0 に注意して、具体的に計算すると、

(k±i√(k(4-k)))/2
= (4cos(π/S)^2±i√(4cos(π/S)^2(4-4cos(π/S)^2)))/2
= (4cos(π/S)^2±i√(4cos(π/S)^2*4sin(π/S)^2))/2
= (4cos(π/S)^2±4icos(π/S)sin(π/S))/2
= 2cos(π/S)(cos(π/S)±isin(π/S))
= 2cos(π/S)exp(±iπ/S)

 よって、対角化のための正則行列(固有ベクトルを並べたもの)を P とおけば、

 M=P.{{2cos(π/S)exp(+iπ/S),0},{0,2cos(π/S)exp(-iπ/S)}}.P^(-1)

と対角化できるため、

M^S
= P.{{2cos(π/S)exp(+iπ/S),0},{0,2cos(π/S)exp(-iπ/S)}}^S.P^(-1)
= P.{{-(2cos(π/S))^S,0},{0,-(2cos(π/S))^S}}.P^(-1)
= -(2cos(π/S))^S P.{{1,0},{0,1}}.P^(-1)
= -(2cos(π/S))^S {{1,0},{0,1}}

 元に戻って、

 {{u[n+S]},{v[n+S]}} = M^S.{{u[n]},{v[n]}} = -(2cos(π/S))^S {{u[n]},{v[n]}}

となるため、

B[n+S]
= u[n+S] / v[n+S]
= (-(2cos(π/S))^S u[n]) / (-(2cos(π/S))^S v[n])
= u[n] / v[n]
= B[n]

となって、題意は示された。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月12日付け)

 「周期数列」について、A[n+2]=1/A[n]*f(A[n+1]) 型の三項間漸化式で、周期5の数列は、
式の綺麗さと初期値の任意性にこだわらなければ案外簡単に作れるっぽいことがわかり
ました。

 例えば、

 A[1]=1、A[2]=2、A[n+2]=(1/A[n])*(37A[n+1]^2-240A[n+1]+323)/(5A[n+1]^2-30A[n+1]+37)

 初期値に任意性が現れる条件についてはまだよくわかってませんが...。


 KSさんからのコメントです。(平成27年12月15日付け)

 秋山仁先生の本に、

 A(n+3)=(A(n+2)+A(n+1)+1)/A(n)

の漸化式が、周期8で現れています。詳しいことは不明とのことです。以前の数列に一つ加
えただけですね。


 Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成27年12月16日付け)

 広田良吾・高橋大輔著 「差分と超離散」

に、周期8の3階非線形再帰方程式として現在5個が発見されていると書いてありました。そ
のうちの一つが、 A(n+3)=(A(n+2)+A(n+1)+1)/A(n) です。因みに、p55に周期5
の A(n+2)=(A(n+1)+1)/A(n) が載っています。

補足 p63に周期Nの非線形再帰方程式 A(n+1)=(A(n) - tanπ/N * tanπ/N)/(A(n) + 1)
   が載っています。


 S(H)さんからのコメントです。(平成27年12月17日付け)

 これが原典1?、原点2?


 Seiichi Manyamaさんからのコメントです。(平成27年12月17日付け)

 コンピュータの数学の漸化式の問題に宿題向き問題と研究問題に載っていますね。気が
付きませんでした。それにしても、研究問題の解答を見る限り、差分と超離散の例は新しい
発見と言えそうです。


 GAI さんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 周期数列発生の漸化式 a[n] = (1 - a[n - 1])/a[n - 2] について、ガウス平面での挙動
をいろいろ調べてみると、初期条件a[1]、a[2]の与え方に関わらず(分母が0になるものは除
く)周期が4でクルクル回るのが面白いですね。

 ほとんど途中現れる複素数は有理数が出現するので、整数係数の複素数だけでサイクル
をつくれるためには、初期条件a[1]、a[2]の与え方は何であったらいいでしょうか?

 アットランダムに見つけたのはあるのですが、これがすべてか知りたいです。今のところ、
5組見つけました。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 A[n] から A[n+3] が全て絶対値が2以上と仮定すると、

2|A[n+2]|≦ |A[n]A[n+2]|= |1-A[n+1]|≦ 1+|A[n+1]| (三角不等式)< 2|A[n+1]|≦ |A[n+1]A[n+3]|

     = |1-A[n+2]|≦ 1+|A[n+2]| (三角不等式)< 2|A[n+2]|

となり、矛盾。つまり、連続4項内には必ず絶対値が1のものがあるので、つまり周期中に少
なくとも2回、絶対値が1の数が現れます。

 よって、

  -1, -1, ……
  -1, i, ……
  i, i, ……
  i, -i, ……
  i, 2, i, ……

の5パターンのうち、分数が出てくるものを捨てた残り(と、そのスタート位置ずらし、逆回転、
複素共役)で全解となるはずです。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年12月23日付け)

 「-1, 1+i, i, ……」が抜けてました、すみません。


 GAI さんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 DD++さんから指摘を受けたもの。

{-1 ,-1 ,-2 ,-3 ,-2 ,-1 ,-1 ,-2 ,-3 ,-2} 、{-1 ,i ,-1+i ,-1-2 i ,-2 i ,-1 ,i ,-1+i ,-1-2 i ,-2 i}
{i ,i ,-1-i ,1-2 i ,-1-i ,i ,i ,-1-i ,1-2 i ,-1-i} 、{i ,-i ,1-i ,-1 ,1+i ,i ,-i ,1-i ,-1 ,1+i}
{i ,2 i ,-2-i ,1/2-(3 i)/2 ,-(1/2)-i/2 ,i ,2 i ,-2-i ,1/2-(3 i)/2 ,-(1/2)-i/2}


 らすかるさんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 周期は、5では?


 S(H)さんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 周期は、5ですね。(→ 参考


 GAI さんからのコメントです。(平成27年12月22日付け)

 a[1]、a[2]をいろいろ変化させて、ガウス整数であるサイクルとなるものを集めてみました。
(→ 一覧


 なおさんからのコメントです。(平成27年12月28日付け)

 次のような数学の問題を提起します

問題 3項間線形漸化式を、mod N で考えた周期数列について、0〜N−1の数字が同じ回数ずつでてくるよ
   うなものを見つけよ。

 例えば、

・フィボナッチ数列で、N=5とすると、周期20の数列になり、11230331404432022410 と、0〜4が4回
ずつ出てきます。

・3項間漸化式 A(n+2)=3A(n+1)+A(n)、A(1)=0、A(2)=4 で、N=13とすると、周期52の数列になり、
0〜12が4回ずつ出てきます。


 S(H)さんに計算していただきました。(平成27年12月28日付け)

0, 4, 12, 1, 2, 7, 10, 11, 4, 10, 8, 8, 6, 0, 6, 5, 8, 3, 4, 2, 10, 6, 2, 12, 12, 9, 0, 9, 1, 12, 11, 6, 3, 2,
           9, 3, 5, 5, 7, 0, 7, 8, 5, 10, 9, 11, 3, 7, 11, 1, 1, 4, 0, 4, 12, 1, 2, 7, 10, 11, 4, 10, 8, 8, 6, 0, 6, 5, 8


 GAI さんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)

 A(n+2)=p*A(n+1)+q*A(n) で、(p,q)=(2,-1)なら、mod N  は、N=2,3,4,5,6,7,11,12 で条件を満たす。
(ただし初期条件|A(1)-A(2)|≠1を除くNの約数)

 (p,q)=(2,3)なら、N=8  (初期条件上に同じ、以下同様)
 (p,q)=(1,2)なら、N=9
 (p,q)=(8,9)ならN=10
 (p,q)=(3,1)ならN=13

となりませんか?あくまで論理的ではないが、数値実験からの報告


 なおさんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)

 A(n+2)=2*A(n+1)−1*A(n) で、A(1)=1、A(2)=2 ならば、一般項が A(n)=n となるので、全てのNで条件を満
たしますね。他の数値でも条件を満たす事が確認できます。

 一般に、A(n+2)=p*A(n+1)+q*A(n) において、N=p^2+4q を素数とする時、modN で、0〜N−1がちょうど
同じ回数づつ出てきます。周期は、N×(Nー1の約数) となりそうです


 空舟さんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)

 より具体的には、初項に依存する定数 a、b が存在して、 A[n]≡(an+b)*((p+N)/2)^n  (mod N) が成り立ち
ます

 (an+b)は周期Nを持ち、((p+N)/2)^n は周期N-1を持つので、A[n]は、周期N(N-1)を持ちます。
(パラメータによっては最短周期とは限らない)

 A(n+2)=3A(n+1)+A(n)、A(1)=0、A(2)=4 で、N=13 の場合、A[n]≡7n * 8^n (mod 13)


 なおさんからのコメントです。(平成27年12月29日付け)

 そうですね。(p+N)/2のmod Nでの位数で周期が決まりますね。


 空舟さんからのコメントです。(平成28年5月23日付け)

 上記の話題と関係あるかも...

  中島 啓さんの講座:「数学の発見−クラスター代数とルート系



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