・算額                                S.H氏

 平成27年10月30日、東大寺を訪れたら大仏様の左側壁面に算額が奉納されていた。

 公益財団法人 日本数学検定協会 によるもので、

 算数・数学を通じて考える喜び、問題を解く楽しさを再認識してもらうために、毎年1
月23日を「算額文化を広める日」と定め、奈良の東大寺に問題を奉納していきます。


とのことで、流石「数検」と感心した。問題は2題奉納されていた。


平成27年度問題一

 頭の長さ 6.7m、座高 14.98m、左膝から足首までの長さ 6.8m の奈良の大仏
様の身長は何メートルですか?たとえば、一般的に座高の高さは、身長の53.5%と言わ
れています。

(答え) 28メートル


平成27年度問題二

 大仏様のクルクルとした頭髪は螺髪(らほつ)と呼ばれ、開眼供養された時(752年)は、
966個あると言われていました。そこで1つの螺髪を直径dの円とします。966個の螺髪を
1つの大きな円の中に収めた場合、その大きな円が最小となる時の面積を、dを用いて答
えてください。なお、円周率はπとします。

(答え) πd2{7√(11791)/(54)+1/2}2≒280.68236πd2


(コメント) 問題一は、「14.98÷0.535」で求めるものと思ったが、もっと違うエレガント
      な求め方があるという。どんな方法があるのだろう?

 問題二は、「竹束問題」と同じ匂いがする。

 始まりが1つの円の場合、966個の円を周りに並べると、

    (始まりの1つの円)+17段の円群+(残り47個の円)

 始まりが3つの円の場合、966個の円を周りに並べると、

    (始まりの3つの円)+12段の円群+(残り27個の円)

 このことから、966個の円を含む円で半径が最小になるのは、始まりが3個の場合のよう
な気がするが、これは整然と並べた場合で、もっと隙間が出ない形に並べた場合、円の半
径ももっと小さく出来るような気がする。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年11月3日付け)

 始まりを中心対称に何個か並べて規則的に並べる場合は、中心2個にしたのが最小円に
なって、
     r=((1+√1057)/2)d、S=((1+√1057)/2)2 πd2=280.7557πd2
が最小パターンです。

## 中心3つだと、r=1/2+√(793/3) で、969個入る円を作ることになってロスが増える

 実際は、非対称な中心の取り方で、もっと小さくなる解があったようですね。この問題は人
力じゃコンピュータに敵いそうにないと思って、上記まで計算して投げたんですが、そうでも
なかったっぽい……?


(追記) 平成27年12月3日付け

 本日付の朝日新聞朝刊で、驚くべきニュースに出会った。奈良・東大寺の大仏の螺髪が、
定説の966個ではなく492個(うち、9個分は欠落)であることが分かったという。東大寺に
よれば、平安時代に寺の歴史などを記した「東大寺要録本願章第一」には、螺髪を966個
つくったとあるとのことである。今の大仏は江戸時代(1691年)に修復されたが、もともと螺
髪が966個あったのか、修復で減ったのかは不明らしい。



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