正の実数 x、y が x2+y2=5 を満たしながら変化するとき、2x+y の最大値を求めよ。
――という高校数学のド定番の問題、もちろん答えは「5」なわけですが、これを異なる10通
りの方法で求めてください。
# 高校範囲の数学だけでもかなりのやり方があるので、高校生の方の挑戦歓迎。
(参考) 「最大と最小」
(コメント) 面白そうなので、挑戦してみました。(平成27年10月18日付け)
(方法1)・・・不等式の利用
コーシー・シュワルツの不等式より、 (x2+y2)(22+12)≧(2x+y)2 なので、
25≧(2x+y)2 から、 2x+y の最大値は、5
(方法2)・・・判別式の利用
2x+y=k とおき、x2+y2=5 に代入して整理すると、 5x2−4kx+k2ー5=0
この2次方程式が正の解α、βを持つので、
判別式 D/4=4k2−5k2+25=−k2+25≧0 より、 −5≦k≦5
α+β=4k/5>0 より、 k>0
αβ=(k2ー5)/5>0 より、 k<−、<k
以上から、kの取り得る値の範囲は、 <k≦5 なので、最大値は、5
(方法3)・・・点と直線の距離の利用
円 x2+y2=5 の中心(0,0)と直線 2x+y=k の距離は、 |k|/
最大になるのは、 k/= すなわち、 k=5 のときである。
(方法4)・・・面積の利用
2x+y が最大になるのは、円 x2+y2=5 と直線 2x+y=k (k>0)が接するとき。
面積を求めて、 k2/4=・k/4 より、 k2=5k から、 k=5
(方法5)・・・三角関数の利用
x2+y2=5 より、 x=cosθ、y=sinθ とおける。
このとき、 2x+y=2cosθ+sinθ=5sin(θ+α)≦5 (tanα=1/2)
よって、最大値は、5
(方法6)・・・極値の利用
x2+y2=5 より、 x=cosθ、y=sinθ とおける。
このとき、 Y=2x+y=2cosθ+sinθ
Y’=−2sinθ+cosθ=0 とおくと、tanα=1/2 となるα(0<α<π/4)
の前後で、Y’>0から Y’<0と変化するので、θ=αのとき、Yは極大かつ最大である。
このときの最大値は、 2(2/)+(1/)=5 である。
(方法7)・・・微分の利用
Y=2x+√(5−x2) より、 Y’=2−x/√(5−x2)
Y’=0 とすると、x=2 で、その前後で、Y’>0から Y’<0と変化するので、x=2 のとき、
Yは極大かつ最大である。よって、最大値は、5 である。
(方法8)・・・ラグランジュの乗数の利用
G( x , y )=x2+y2−5=0 のとき、F( x , y )=2x+y の極値を与える点( a , b )
は次の式を満たす。 x2+y2−5=0 、2x+2λ=0 、2y+λ=0
よって、 λ2+λ2/4−5=0 より、λ=±2
条件より、x>0、y>0 なので、λ<0 となり、 λ=−2
このとき、 ( x , y )=( 2 ,1 ) が極値を与える候補である。
幾何学的に考えて、( 2 ,1 )において、2x+y は極大かつ最大で、最大値は、5。
(方法9)・・・接線の方程式の利用
円 x2+y2=5 上の接点(s,t)における接線の方程式は、sx+ty=5
これが、直線 2x+y=k と等しいので、s=2、t=1、k=5
よって、最大値は、5
(方法10)・・・恒等式の利用(平成27年10月18日付けで空舟さんよりご教示頂きました。)
(2x+y)2+(x−2y)2=5(x2+y2)=25 より、 (2x+y)2≦25 なので、
2x+y の最大値は、5
(コメント) そろそろネタ切れかな?出題者のDD++さんは11種類の解答を用意されている
とのこと。他に何があるかな?
さらに、探究してみました。
(方法11)・・・ベクトルのなす角の利用
ベクトル(2,1)とベクトル(x,y) (ただし、x2+y2=5)のなす角をθとすると、
内積は、2x+y で、大きさはともに なので、 cosθ=(2x+y)/5
−1≦cosθ≦1 なので、 2x+y≦5
よって、最大値は、5
(方法12)・・・陰関数の微分の利用
x2+y2=5 の両辺をxで微分すると、 2x+2yy’=0 よって、y’=−x/y
2x+y が最大になるのは、直線 2x+y=k が円 x2+y2=5 に接するとき。
すなわち、−x/y=−2 より、 x=2y
x2+y2=5 に代入して、 x=2、y=1
よって、2x+y の最大値は、 2x+y=4+1=5 である。
(方法13)・・・媒介変数表示の利用
(平成27年10月20日付けで、S(H)さんよりご教示頂きました。)
媒介変数 t を用いて、円 x2+y2=5 は、
x=(1−t2)/(1+t2)、y=2t/(1+t2)
と書ける。このとき、 2x+y=2(−t2+t+1)/(1+t2) となる。
Y=(−t2+t+1)/(1+t2) とおくと、 Y’=(−t2−4t+1)/(1+t2)
Y’=0 より、 t=−2±
t=−2+ のとき、Yは極大かつ最大である。
このとき、 Y=5t/(−4t+2)=5(−2+)/(10−4)=/2 なので、
2x+y=2・(/2)=5 が最大値となる。
(コメント) 数式処理ソフトを使えば何でもない計算かもしれないが、手計算ではあまりした
くない計算ですね!
(方法14)・・・複素数平面の利用
(平成27年10月20日付けで、3156さんよりご教示頂きました。)
z=x+yi、α=2−i とおくと、 zα=(x+yi)(2−i)=2x+y+i(2y−x) より、
Re(zα)=2x+y
ここで、 |z|=|α|= より、 Re(zα)≦|zα|=5 なので、
2x+y≦5 よって、最大値は、5
(コメント) なるほど!複素数を利用する手がありましたね。3156さんに感謝します。
(方法15)・・・複素数の利用(方法10とほぼ同じかな?)
x2+y2=5 より、 (x+yi)(x−yi)=(2+i)(2−i)=5
両辺に、2−i を掛けて、
(x+yi)(2−i)(x−yi)=(2x+y+i(−x+2y))(x−yi)=(2+i)(2−i)2
両辺に、2+i を掛けて、
(x+yi)(2−i)(x−yi)(2+i)=(2x+y−i(x−2y))(2x+y+i(x−2y))
=(2+i)2(2−i)2=25
よって、 (2x+y)2+(x−2y)2=25 より、 2x+y≦5
よって、最大値は、5
(方法16)・・・楕円の利用
(平成27年10月20日付けで、S(H)さんよりご教示頂きました。)
x2+y2=5 より、 y=√(5−x2) なので、 Y=2x+y=2x+√(5−x2)
X=x とおいて、点(X,Y)の変化を調べる。2式より、x を消去して、
Y=2X+√(5−X2) から、 5X2−4XY+Y2=5
これは楕円の方程式である。Yが最大になるのは、 5X2−4XY+Y2−5 をXで偏微分して、 10X−4Y=0 即ち、Y=5X/2 のときである。 5X2−4XY+Y2=5 に代入して、 5X2−10X2+25X2/4=5 より、X2=4 X>0 なので、 X=2 で、 Y=5 よって、Yの最大値は、5 である。 |
(コメント) 上記の計算で、Xの2次方程式と考えれば、
判別式 D/4=4Y2−5(Y2−5)=25−Y2≧0 から、
−5≦Y≦5 となり、Yの最大値は、5
としてもよい。(→ (方法2)と同じかな?)
(方法17)・・・空間座標の利用
(平成27年10月21日付けで、壊れた扉さんよりご教示頂きました。)
空間において、方程式 x2+y2=5 は、z軸が中心の半径 の円柱。また、z=2x+y
は、原点を通る平面で、円柱との交線は楕円となる。このとき、zの最大値は楕円の頂点で
取り得る。y=z−2x を x2+y2=5 に代入して整理すると、 5x2−4zx+z2−5=0
左辺を x で偏微分すると、10x−4z で、z が最大になるのは、10x−4z=0
のとき。
よって、 z=5x/2 から、 5x2−10x2+25x2/4−5=0 を解いて、 x=2、z=5
したっがって、最大値は、5
(コメント) 基本的には、(方法16)の空間版ですね!
(方法18)・・・行列の利用
(平成27年10月21日付けで、3156さんよりご教示頂きました。)
A={(x,y),(-y,x)}、B={(2,-1),(1,2)} とおくと、AB={(2x+y,-x+2y),(x-2y,2x+y)} であり、
det(A)=5、det(B)=5 で、 det(AB)=(2x+y)2 + (x−2y)2=25 であるから、
(2x+y)2≦25 より、 2x+y≦5
よって、最大値は、5
(コメント) (方法14)の行列版ですね!
DD++さんからのコメントです。(平成27年10月24日付け)
そろそろ出尽くしたっぽいので、私が用意していたもののうちまだ出てないものを。
(方法19)・・・初等幾何の利用
∠A=π/2で、AB=1、AC=2 である三角形 ABC を描く。直線 BC を挟んで点 A と反対
側に BD=x、CD=y (ただし、x2+y2=5)となるように点 D を取る。
三平方の定理の逆より、∠D=π/2で、円周角の定理の逆より、4点は同一円周上にある。
BC= で、AD が直径のとき、最大値 なので、トレミーの定理より、
2x+y=AD・BC の最大値は、5
#後は、
・何か (2x+y)2/5(x2+y2) あたりで表される確率があればそれの最大値が1であることから
出せないか
・相加相乗平均の大小関係を巧みに利用して出せないか
あたりを考えてましたが、どっちも私にはうまくできませんでした。このあたりの可能性を残す
意味で正数限定にしたんですが、あまり意味がなかったですかね。
(コメント) なるほど!トレミーの定理を用いる方法があったんですね。このように、いろいろ
な別解を考える機会を与えていただいたDD++さんに感謝します。
以下、工事中!