・どこがおかしい? GAI 氏
△ABCの3辺の長さをa、b、c、外接円の半径をRとする。さらに、σ2=a2+b2+c2 とす
るとき、 0<σ/R≦3 が成り立つ。
(証明) △ABCの外心Oを始点とする頂点A、B、Cの位置ベクトルを、a、b、c とする。この
とき、実数 s、t、u を用いて、sa+tb+uc で表されるベクトルOPの大きさは、
|OP|2=(sa+tb+uc)・(sa+tb+uc)
=s2・|a|2+t2・|b|2+u2・|c|2+2st・(a・b)+2tu・(b・c)+2us・(c・a)
=R2(s2+t2+u2)+2st(R2cos2C)+2tu(R2cos2A)+2us(R2cos2B) (∵ 中心角=2×円周角)
=R2(s2+t2+u2)+2stR2(1−2sin2C)+2tuR2(1−2sin2A)+2usR2(1−2sin2B)
(∵2倍角の公式 cos2θ=1−2sin2θ)
=R2(s2+t2+u2)+2stR2(1−2(c/2R)2)+2tuR2(1−2(a/2R)2)+2usR2(1−2(b/2R)2)
(∵正弦定理より、a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R)
=R2(s2+t2+u2)+2st(R2−c2/2)+2tu(R2−a2/2)+2us(R2−b2/2)
=R2(s2+t2+u2+2st+2tu+2us)−(stc2+tua2+usb2)
=R2(s+t+u)2−(tua2+usb2+stc2)
とベクトルの大きさが計算できる。そこで今、Pを△ABCの重心Gに選ぶと、s=t=u=1/3 で、
|OP|2=R2−(a2+b2+c2)/9≧0 より、 9R2≧a2+b2+c2=σ2
よって、 9≧σ2/R2 即ち、σ/R≦3 が成立する。 (証終)
一方、abc=4SR (Sは△ABCの面積)の関係があるので両辺平方して、a2b2c2=16S2R2
ヘロンの公式から、S2 を書き直すと、(→ 参考:「三角形の面積の公式」)
a2b2c2=R2・2s(2s−2a)(2s−2b)(2s−2c)
=R2・(−a4−b4−c4+2a2b2+2b2c2+2c2a2)
これから、σ2/R2=(a2+b2+c2)(−a4−b4−c4+2a2b2+2b2c2+2c2a2)/(a2b2c2)
よって、
σ2/R2−8=(a2+b2+c2)(−a4−b4−c4+2a2b2+2b2c2+2c2a2)/(a2b2c2)−8
右辺を通分して、その分子をNUMEと置くと、
NUME=(a2+b2+c2)(−a4−b4−c4+2a2b2+2b2c2+2c2a2)−8a2b2c2
=(a2+b2+c2)(−(a2+b2+c2)2+4a2b2+4b2c2+4c2a2)−8a2b2c2
=−(a2+b2+c2)3+4(a2+b2+c2)(a2b2+b2c2+c2a2)−8a2b2c2
ここで、X=a2+b2+c2 と置くと、上式は、
NUME=−X3+4X(a2b2+b2c2+c2a2)−8a2b2c2
となるが、ここに、(X−2a2)(X−2b2)(X−2c2) を展開すると、
(X−2a2)(X−2b2)(X−2c2) =X3−2(a2+b2+c2)X2+4(a2b2+b2c2+c2a2)X−8a2b2c2
=X3−2X・X2+4(a2b2+b2c2+c2a2)X−8a2b2c2=−X3+4(a2b2+b2c2+c2a2)X−8a2b2c2
となり、NUMEに一致する。結局、
σ2/R2−8=(X−2a2)(X−2b2)(X−2c2) /(a2b2c2)
=(-a2+b2+c2)(a2−b2+c2)(a2+b2−c2)/(a2b2c2)
となり、 △ABC:鋭角三角形 ⇔ σ2/R2−8>0 ⇔ 2<σ/R
△ABC:直角三角形 ⇔ σ2/R2−8=0 ⇔ 2=σ/R
△ABC :鈍角三角形 ⇔ σ2/R2−8<0 ⇔ σ/R<2
なる関係式が成立する。(なお、△ABC:正三角形 ⇔ σ/R=3)
以上のことを総合的に検討すると、自由に選べる(ランダム的)(a,b,c) に対し、Rは、この
(a,b,c) に依存してきまるから、結局、D=σ/R の値は勝手に選んだ(a,b,c) に対し、三角
形の形状を決める指標と見なすことができる。
しかし、このDの数値の範囲から、
鋭角三角形:鈍角三角形=(3-2):2=1:2/(3-2)=1:8+6√2=1:16.48528・・・
が起こる。この圧倒的な比率の差は、平面に勝手に選んだ3点を結ぶ三角形の形状は、殆
ど鈍角三角形になる。(94.2809・・・%)
この解釈でいいのでしょうか?(直感的にはどこかおかしい気もしますが、どこかわからない。)どこ
かでタイプミスしているかもしれませんが、論理の破綻部分を御指摘願いたい。
らすかるさんからのコメントです。(平成26年6月13日付け)
計算とか全然見ていませんが、もし「平面」として無限に広い平面を考えているのであれば、
まず「勝手に選ぶ」ことは不可能だと思います。(選び方をきちんと定義しないと確率が出ません。)
また、有限の平面の場合は、その平面の形状によると思います。計算が大変そうなので、
適当にシミュレーションプログラムを作って実験したところ、円内の3点を選ぶと、鈍角三角形
になる確率は約0.7445で、正方形内の3点を選ぶと、鈍角三角形になる確率は約0.7252とな
りました。
DD++さんからのコメントです。(平成26年6月13日付け)
気づいた問題点は2つあります。
まず1つ目。この問題は有名な以下の問題と同じ欠陥を抱えています。これを少し考えて
みてください。
問題: 円に勝手な弦を一本引く。その長さが円の内接正三角形の辺長より長い確率につい
て、正しい主張はどれか。
A:「弦が水平になるように見たとき弦が中心の上下r/2の範囲にあればいいから、その確率
は1/2」
B:「弦の片方の端点から円周を三等分し、もう片方の端点が向かいの弧にあればいいから
その確率は1/3」
C:「円内部の点とそこを中点とする弦は一対一に対応するので、中点が半径r/2の同心円
内にあればよく、その確率は1/4」
どれが正解でしょうか。自分なりの考えがまとまりましたら「ベルトランの逆説」で検索をど
うぞ。GAIさんの問題もこれに該当していると思います。
そして2つ目。何らかの方法で、正実数a、b、cを「無作為に」与えられたとして、(1,2,4)な
ど、三角形にならない例が発生します。
この場合、形式的には、SとRは純虚数になり、σ2/R2<0 なので、当然、σ2/R2−8<0
つまり、三角形にならないケースが誤って鈍角三角形成立に分類されているようです。
YI さんからのコメントです。(平成26年6月13日付け)
実際そうなるのでは?三角形は、「3点の位置をランダムに決める」ということにして、A、B
の2点を固定して考えます。図を回転させて、ABを水平に持ってくると、Aの左側及びBの右
側の無限に続く領域で鈍角三角形になり、鋭角三角形になるのはその間の狭い領域しかな
いので、無限の平面上では、直観的に考えたところ、ほぼ100パーセントで鈍角三角形にな
る気がしますが...。
らすかるさんからのコメントです。(平成26年6月13日付け)
無限の平面では、「A、Bの2点を一様にランダムに決める」ことができませんので、そうい
う理屈にはならないと思います。例えば、Aは、まあどこでもいいので固定します。次に、Bの
位置を無限の平面から「一様にランダムに」とったとすると、任意の正の実数Dに対して、
「(線分ABの長さ)<Dとなる確率は、0」ですから、Bをどれだけ遠くにとっても近すぎであり、
「一様にランダムに」とっていることになりません。