・ペル方程式擬き                     GAI 氏

 x2-D・y2=1 の自然数解を求めることは、ペル方程式というまとめ方がされているので、何
とか5組ほど解を見つけたいときは手元にコンピュータがなくても、Dが平方数(4,9,16,25,・・・)
以外なら必ず解が存在するという安心感が持てるので、根気よく作業すれば、いつかは見つ
けられますが(ただしD=13やD=29などは無理でしょう。)、ペル方程式擬きの

 x2-D・y2=2 、x2-D・y2=3 、x2-D・y2=5 、(x2-D・y2=4 :ペル方程式) 、x2-D・y2=6 、・・・

などになったとき、ふと困ることがしばしば起こる。

 一般に、x2-D・y2=K を解くとき、どのような技があるのかをお教え願いたい。

 ちなみに、

 x2-13・y2=1 → (x,y)=(649,180)、(842401,233640)、・・・
 x2-13・y2=2 → (x,y) 多分なし
 x2-13・y2=3 → (x,y)=(4,1)、(256,71)、・・・
 x2-13・y2=4 → (x,y)=(11,3)、(119,33)、・・・
 x2-13・y2=5 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=6 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=7 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=8 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=9 → (x,y)=(29,8)、(101,28)、・・・
 x2-13・y2=10 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=11 → (x,y) :多分なし
 x2-13・y2=12 → (x,y)=(5,1)、(8,2)、・・・
 x2-13・y2=13 → (x,y)=(65,18)

 ただし、”多分なし”は有限個の範囲での調査で報告しているだけですので 、断定できて
いるわけではありません。

 このように、ペル方程式を外れると途端に暗礁に乗り上げてしまう。このDとKの間にはな
にか関連性はないのか?解なしと判断を下すためには、なにが決め手となれるのか?
 x2-D・y2=1 と他の x2-D・y2=K との解には何か関連性が存在するのか?また解の導
き方はマニュアル化できているのか?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いろいろ疑問が出てきました。いろいろサイトを参考にまとめていましたが、まだ要領を得
ません。どんなことでも結構ですので情報をお願いします。


 らすかるさんからのコメントです。(平成26年6月4日付け)

 x2≡0、1 (mod 4) 、13y2≡0、1 (mod 4) ですから、x2-13y2≡2 (mod 4) となることはあり
ません。従って、2、6、10、… では解はありません。

 また、x2≡0、1、4、9 (mod 16) 、13y2≡0、4、5、13 (mod 16) から、
x2-13y2≡0、1、3、4、5、7、9、11、12、13、15 (mod 16) ですから、x2-13y2≡8 (mod 16) と
なることもありません。従って、8、24、40、… でも解はありません。

 さらに、x2≡0、1、3、4、9、10、12 (mod 13) ですから、x2-13y2≡2、5、6、7、8、11 (mod 13)
となることもありません。

 よって、「2、5、6、7、8、10、11」の「多分なし」は「なし」で正しいです。


 GAI さんからのコメントです。(平成26年6月5日付け)

 らすかるさんの解なし証明をみて、平方数をモード別に観察することがとても大切だと痛感
したので、自然数の2乗をいろいろなモードで出現する数(余りの状態)について調査してみ
ました。

mod(n^2,2)≡0,1
mod(n^2,3)≡0,1
mod(n^2,4)≡0,1
mod(n^2,5)≡0,1,4
mod(n^2,6)≡0,1,3,4
mod(n^2,7)≡0,1,2,4
mod(n^2,8)≡0,1,4
mod(n^2,9)≡0,1,4,7
mod(n^2,10)≡0,1,4,5,6,9
mod(n^2,11)≡0,1,3,4,5,9
mod(n^2,12)≡0,1,4,9
mod(n^2,13)≡0,1,3,4,9,10,12
mod(n^2,14)≡0,1,2,4,7,8,9,11
mod(n^2,15)≡0,1,4,6,9,10
mod(n^2,16)≡0,1,4,9
mod(n^2,17)≡0,1,2,4,8,9,13,15,16
mod(n^2,18)≡0,1,4,7,9,10,13,16
mod(n^2,19)≡0,1,4,5,6,7,9,11,16,17
mod(n^2,20)≡0,1,4,5,9,16
mod(n^2,21)≡0,1,4,7,9,15,16,18
mod(n^2,22)≡0,1,3,4,5,9,11,12,14,15,16,20
mod(n^2,23)≡0,1,2,4,9,12,13,16,18
mod(n^2,24)≡0,1,4,9,12,16
mod(n^2,25)≡0,1,4,6,9,11,16,19,21,24
mod(n^2,26)≡0,1,3,4,9,10,12,13,14,16,17,22,23,25
mod(n^2,27)≡0,1,4,7,9,10,13,16,19,22,25
mod(n^2,28)≡0,1,4,8,9,16,21,25
mod(n^2,29)≡0,1,4,5,6,7,9,13,16,22,23,24,25,28
mod(n^2,30)≡0,1,4,6,9,10,15,16,19,21,24,25
mod(n^2,31)≡0,1,2,4,5,7,8,9,10,14,16,18,19,20,25,28
mod(n^2,32)≡0,1,4,9,16,17,25
mod(n^2,33)≡0,1,3,4,9,12,15,16,22,25,27,31
mod(n^2,34)≡0,1,2,4,8,9,13,15,16,17,18,19,21,25,26,30,32,33
mod(n^2,35)≡0,1,4,9,11,14,15,16,21,25,29,30
mod(n^2,36)≡0,1,4,9,13,16,25,28
mod(n^2,37)≡0,1,3,4,7,9,10,11,12,16,21,25,26,27,28,30,33,34,36
mod(n^2,38)≡0,1,4,5,6,7,9,11,16,17,19,20,23,24,25,26,28,30,35,36
mod(n^2,39)≡0,1,3,4,9,10,12,13,16,22,25,27,30,36
mod(n^2,40)≡0,1,4,9,16,20,24,25,36
mod(n^2,41)≡0,1,2,4,5,8,9,10,16,18,20,21,23,25,31,32,33,36,37,39,40
mod(n^2,42)≡0,1,4,7,9,15,16,18,,21,22,25,28,30,36,37,39
mod(n^2,43)≡0,1,4,6,9,10,11,13,14,15,16,17,21,23,24,25,31,35,36,38,40,41
mod(n^2,44)≡0,1,4,5,9,12,16,20,25,33,36,37
mod(n^2,45)≡0,1,4,9,10,16,19,25,31,34,36,40
mod(n^2,46)≡0,1,2,3,4,6,8,9,12,13,16,18,23,24,25,26,27,29,31,32,35,36,39,41
mod(n^2,47)≡0,1,2,3,4,6,7,8,9,12,14,16,17,18,21,24,25,27,28,32,34,36,37,42
mod(n^2,48)≡0,1,4,9,16,25,33,36
mod(n^2,49)≡0,1,2,4,8,9,11,15,16,18,22,23,25,29,30,32,36,37,39,43,44,46
mod(n^2,50)≡0,1,4,6,9,11,14,16,19,21,24,25,26,29,31,34,36,39,41,44,46,49
mod(n^2,51)≡0,1,4,9,13,15,16,18,19,21,25,30,33,34,36,42,43,49
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 これらを調べて行く中で、面白い法則が潜んでいることに気づかされました。

 まず、各モードmに対して、出現してくる数(余り)は、調査するnを一部の範囲(0<n<floor(m/2))
さえ調査しておけば足りる。

例 m:奇数のとき、

mod(1^2,13)=1
mod(2^2,13)=4
mod(3^2,13)=9
mod(4^2,13)=3
mod(5^2,13)=12
mod(6^2,13)=10
mod(7^2,13)=10
mod(8^2,13)=12
mod(9^2,13)=3
mod(10^2,13)=9
mod(11^2,13)=4
mod(12^2,13)=1
mod(13^2,13)=0
・・・・・・・

の様に、nは、1〜floor(13/2)=6での出現状態を調査すれば、後は点対称の様になり、m^2以
降は再び繰り返す。また、

例 m:偶数のとき、

mod(1^2,18)=1
mod(2^2,18)=4
mod(3^2,18)=9
mod(4^2,18)=16
mod(5^2,18)=7
mod(6^2,18)=0
mod(7^2,18)=13
mod(8^2,18)=10
mod(9^2,18)=9
mod(10^2,18)=10
mod(11^2,18)=13
mod(12^2,18)=0
mod(13^2,18)=7
mod(14^2,18)=16
mod(15^2,18)=9
mod(16^2,18)=4
mod(17^2,18)=1
mod(18^2,18)=0
・・・・・・・
も同様に、nを、1〜floor(18/2)=9での出現数でこと足りる。なお、mが、4や8で割り切れる場
合はもっと短縮できる。

 さらに、ふと気がついたのですが、これって平方剰余ですよね。mod(13)を調べるとき、ここ
に出現する数は、ルジャンドル記号を用いて、

  (1/13) 、(2/13) 、(3/13) 、 ・・・・ 、(12/13)

が1であればよいわけですよね。(-1なら出現しない。)

 一般に、オイラー規準というものから、p:素数なら、(a/p)≡a^((p-1)/2)(mod p) が準備され
ており、これで直接計算すると、

(1/13)≡1^6≡1 (mod 13)
(2/13)≡2^6=64≡12≡-1  (mod 13)
(3/13)≡3^6=729≡1  (mod 13)
(4/13)≡4^6=4096≡1  (mod 13)
(5/13)≡5^6=15625≡12≡-1  (mod 13)
(6/13)≡6^6=46656≡12≡-1  (mod 13)
(7/13)≡7^6=117649≡12≡-1  (mod 13)
(8/13)≡8^6=262144≡12≡-1  (mod 13)
(9/13)≡9^6=531441≡1  (mod 13)
(10/13)≡10^6=1000000≡1  (mod 13)
(11/13)≡11^6=1771561≡12≡-1  (mod 13)
(12/13)≡12^6=29859841≡1  (mod 13)

 またこんな大袈裟にしなくても、計算ソフトがあれば、

 PARIでは、kronecker 、Mathematicaでは、KroneckerSymbol のコマンドがあり、
                               (名称が統一されていなく、紛らわしい。)
? for(a=1,12,print(a,";",kronecker(a,13)))
1;1
2;-1
3;1
4;1
5;-1
6;-1
7;-1
8;-1
9;1
10;1
11;-1
12;1

n[1]:= KroneckerSymbol[{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12}, 13]
Out[1]= {1, -1, 1, 1, -1, -1, -1, -1, 1, 1, -1, 1}

 いずれにしろ、mod 13 で出現する数は、「1,3,4,9,10,12」というものになる。これらから手に
入る情報とガウスの平方剰余やオイラーの第1補充法則、第2補充法則を組合わせれば、ど
んなmod( m )に対しても、出現する数を知ることができそうな予感がします。挑戦してみます。



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