・面積が整数 S.H氏
△ABCにおいて、BC=a、CA=b、AB=c とし、頂点A、B、Cから対辺に下ろした垂線の
長さを、それぞれ x、y、z とする。
このとき、a、b、c、x、y、z が全て整数のとき、△ABCの面積Sも整数であることが次のよ
うにして示される。
題意より、 √(a2−y2)+√(c2−y2)=b より、 √(a2−y2)=b−√(c2−y2)
両辺を平方して整理すると、 a2−b2−c2=−2b√(c2−y2)
さらに、両辺を平方して整理すると、
a4+b4+c4−2a2b2+2b2c2−2c2a2=4b2(c2−y2)
そこで、a、b、c の何れもが奇数と仮定すると、上式から、 1≡0 (mod 2)
これは、矛盾。よって、a、b、c のうち少なくとも一つは偶数となる。
このとき、S=ax/2=by/2=cz/2 なので、Sは整数となる。
よおすけさんからのコメントです。(平成26年3月23日付け)
本当は、以下の問題は、お茶の間パズルとして初公開する予定でしたが、上記の話題が
公開されたので・・・とりあえず挙げます。
平面上に、Aが頂角、BCが底辺の△ABCがある。AからBC上へ垂線を引き、その交点を
Dとする。AB=17cm、BD=8cm、AC=113cmのとき、△ABCの面積を求めよ。
(コメント) 僭越ながら、解かせていただきました。
AD2=172−82=225 より、AD=15 なので、CD2=1132−152=12544
よって、 CD=112 より、 △ABC=(8+112)・15/2=900(cm2)
ABCDEFさんからのコメントです。(平成26年3月24日付け)
上記の問題は、実質的な計算はしないで(紙と鉛筆なしで)頭の中で考えて証明できます。
使うのは次の2つです。
(a) 有理数aの2乗が整数なら、aは整数である。
(b) 整数a、b、cが、a2+b2=c2 を満たすなら、a、bの少なくとも一方は偶数である。
(a)は、自明でいいでしょう。(b)は、a、bともに奇数なら、a2+b2≡2 (mod 4)であることから
わかります。
AからBCに下した垂線の足をHとする。AH=x a、b、cは整数だから、余弦定理より、cosB
は有理数、BH=c・cosBも有理数 BH2=AB2-AH2=c2-x2 は、整数だから、BHは整数
AH2+BH2=AB2 でAH、BH、ABはすべて整数だから、(b)より、AH、BHの少なくとも一方は
偶数。AH=x が偶数の場合は、S=ax/2 は整数。
AHが奇数のときは、三角形AHCで同様の議論をして、AH、CHの少なくとも一方が偶数と
なる。AHは奇数だから、CHは偶数。a=BH+CH が偶数となり、S=ax/2 は整数。
Hが辺BC上にあることを前提とした証明になっています。(もとの証明も同じ。ただしAから
ではなくBから垂線を引いているが)Hが辺BCの延長上にあるときは少し変える必要がある。
あるいは最大角をAとすることにすればこのままでいい。
(c) 「整数a、b、cが、a2+b2=c2 を満たすなら、a、bの少なくとも1つは3の倍数である。」
を使えば、Sが3の倍数であることが証明できます。
(d) 「整数a、b、cが、a2+b2=c2 を満たすなら、a、b、cの少なくとも1つは5の倍数である。」
を使えばSが5の倍数であることが証明できます。
では、「Sは?の倍数である」の?の最善の数は何でしょうか。a、b、c、x、y、zがすべて
整数というのはかなりきつい条件なので、「?」はかなり大きい数になりそうです。
(そうでもないかもしれません。30ぐらいかな。)
DD++さんからのコメントです。(平成26年3月24日付け)
(e) 「整数a、b、cが、a2+b2=c2 を満たすなら、a、bの少なくとも1つは4の倍数である。」
を使えば、Sが偶数であることも全く同様に示せます。よって、「?」の数字は少なくとも
30。
そして、a=20、b=15、c=25、x=15、y=20、z=12、S=150
a=156、b=65、c=169、x=65、y=156、z=60、S=5070
という2例が作れ、150と5070の最大公約数は30。よって、「?」の数字は高々30。
したがって答えは、「30」です。(...いい勘してましたね!)
ABCDEFさんからのコメントです。(平成26年3月24日付け)
そうですね。確かに「30」ですね。ちょっと勘違いをしていて「?」はかなり大きくなりそうと書
いて電源も消した後で、3、4、5を5倍した三角形と、5、12、13を13倍した三角形を考えれば
「30」を越えられないと気づいて最後の行を付け足しました。
ところで、3辺が整数である直角三角形はいまだに「3、4、5」と「5、12、13」しか知りません。
特に困ったこともありませんが、ここの常連の人ならもう少し知っておられるのでしょうか。
何か月か前に3番目を覚えたのですがもう忘れました。(→ 参考)
a、b、c、x、y、z がすべて整数である三角形の面積の最小値は多分150だと思いますが
これは証明できるでしょうか。
DD++さんからのコメントです。(平成26年3月25日付け)
3辺が整数である直角三角形の3辺の長さの組は、全て自然数m、nを用いて、
m2-n2 、2mn 、m2+n2
で表されます。m、nに数字を適当に入れてみていただければよろしいかと...。互いに素
なもので面積が小さい方からだと、次は、8、15、17で、その次が、7、24、25になるでしょうか。
また、垂線の足が辺を分割した時にその左右の長さが整数になることを使えば、三角形の
面積の最小値はすぐかと思います。
ABCDEFさんからのコメントです。(平成26年3月25日付け)
もちろん公式は知ってはいますが、代入したりしないで、「知っている=瞬時に出る」のは
2つしかないという意味です。証明は確かにできそうな気はします。ですが...。
DD++さんからのコメントです。(平成26年3月26日付け)
そういう意味でしたか、失礼しました。だとすると、私は、(3,4,5)、(5,12,13)、(8,15,17)、
(7,24,25)、(9,40,41)までですね。(互いに素で一桁の数が含まれるもの全部。)
最大角から垂線下ろすと左右がピタゴラス三角形になります。面積150未満のピタゴラス三
角形の集合から直角を挟む辺に共通な長さを持つ組を探すと5組しかありません。残り4つが
条件に合致しないか面積が150より大きいことを具体的な計算をすることで確認して終わり。
……だと思ったのですが、なんか抜けてますかね?
(コメント) 私も、ABCDEFさん同様、瞬時に出るのは2つまでですね!他は知らなくても、今
までに困ったことはありませんでした...f(^^;)。
ABCDEFさんからのコメントです。(平成26年3月26日付け)
こちらこそ失礼しました。書き方が不適切でした。そんなにご存知ですか。2個だけという
のは少なすぎるのでしょうね。
ピタゴラス三角形を2つしか知らない私には思いつかない発想です。実際にやってみまし
た。その前に
a、b、c、x、y、z が整数である三角形は、3辺a、b、cと面積Sが整数であり、2Sがa、b、
cの倍数である三角形である。また、Sは、30の倍数である。
面積150未満のピタゴラス三角形(及び面積)をすべて書くと、
A1(3,4,5:6)、A2(6,8,10:24)、A3(9,12,15:54)、A4(12,16,20:96)
B1(5,12,13:30)、B2(10,24,26:120)、C1(8,15,17:60)、D1(7,24,25:84)
この中から1辺(斜辺以外)を共有する三角形を2つ合わせて、面積が30の倍数になるも
のを作ると(使う三角形,共通辺,できた三角形の順)
B1+B1 , 5 , (13,13,24:60)
B1+B1 , 12 , (10,13,13:60)
C1+C1 , 8 , (17,17,30:120)
C1+C1 , 15 , (16,17,17:120)
A3+A4 , 12 , (15,20,25:150)
上の4つは、「2Sが、a、b、cの倍数である」を満たしていない。従って、(15,20,25:150)が
面積最小であり、最小値は150 ・・・ 確かにできました。
a、b、c、x、y、z が整数である三角形を、200≧a≧b≧c>0 の範囲で探してみました。
いい加減なプログラムなので間違いがあるかもしれません。
a b c x y z S GCD(abc) GCD(xyz)
25 20 15 12 15 20 150
5 1
30 25 25 20 24 24 300
5 4
40 25 25 15 24 24 300
5 3
50 40 30 24 30 40 600
10 2
60 50 50 40 48 48 1200 10
8
75 60 45 36 45 60 1350 15
3
80 50 50 30 48 48 1200 10
6
90 75 75 60 72 72 2700 15
12
100 75 35 21 28 60 1050 5
1
100 80 60 48 60 80 2400 20 4
120 75 75 45 72 72 2700 15 9
120 100 100 80 96 96 4800 20 16
125 100 75 60 75 100 3750 25 5
150 120 90 72 90 120 5400 30 6
150 125 125 100 120 120 7500 25 20
160 100 100 60 96 96 4800 20 12
169 156 65 60 65 156 5070 13 1
169 169 130 120 120 156 10140 13 12
175 140 105 84 105 140 7350 35 7
180 150 150 120 144 144 10800 30 24
200 125 125 75 120 120 7500 25 15
200 150 70 42 56 120 4200 10 2
200 160 120 96 120 160 9600 40 8
a、b、cの最大公約数GCD(a,b,c)は1ではないようです。これは証明できるでしょうか。