・複利計算                         S.H氏

 複利計算で、元金をA、年利率をr、預け入れ年数をyとすると、預けてy年後に受け取る元
利合計は、 A(1+r) で与えられる。これは1年複利と言われる。

 これを1ヶ月複利と考えた場合は、A(1+r/12)y/12 だし、1日複利と考えた場合は、
A(1+r/365)y/365 となる。

 両者に共通するのは、(1+1/x) の計算である。この式の重要性を見いだしたのは、ベ
ルヌーイと言われている。x が増加するとき、(1+1/x) は単調に増加する。
                                   (→ 参考:「加重平均の底力」)

 しかも、上に有界なので、必ず収束する。その収束値はネイピア数 e と言われ、およそ

  e=2.7182818284・・・ (「鮒一鉢、二鉢」と覚えると覚えやすいかな?)

詳しくは、「2.7182818284590452353602874713526624977572470936999595749669・・・」
                                        (→ もっと詳しい数表

 はるか30年以上前、定額貯金の金利が8%(昭和55年頃?)という時代があった。今の
金利(平成25年)が0.04%ということを考えると、200倍の金利だったわけである。その
8%の金利で10年預けると元利合計は2倍以上になった。例えば、10万円が10年後には
20万円以上になるわけである。今の金利からは想像できない夢のような時代があったのだ。

 1年複利よりも1ヶ月複利、1ヶ月複利よりも1日複利の方が元利合計の増え方は大きくな
り有利なわけだが、上記のことから、それにも限界があるということを我々に教えてくれる。

 世の中そんなに上手いこと行かないわけですね!


 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんに複利計算の問題を紹介して頂き
ました。(平成26年1月4日付け)

 ある品物の価格が一週間に2%上昇するとき、一年後の価格はもとの価格の何倍に
なるか。ただし、一年は、52週あるものとして、概算せよ。

 (出典:渡辺不二雄 著 「微分積分学問題演習」下巻)


 らすかるさんが考察されました。(平成26年1月5日付け)

 等しい時間に等しい率で物価が上昇するものとして考える。一週間をn等分して、1/n週間

の上昇率をr/nとすると、「一週間に2%上昇する」ので、limn→∞ (1+r/n)=1.02 が成

り立つ。 1+r+r2/2≒1.02 から、 r2+2r−0.04≒0

 よって、 r≒−1+√1.04≒0.0198 なので、nが大きいとき、1/n週間には、

0.0198/n の率で上昇するものとみられる。(一週間でちょうど1.02倍になります。)

 したがって、ある品物Aの価格は、x週間後には、

   limn→∞ {(1+0.0198/n)=e0.0198x

となる。ここで、x=52 のとき、e0.0198x=e1.0296≒2.800  よって、約2.8倍。


 よおすけさんからのコメントです。(平成26年1月5日付け)

 現在の物価を1とし、一週間ごとに52週間もの間、段階的に物価が2%上昇するとすれば、
その計算は、1.0252 と行えば良い。


(コメント) 最初に、よおすけさんの「1.0252 」でいいのかなと思ったのですが、「一週間に
      2%上昇する」という条件には、魔物が住んでいるのですね!


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