・加法定理2                        よおすけ氏

 正接の加法定理で、α+βの正接の式と言えば、たいてい、

  tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1−tanαtanβ)

でしょう。なお、以下の式も成り立ちます。

  tan(α+β)=(sinαcosα+sinβcosβ)/(cos2α−sin2β)


(コメント) 上記の式は初見ですね!左辺−右辺を計算しても示されますが、それでは、式
      の成り立ちが不明になるので、左辺からの式変形を試みました。

 左辺=tan(α+β)=sin(α+β)/cos(α+β)
    ={sin(α+β)cos(α−β)}/{cos(α+β)cos(α−β)

 ここで、積和の公式と倍角の公式より、

分子=sin(α+β)cos(α−β)=(1/2)(sin2α+sin2β)=sinαcosα+sinβcosβ

分母=cos(α+β)cos(α−β)=(1/2)(cos2α+cos2β)=cos2α−sin2β

 よって、 tan(α+β)=(sinαcosα+sinβcosβ)/(cos2α−sin2β) が成り立つ。


 S(H)さんからのコメントです。(平成25年10月4日付け)

 tanπ/18=tanπ/9・tanπ/6・tan2π/9 を証明せよという問題があります。ラジアンを
度に変換すれば証明できますが、どちらの加法定理を使い証明されますか?


 攻略法さんからのコメントです。(平成25年10月7日付け)

 この問題は、「角の大きさ」で既に示されていますが、ここでは、正接の3倍角の公式を用
いて示したいと思います。 

 tanπ/18=tanπ/9・tanπ/6・tan2π/9 で、ラジアンを度に直して、

    tan20°tan30°tan40°= tan10°

を示します。

 tan20°tan40°=tan(30°-10°)tan(30°+10°)

={ (tan30°-tan10°)/(1+tan30°tan10°) }{ (tan30°+tan10°)/(1-tan30°tan10°) }

={ tan230°-tan210°}/{ 1-tan230°tan210°}

={ 1/3-tan210°}/{ 1-(1/3)tan210°}={ 1-3tan210°}/{ 3-tan210°}

 ここで、正接の3倍角の公式: tan3θ=(3tanθ−tan3θ)/(1−3tan2θ) より、

 tan30°={ 3tan10°-tan310°}/{ 1-3tan210°}=tan10°{ 3-tan210°}/{ 1-3tan210°}

なので、 tan20°tan40°=tan10°/tan30°

 すなわち、 tan20°tan30°tan40°= tan10°が成り立つ。


(コメント) なるほど、綺麗な証明ですね!攻略法さんに感謝します。


 攻略法さんによれば、次の公式が成り立つとのことである。

(3倍角の公式)  tan(3α)=tan(60°-α)tan(α)tan(60°+α)

 類似の公式はたくさん作られます。

類題  tan10°= tan20°tan30°tan40°より、

      (1/tan40°)(1/tan30°)(1/tan20°) = (1/tan10°)

   よって、 tan50°tan60°tan70°= tan80°

類題  tan10°tan50°tan60°tan70°= tan20°tan30°tan40°tan80°= 1

類題  tan10°tan20°tan30°tan40°tan50°tan60°tan70°tan80°= 1

(参考) Πk=1〜n-1 tan(πk/(2n)) = 1


(コメント) 美しい関係式ですね!感動ものです。


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