・広義積分                     よおすけ 氏

 定積分    の値を求めよ。(早い方なら一瞬で答えられる・・・かも。)

 答えは、「0」ですが、広義積分でも偶関数・奇関数の関係が使えるのか試してみました。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年1月26日付け)

 例えば、奇関数だからといって、∫-∞x3dx のような積分は、「0」というのは違和感があ
りますし、実際、0 に収束するとは言いません。無限級数 Σ(-1)n が発散する扱いなのと似
ています。

 ある関数が、(-∞,∞)での広義積分が収束する(値を持つ)というには、(-∞,0]での広義
積分と[0,∞)での広義積分が共に収束することが必要十分です。

 収束する場合、奇関数の場合にはもちろん 0 に収束すると言うことになります。具体的に
どのような関数の場合に収束あるいは発散するのか、これは本質的で重要なことであるの
でぜひ考察してみてください。


 よおすけさんからのコメントです。(平成24年1月26日付け)

 今回の問題は、置換積分ができれば、高校範囲の定積分に変われるから、そこまで考え
たことはなかった...。

 実際は、今回の場合だと、x/(x2+1)2 が連続のときは、

  ∫-∞ x/(x2+1)2dx=∫0 x/(x2+1)2dx+∫-∞0 x/(x2+1)2dx

で、さらに、

  limL→∞0L x/(x2+1)2dx+limM→-∞-∞0 x/(x2+1)2dx

と計算します。テキストの書き方が間違っているかも...。


 空舟さんからのコメントです。(平成24年1月27日付け)

 その考えで合っています!そこで、関数 f(x) の取り方によって、limL→∞0L f(x)dx

が収束する場合と収束しない場合があるということです。(-∞ x/(x2+1)dx の場合は?

 実は、∫1/x dx が発散と収束の境界 です!
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 x→∞ の時に、f(x)が、1/x より速く0に収束する場合 ∫1 f(x)dx は収束

 x→+0 の時に、f(x)が、1/x より遅く∞に発散する場合 ∫01 f(x)dx は収束

 もし、よくわからないならば、具体的な例でぜひ考察願います。「数学演習」にある14.広義
積分の(1)(2)等の判定は瞬時にできるでしょう。

 sinx、cosx、tanx、e、log x 等を含む式の収束の速さについては、テイラー展開、ランダウ
の記号を知ってみると、直感で感じていたことがこんな風に厳密に表現できるのか、と。

 以前やった広義積分の講義の練習問題を見てみると、「tanx の-π/2からπ/2までの広
義積分は収束するか」という問題を見つけました。いかにも有りがちな問題ですが、収束判
定はそれほど自明ではなさそうに見えましたが、1/tanx の0付近での発散の速さを見れば
良いと気づけば、1/x と同程度の速さなので、答えは発散とすぐ分かります。

(コメント) (ε,n)における tanx の定積分は、log(cosε)−log|cosn|である。
      ε→+0 の時に、log(cosε)→log(1)=0 だが、n→∞ の時に、log|cosn|
      は確かに収束しなさそう...。


 よおすけさんからのコメントです。(平成24年1月27日付け)

 当初用意していた解答はこれです。 x=tanθ とおくと、 dx/dθ=1/cos2θ

 積分範囲は、x : -∞→∞ より、θ : -π/2→π/2 で、1/cos2θ=tan2θ+1 より、

 x/(x2+1)2dx=tanθ・cos4θ・1/cos2θ・dθ=sinθcosθdθ=(1/2)sin2θdθ

 よって、求める積分値は、 (-1/4)(cosπ−cosπ)=0

(※) この問題のように、適当に置換すると、広義積分が普通の定積分に変わることがあ
   ります。

(コメント) 「普通の定積分」のように見えますが、実質はやはり「広義積分」ですよね!


 空舟さんからのコメントです。(平成24年2月7日付け)

 積分区間が、-π/2からπ/2なので、(正確には-π/2+0からπ/2-0と書く所でした。)
n→∞ で、log|cosn| は収束しません。

 ∫0π/2 tanθ dθ=∫0π/2 1/tanx dx (置換:θ=π/2−x)

ここで、1/tanx が、1/x と同程度云々というのは、厳密に利用するなら、例えば、区間
(0,π/4)で、tanx≦4x/π、つまり、1/tanx≧π/(4x) 等とすれば、

 ∫0π/4 1/tanx dx ≧∫0π/4 π/(4x) dx=+∞

という風に評価できるということです。


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