・Wasonの選択課題 FN 氏
Wasonの選択課題というものがある。
問1 4枚のカードがあり、それぞれ片面にはアルファベットが、もう片面には数字が書か
れている。今、4枚のカード(で見えてるの)は A F 4 7 である。
「片面が母音ならば、そのカードの裏は偶数である」というルールが成立しているかど
うかを確かめるには、どのカードを調べる(裏返してみる)べきか?
もちろんできるだけ少ない枚数を調べなければならない。
問2 4人が飲物を飲んでいる。4人の飲んでいるものまたは年齢は、
ビール 烏龍茶 28才 17才
である。「アルコール飲料を飲んでいるならば、20才以上である」というルールが成立し
ているかどうかを確かめるには、どの人に聞く(年齢または飲み物を)べきか?
もちろんできるだけ少ない人数の人に聞かなければならない。
上記2問の論理構造は全く同じです。しかし正答率は相当違うそうです。数学(論理学)よ
りは心理学の話です。心理学では有名な話だそうです。
Wasonの実験では、問1の正答率は5%、問2は80%程度だったそうです。被験者は大
学生だそうです。それにしても、問1の正答率5%は低すぎると思います。偶然正解というケ
ースもあるので、高校生でも20%ぐらいはあるように思います。
問1と問2の正答率に相当の差があるのは納得できます。私も問2はごく簡単だったけど、
問1は少々あせりました。問1を先に聞いて、あとで問2を聞いたこともあるとは思います。
(コメント) 「 p ならば q 」というルールの真偽を判定するだけなので、
p が真のとき、q が真でなければ、「 p ならば q 」は真とはならない。
p が偽のとき、q の真偽に関わらず、「 p ならば q 」は真となる。
「 〜q ならば 〜p 」が真のとき、「 p ならば q 」は真となる。
以上から、「 p ならば q 」が真となることを確かめるためには、
(1) p が真のとき、 q が真であることを確かめればよい。
(2) q が偽のとき、 p が偽であることを確かめればよい。
上記の問2では、「アルコール飲料を飲んでいる(p) ならば 20才以上(q)」なので、
ビールを飲んでいる人 、 17才の人
の2名に聞くことになる。
問1では、「片面が母音(p) ならば そのカードの裏は偶数(q)」なので、見えている面が
A 、 7
の2つのカードを裏返して確かめればよい。
Wasonの選択課題は、非常に単純な課題にも関わらず、多くの人が間違えるのは、多分
命題の無内容的成立という点が関わっていると思います。
ただ、この論理を受け入れないと、集合論における「空集合はすべての集合の部分集合で
ある」ということが説明しづらいかな?(→ 参考:「数学の論理」)