・ 2数の比較                       S.H氏

 2数の比較をする場合、それらが計算できたら、数学の問題にならない。計算できないか
らこそ数学の問題になりうる。

 今まで出会った、そういう類のもので圧巻は、

 π と π の大小を比較せよ

というものだろう。

 π は円周率であるが、自然対数の底 e は一般には馴染みが薄かろう。何せ、「 e 」を学
ぶ日本の高校生は、全体の2割位しかいないから...。(中央教育審議会資料より)

 関数

 

が、 x ≧ e において、単調減少ということから、 eπ>π であることが分かる。

 実際に、 e < π より、 (log e)/e > (log π)/π なので、

 π(log e) > e(log π) すなわち、 log eπ > log π より、 eπ>π である。

   グラフ描画ソフトを用いて、左
  のグラフを得る。

   x ≧ e において、単調減少と
  いうことが一目瞭然だろう。

   計算でも、

   

  から明らか...。



 まさに、感動!の一言である...。

 この問題について、当HPがいつもお世話になっているHN「zk43」さんより、別解を頂いた。
(平成21年11月3日付け)

(別解その1) 対数関数 y=log x のグラフは、上に凸のグラフで、原点を通る直線が曲線

 y=log x と接するのは、x=e のときである。

よって、原点と 点( x , log x ) ( ただし、x≧ e )を結ぶ直線の傾きは単調減少である。

 したがって、 e < π なので、 (log e)/e > (log π)/π

すなわち、 log eπ> log π より、 eπ>π である。

(別解その2) e=1+x+x2/2+・・・>1+x (x>0) において、x=π/e−1 とすると、

 e>1+x=π/e すなわち、 eπ/e > π より、 eπ > π である。


(コメント) zk43 さん、ありがとうございます。

 さて、上記の    のグラフは、2数 2 と x を比較する場合にも活躍する。

 実際に、上図のグラフにおいて、x=e のときの y の値は、 1/e で、これが最大値に
なる。

 ところで、 4> e なので、 log2>1/2 である。

 また、 e >2 なので、 1/2>1/e が成り立ち、 log2>1/e となる。

このことから、   log2  が成り立ち、 2> x であることが分かる。

 ただ、この解法の弱点は全然初等的でないことである。もっと早い段階で、このことを説明
しようとすると途端に窮してしまう。

 当HPの「私の備忘録」 質問に対する回答(12) で調べたように、y=a のグラフは、

a の値によって、

 0<a<1 のとき、1個 、1<a< のとき、2個 、a= のとき、1個

と、直線 y=x と共有点を有する。 (  は、だいたい 1.444668・・・ くらい?)

 自然数 n に対して、 2>n だから、 2> x だろうと押し切るにも、上記の事実が
あるので心許ない。

 初等的に説明できないか、目下の研究課題である。


(追記) 「どこかで見たような問題(おそらく数学セミナーだったかと)」と題して、鱒さんから
    の投稿です。関数電卓等での算出は禁じ手とします。(平成27年10月8日付け)

 自然対数の底eと円周率πについて、 0<eπ−πe<1 を示せ。

 みなさんならばどう示しますか?お教えください。


 草餅さんからのコメントです。(平成27年10月8日付け)

 高校数学的ですが、f(x)=ex-xe とおき、e<πより、f(e)=0<f(π)はすぐ導けますね。「<1」
は、g(x)=xπx とおいて、その最大値が x>0の範囲で1より小さいことを示せればよいで
しょうか…。細かい証明をしてなくてすみませんが。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年10月9日付け)

 「0<」の方は、草餅さんの言うようにすぐできるので、「<1」側だけ。何というか、ゴリゴリの
力技の「ないよりはマシ」レベルでしかない証明ですが。

 平均値の定理じゃ精度が全く足りなかったので、テイラーの定理の n=2 と n=3 をフル活用
します。また、2.718<e<2.719 と 3.141<π<3.142 は証明なく使います。電卓は小数の四
則演算にのみ使用しました。(これくらいは許されますよね?)

 [補題1]  0<x<1/4 のとき、1+x+x2/2+x3/6 < ex < 1+x+x2/2+2x3/9

 0<x<1/4 のとき、 et は、0≦t≦x において3回微分可能なので、テイラーの定理の n=3

より、 ex = 1 + x + x2/2 +  ecx3/6 なる実数 c が 0<c<x に存在する。

ここで、0<c<1/4 と 1<e<3<256/81 より、1<ec<(256/81)^(1/4) = 4/3 である。

 x3>0 であるから、 x3/6<ecx3/6<2x3/9 より、示された。

 [補題2] ee>15.1134

 e/16>2.718/8>0.1698 より、(e/16)2>0.16982>0.0288

 (e/16)3>0.1698・0.0288>0.0048

また、e/16<1/4 なので、[補題1] より、

e^(e/16)>1+e/16+1/2 (e/16)2 +1/6 (e/16)3>1+0.1698+1/2*0.0288+1/6*0.0048=1.1850

したがって、e^(e/8)>1.18502>1.4042 より、e^(e/4)>1.40422>1.9717 なので、

e^(e/2)>1.97172>3.8876 すなわち、ee>3.88762>15.1134

 よって示された。

 [補題3] πe>22.3

 xe は、e≦x≦π において2回微分可能なので、テイラーの定理の n=2 より、

 πe = ee + ee (π-e) + e(e-1) ce-2 (π-e)2 /2

なる実数 c が e<c<π に存在する。

 このとき、 e-2>0 より、 ee-2<ce-2 なので、

πe>ee + ee(π-e) + e(e-1) ee-2(π-e)2/2=ee{ 1+ (π-e) + (1-1/e)(π-e)2/2 }

 ここで、1/e<1/2.718<0.3680 より、1-1/e>1-0.3680 = 0.6320

 π-e>3.141-2.719 = 0.422 より、(π-e)2>0.4222>0.1780

 よって、 (1-1/e)(π-e)2>0.1124 と計算していくと、

 1+ (π-e) + (1-1/e)(π-e)2/2>1+0.422+0.1124/2 = 1.4782

なので、[補題2] を用いて、 πe>15.1134×1.4782>22.3406>22.3

 よって、示された。

 [補題4] eπ<23.3

 π/16<3.142/16<0.1964 より、(π/16)2<0.19642<0.0386

 (π/16)3<0.0386×0.1964<0.0076

 よって、[補題1] より、

e^(π/16) < 1 + π/16 + 1/2 (π/16)2 + 2/9 (π/16)3
< 1 + 0.1964 + 1/2×0.0386 + 2/9*0.0076 < 1.2174

したがって、 e^(π/8)<1.21742<1.4821 より、 e^(π/4)<1.48212<2.1967

 e^(π/2)<2.19672<4.8255 より、 eπ<4.82552<23.2855<23.3

 よって、示された。

[定理] eπ - πe<1

 [補題3]、[補題4] より、 eπ - πe<23.3 - 22.3 = 1 なので、示された。


## この精度だとかなりギリギリでした。もっと効率よく精度良く出す方法あるのかなあ?


 読者のために練習問題を残しておこう。

練習問題  πを円周率とするとき、 3π>π3 であることを示せ。

(解) 両辺の自然対数をとって、 πlog3>3logπ すなわち、 (log3)/3>(log x)/x
   を示せばよい。

 F(x)=(log x)/x とおくと、 F’(x)=(1−log x)/x2=0 より、 x=e

 e<x において、F’(x)<0 より、F(x)は単調に減少する。

 e<3<π なので、 F(3)>F(π) が成り立つ。

 以上から、 (log3)/3>(log x)/x すなわち、 3π>π3 が成り立つ。  (終)



  以下、工事中!



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