・24年度大学入学共通テスト                S.H 氏

 4回目の大学入学共通テストが令和6年1月13日・14日の両日行われた。初めて受験生
が50万人を割った大学入学共通テストは、6教科30科目での実施は今年が最後で、来年
からは、教科「情報」を含む7教科21科目に再編され、新しい歴史が始まる。

 本番直前の地震の影響で、北陸地方を中心に厳しい試練となったが、是非実力を遺憾なく
発揮されて頑張ってほしいものだ。

 17日発表の平均点中間集計によれば、数学I・Aの平均点は、54.35点(昨年度は、
55.65点)、数学II・Bは、61.03点(61.48点)で、昨年度並の難易度となった。

 2月5日に、確定平均点の発表があった。数学I・Aの平均点は、51.38点(昨年度は、
55.65点)、数学II・Bは、57.74点(61.48点)で、中間発表より3点ほど下がる結果と
なった。


 カルピスさんからのコメントです。(令和6年1月19日付け)

 大学入学共通テスト数学の平均は、だいたい50点台だけど、なんでそんなに難しくする必
要があるのだろう?

 自分が数学の試験を受けて半分位しか出来なかったら、落ちたかなと思ってしまうけど。
精神的に落ち込む・・・。


 DD++ さんからのコメントです。(令和6年1月19日付け)

 仮に平均点が80点の試験だったら、平均以上に数学ができる人の間で最大20点しか差が
つかないからでしょうね。点数を全て偏差値化して合否を決める方針だったら、平均点が多
少上下しても問題ないと思いますが、単純に得点を合計する以上、平均点より上に十分な
幅がなくてはいけません。

 また、そもそも大学入試のシステムが「何点以上で合格」ではなく「何位以上が合格」であ
る以上、難しいことだけが理由で落ちるということはほとんどないはずです。


 カルピスさんからのコメントです。(令和6年1月20日付け)

 DD++ さん、有難うございます。自分の「木を見て森を見ず」の性格だと、出来なかったとい
う考えだけが浮かびネガティブになってしまいます。

 元々、頭の良い人って、考え方がポジティブなんですよね。「自分に出来ない問題は、みん
なも出来ないのだから」とか「別に、全部出来る必要なんてない、自分に出来る所だけをや
れば良い」など、気持ちに余裕がありますね。

 大昔、共通一次試験があった時、模擬試験問題を見た途端にテンションが、ぐーんと下が
り、「もう駄目だー」で頭の中がいっぱいになり、諦めモードでだらだらと解いた記憶がありま
す。

 最初から、平均点が50点位を想定して作っている問題だと分かっていて挑むのと、全く知
らないで挑むのでは精神的なものが全然違ってきますね。

 最近、大学入学共通テストが話題になって、過去の暗いトンネル時代を思い出してしまい
ました。失礼致しました。


 今年も面白そうな問題をいくつか取り上げ、挑戦したいと思う。問題文は一部改題です。

【 数学I・A 】

第5問 下図の星形の図形を考える。

  

 ただし、AP : PQ : QC=2 : 3 : 3 、AT : TS : SD=1 : 1 : 3 とする。

(1) QR : RD 、QB : BD 、BQ : QR : RD を求めよ。


(解) △AQDと直線CEに関して、メネラウスの定理より、

 (QR/RD)(DS/SA)(AC/CQ)=1 なので、 (QR/RD)(3/2)(8/3)=1

 よって、 QR/RD=1/4 より、 QR : RD=1 : 4

同様に、△AQDと直線BEに関して、メネラウスの定理より、

 (QB/BD)(DT/TA)(AP/PQ)=1 なので、 (QB/BD)(4/1)(2/3)=1

 よって、 QB/BD=3/8 より、 QB : BD=3 : 8 なので、 BQ : QD=3 : 5

 したがって、 BQ : QR : RD=3 : 1 : 4 となる。  (終)


(2) 5点P、Q、R、S、Tが同一円周上にあるとし、AC=8 とする。

  

 このとき、次の問いに答えよ。

(@) AT 、DR の値を求めよ。

(A) AQ・CQ と BQ・DQ の大小を調べよ。

(B) 3点A、B、Cを通る円と直線BDとの交点のうち、Bと異なる点をXとする。このとき、
  AQ・CQ と BQ・XQ の大小を調べよ。

(C) 点Dは3点A、B、Cを通る円の外部にあることを示せ。

(D) この星形の図形において、CR、RS、SE の値を求めよ。

(E) 点A、Bは、3点C、D、Eを通る円の外部にあることを示せ。


(解)(@) AP=2 、PQ=3 、AT=TS=m とおくと、方べきの定理より、

 2・5=m・2m から、 m2=5 なので、 m=AT= である。

このとき、 TS= 、SD=3 で、(1)より、QR : RD=1 : 4 なので、

 QR=n 、RD=4n とおくと、方べきの定理より、

 4n・5n=3・4=60

 よって、n2=3 より、 n= なので、 DR=4

(A) AQ・CQ=5・3=15 で、(1)より、BQ : QR : RD=3 : 1 : 4 なので、

 BQ=3 、DQ=5 より、 BQ・DQ=45

 よって、 AQ・CQ<BQ・DQ である。

(B) 方べきの定理より、 AQ・CQ=BQ・XQ である。

(C) BQ・XQ<BQ・DQ より、 XQ<DQ なので、点Dは3点A、B、Cを通る円の外部
  にあることが分かる。

(D) △ACSと直線BEに関して、メネラウスの定理より、

 (AP/PC)(CE/SE)(ST/TA)=1 なので、 (2/6)(CE/SE)(1/1)=1 より、

 CE/SE=3 なので、 CE=3・SE

同様に、△ACSと直線BDに関して、メネラウスの定理より、

 (AQ/QC)(CR/RS)(SD/DA)=1 なので、 (5/3)(CR/RS)(3/5)=1 より、

 CR/RS=1 なので、 CR=RS である。

 ここで、 CS=2SE から、 CR=RS=SE が成り立つ。

 方べきの定理より、 CQ・CP=CR・CS なので、 3・6=SE・2SE より、 SE=3

 以上から、 CR=RS=SE=3 が成り立つ。


#この(D)は本文に無条件で記載されている。時間短縮のために割愛されたのだろう。


(E) 3点C、D、Eを通る円と直線ADとの交点のうち、Dと異なる点をYとすると、

 DS・SY=CS・SE=6・3=18 で、一方、DS・SA=3・2=30 より、

 DS・SY<DS・SA から、 SY<SA なので、点Aは、3点C、D、Eを通る円の外部にあ

ることが分かる。

 3点C、D、Eを通る円と直線BDとの交点のうち、Dと異なる点をZとすると、

 DR・RZ=CR・RE=3・6=18 で、一方、DR・RB=4・4=48 より、

 DR・RZ<DR・RB から、 RZ<RB なので、点Bは、3点C、D、Eを通る円の外部にあ

ることが分かる。  (終)


(コメント) 素直に誘導に従えば、易しい問題だったでしょう。


第4問 T3、T4、T6 を次のようなタイマーとする。 
T3 : 3進数を3桁表示するタイマー
T4 : 4進数を3桁表示するタイマー
T6 : 6進数を3桁表示するタイマー
なお、n進数とはn進法で表された数のことである。

 これらのタイマーは、すべて次の表示方法に従うものとする。

<表示方法>
(a) スタートした時点でタイマーは 000 と表示されている。
(b) タイマーは、スタートした後、表示される数が1秒ごとに1ずつ増えていき、3桁で表示でき
 る最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻る。
(c) タイマーは表示が 000 に戻った後も、(b)と同様に、表示される数が1秒ごとに1ずつ増え
 ていき、3桁で表示できる最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻るという動作を
 繰り返す。

(1)(@) T6は、スタートしてから10進数で40秒後に表示される数を求めよ。
 (A) T4は、スタートしてから2進数で 10011(2) 秒後に表示される数を求めよ。


(解)(@) 40=1・62+4 なので、40秒後のT6の表示は、104 である。

 (A) 10011(2)=1・24+1・2+1=1・42+3 なので、10011(2)秒後のT4の表示は、
   103 である。  (終)


(2)(@) T4をスタートさせた後、初めて表示が 000 に戻るのは、スタートしてから 10進数で
    何秒後であるか。
 (A) 同様の考察をT6に対しても行うことにより、T4とT6を同時にスタートさせた後、初め
    て両方の表示が同時に 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で、何秒後であるか。


(解)(@) 3・42+3・4+3+1=64 なので、T4の表示が 000 に戻るのは、スタートして
    から 10進数で、64秒後である。

 (A) 5・62+5・6+5+1=216 なので、T6の表示が 000 に戻るのは、スタートしてか
   ら 10進数で、216秒後である。T4とT6を同時にスタートさせた後、初めて両方の表示が
   同時に 000 に戻るまでの時間をそれぞれ x、y 秒後とすると、

    64x=216y すなわち、 8x=27y

 8と27は互いに素なので、最小の自然数解は、 x=27、y=8

 よって、両方の表示が同時に 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で、

  216×8=1728(秒後) である。  (終)


(3)(@) 0以上の整数Lに対して、T4をスタートさせたL秒後にT4が 012 と表示されることと
    同値なことを述べよ。ただし、表記は10進法で表すものとする。
 (A) T 3についても同様の考察を行う。T3とT4を同時にスタートさせてから、初めて両方
    が同時に 012 と表示されるまでの時間をm秒とするとき、mを10進法で表せ。
 (B)また、T4とT6の表示に関する記述として、次の記述のうち、正しいものを求めよ。

(イ) T4とT6を同時にスタートさせてから、m秒後より前に初めて両方が同時に 012 と表示
  される。
(ロ) T4とT6を同時にスタートさせてから、ちょうどm秒後に初めて両方が同時に 012 と表
  示される。
(ハ) T4とT6を同時にスタートさせてから、m秒後より後に初めて両方が同時に 012 と表示
  される。
(ニ) T4とT6を同時にスタートさせてから、両方が同時に 012 と表示されることはない。


(解)(@) T4の表示が 000 に戻るのは、10進数で、64秒毎であるので、T4の表示が 012
    になるのは、 6、70、134、・・・ なので、T4をスタートさせたL秒後にT4が 012 と
    表示されることは、Lを64で割った余りが6であることと同値である。
    
 (A) T 3の表示が 000 に戻るのは、10進数で、27秒毎であるので、T3の表示が 012
    になるのは、 5、32、59、・・・ なので、T3をスタートさせたm秒後にT3が 012 と
    表示されることは、mを27で割った余りが5であることと同値である。

   同様に、T4をスタートさせたm秒後にT4が 012 と表示されることは、mを64で割った
   余りが6であることと同値である。

 以上から、 (m−5)/27=x 、(m−6)/64=y とおくと、x、yは自然数で、

 27x+5=64y+6 すなわち、 27x−64y=1

 27・19−64・8=1 なので、辺々引いて、 27(x−19)=64(y−8)

 27と64は互いに素なので、 x=19+64n 、y=8+27n (nは0以上の整数)

 初めて両方が同時に 012 と表示されるまでの時間mは、

 m=27x+5=27・19+5=518(秒)

 (B) T4は64秒毎にリセット、T6は216秒毎にリセットなので、T4とT6を同時にスタートさ
   せてから、012 と表示される時間は、

 T4: 6、70、134、198、262、326、390、454、518、・・・

 T6: 8、224、440、656、・・・

 したがって、

(イ) T4とT6を同時にスタートさせてから、518秒後より前に初めて両方が同時に 012 と表
  示される。

は誤りである。

(ロ) T4とT6を同時にスタートさせてから、ちょうど518秒後に初めて両方が同時に 012 と表
  示される。

は、誤りである。

 64t+6=216s+8 において、32t−108s=1 より、左辺は偶数で、右辺は奇数から
この方程式を満たす自然数解は存在しない。

したがって、

(ハ) T4とT6を同時にスタートさせてから、518秒後より後に初めて両方が同時に 012 と表示
  される。

は誤りである。

(ニ) T4とT6を同時にスタートさせてから、両方が同時に 012 と表示されることはない。

は正しいことになる。  (終)


第3問 箱の中にカードが2枚以上入っており、それぞれのカードにはアルファベットが1文字
    だけ書かれている。この箱の中からカードを1枚取り出し、書かれているアルファベット
    を確認してからもとに戻すという試行を繰り返し行う。

(1) 箱の中にA、Bのカードが1枚ずつ全部で2枚入っている場合を考える。
 以下では、2以上の自然数nに対し、n回の試行でA、Bがそろっているとは、n回の試行で
 A、Bのそれぞれが少なくとも1回は取り出されることを意味する。

(@) 2回の試行でA、Bがそろっている確率を求めよ。
(A) 3回の試行でA、Bがそろっている取り出し方を考え、3回の試行でA、Bがそろってい
  る確率を求めよ。
(B) 4回の試行でA、Bがそろっている取り出し方を考え、4回の試行でA、Bがそろってい
  る確率を求めよ。


(解)(@) 2回の試行で起こりうるすべての場合の数は、22=4(通り) そのうち、A、Bがそ
     ろう場合の数は、AB、BAの2通りなので、求める確率は、2/4=1/2

(A) 3回の試行で起こりうるすべての場合の数は、23=8(通り) そのうち、A、Bがそろう
  取り出し方は、23−2=6(通り)なので、求める確率は、6/8=3/4

(B) 4回の試行で起こりうるすべての場合の数は、24=16(通り) そのうち、A、Bがそろ
  う取り出し方は、24−2=14(通り)なので、求める確率は、14/16=7/8  (終)


(2) 箱の中にA、B、Cのカードが1枚ずつ全部で3枚入っている場合を考える。以下では、
  3以上の自然数nに対し、n回目の試行で初めてA、B、Cがそろうとは、n回の試行でA、
  B、Cのそれぞれが少なくとも1回は取り出され、かつA、B、Cのうちいずれか1枚がn回
  目の試行で初めて取り出されることを意味する。 

(@) 3回目の試行で初めてA、B、Cがそろう取り出し方を考え、3回目の試行で初めてA、
  B、Cがそろう確率を求めよ。
(A) 4回目の試行で初めてA, B. Cがそろう取り出し方を考え、4回目の試行で初めてA、
  B、Cがそろう確率を求めよ。
(B) 5回目の試行で初めてA, B, Cがそろう取り出し方を考え、5回目の試行で初めてA、
  B、Cがそろう確率を求めよ。


(解)(@) 3回の試行で起こりうるすべての場合の数は、33=27(通り) そのうち、初めて
     A、B、Cがそろう場合の数は、
    3回目がAのとき、 22−2=2(通り)
    3回目がBのとき、 22−2=2(通り)
    3回目がCのとき、 22−2=2(通り)
  なので、合わせて、2×3=6通りある。よって、求める確率は、 6/27=2/9

(A) 4回の試行で起こりうるすべての場合の数は、34=81(通り) そのうち、初めて
     A、B、Cがそろう場合の数は、
    4回目がAのとき、 23−2=6(通り)
    4回目がBのとき、 23−2=6(通り)
    4回目がCのとき、 23−2=6(通り)
  なので、合わせて、6×3=18通りある。よって、求める確率は、 18/81=2/9

(B) 5回の試行で起こりうるすべての場合の数は、35=243(通り) そのうち、初めて
     A、B、Cがそろう場合の数は、
    5回目がAのとき、 24−2=14(通り)
    5回目がBのとき、 24−2=14(通り)
    5回目がCのとき、 24−2=14(通り)
  なので、合わせて、14×3=42通りある。
  よって、求める確率は、 42/243=14/81  (終)


(3) 箱の中にA、B、C、Dのカードが1枚ずつ全部で4枚入っている場合を考える。以下で
  は、6回目の試行で初めてA、B、C、Dがそろうとは、6回の試行でA、B、C、Dのそれぞれ
  が少なくとも1回は取り出され、かつA、B、C、Dのうちいずれか1枚が6回目の試行で初
  めて取り出されることを意味する。

 また、3以上5以下の自然数nに対し、6回の試行のうちn回目の試行で初めてA、B、Cだ
けがそろうとは、6回の試行のうち1回目からn回目の試行で、A、B、Cのそれぞれが少なく
とも1回は取り出され、Dは1回も取り出されず、かつA、B、Cのうちいずれか1枚がn回目の
試行で初めて取り出されることを意味する。6回の試行のうちn回目の試行で初めてB、C、D
だけがそろうなども同様に定める。

 太郎さんと花子さんは、6回目の試行で初めてA、B、C、Dがそろう確率について考えてい
る。

太郎:例えば、5回目までにA、B、Cのそれぞれが少なくとも1回は取り出され、かつ6回目
   に初めてDが取り出される場合を考えたら計算できそうだね。
花子:それなら、初めてA、B、Cだけがそろうのが、3回目のとき、4回目のとき、5回目のと
   きで分けて考えてみてはどうかな。

(@) 6回の試行のうち3回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろう取り出し方を考え、
  「6回の試行のうち3回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろい、かつ6回目の試行で初
  めてDが取り出される」取り出し方の数を求めよ。

(A) 「6回の試行のうち4回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろい、かつ6回目の試行
  で初めてDが取り出される」取り出し方の数を求めよ。

(B) 6回目の試行で初めてA、B、C、Dがそろう確率を求めよ。


(解)(@) 6回の試行のうち3回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろう取り出し方は、
    6通りあり、6回目の試行で初めてDが取り出される取り出し方の数は、
    6×32=54(通り)

(A) 6回の試行のうち4回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろう取り出し方は、
  4回目がAのとき、 23−2=6(通り)
  4回目がBのとき、 23−2=6(通り)
  4回目がCのとき、 23−2=6(通り)
 なので、合わせて、6×3=18通りあるから、6回目の試行で初めてDが取り出される取り
 出し方の数は、 18×3=54(通り)

(B) 6回の試行のうち5回目の試行で初めてA、B、Cだけがそろう取り出し方は、
  5回目がAのとき、 24−2=14(通り)
  5回目がBのとき、 24−2=14(通り)
  5回目がCのとき、 24−2=14(通り)
 なので、合わせて、14×3=42通りあるから、6回目の試行で初めてDが取り出される取
 り出し方の数は、 42通り

 6回の試行で起こりうるすべての場合の数は、46=4096(通り) そのうち初めてA、B、C、
Dがそろう場合の数は、 (54+54+42)×4=600(通り) なので、
求める確率は、 600/729=75/512  (終)


(コメント) 決して難しい問題ではありませんが、問題文の冗長さと誘導に付いていくのに
     疲れました!内容的には、共通一次試験だと1頁に収まる問題ですよね。


第2問 [1] 座標平面上に4点O(0,0)、A(6,0)、B(4,6)、C(0,6)を頂点とする台形OABC
      がある。また、この座標平面上で、点P、Qは次の規則に従って移動する。
<規則>
・Pは、Oから出発して毎秒1の一定の速さで x 軸上を正の向きにAまで移動し、Aに到達し
 た時点で移動を終了する。
・Qは、Cから出発して y 軸上を負の向きにOまで移動し、Oに到達した後は y 軸上を正の
 向きにCまで移動する。そして、Cに到達した時点で移動を終了する。ただし、Qは毎秒2の
 一定の速さで移動する。
・P、Qは同時刻に移動を開始する。

 この規則に従って、P、Qが移動するとき、P、Qはそれぞれ A、C に同時刻に到達し、移動
を終了する。

 以下において、P、Qが移動を開始する時刻を開始時刻、移動を終了する時刻を終了時刻
とする。

  

(1) 開始時刻から1秒後の△PBQの面積を求めよ。


(解) B(4,6)、P(1,0)、Q(0,4) から、△PBQ=(1/2)|(−3)(−2)−24|=9  (終)


(2) 開始時刻から3秒間の△PBQの面積について、面積の最小値と最大値を求めよ。


(解) B(4,6)、P(t,0)、Q(0,6−2t) から、

 △PBQ=(1/2)|(t−4)(−2t)−24|=|t2−4t+12|=(t−2)2+8

 0≦t≦3 において、t=2 のとき、最小で、最小値は、8

 t=0 のとき、最大で、最大値は、12  (終)


(3) 開始時刻から終了時刻までの△PBQの面積について、面積の最小値と最大値を求
  めよ。


(解) 3≦t≦6 のとき、B(4,6)、P(t,0)、Q(0,2t−6) から、

 △PBQ=(1/2)|(t−4)(2t−12)−24|=|t2−10t+12|=−(t−5)2+13

 3≦t≦6 において、t=5 のとき、最大で、最大値は、13

 t=3 のとき、最小で、最小値は、9

以上から、0≦t≦6 において、t=5 のとき、最大で、最大値は、13

 t=2 のとき、最小で、最小値は、8  (終)


(4) 開始時刻から終了時刻までの△PBQの面積について、面積が10以下となる時間
  を求めよ。


(解) 0≦t≦3 において、(t−2)2+8=10 の解は、 t=2−

 3≦t≦6 において、−(t−5)2+13=10 の解は、 t=5−

 よって、求める時間は、 5−−(2−)=3− (秒間)  (終)


(コメント) △PBQの面積は、 (台形の面積)−(2つの三角形の面積の和) でも求められ
     ますね。


[2] 高校の陸上部で長距離競技の選手として活躍する太郎さんは、長距離競技の公認記
  録が掲載されているWebページを見つけた。このWebページでは、各選手における公認
  記録のうち最も速いものが掲載されている。

 そのWebページに掲載されている、ある選手のある長距離競技での公認記録を、その選手
のその競技でのベストタイムということにする。

(1) 太郎さんは、男子マラソンの日本人選手の2022年末時点でのベストタイムを調べた。
 その中で、2018年より前にベストタイムを出した選手と2018年以降にペストタイムを出した
 選手に分け、それぞれにおいて速い方から50人の選手のベストタイムをデータA、データB
 とした。

 ここでは、マラソンのベストタイムは、実際のベストタイムから2時問を引いた時間を秒単位
で表したものとする。例えば、2時間5分30秒であれば、60×5+30=330(秒) となる。

(@) 図1と図2はそれぞれ、階級の幅を30秒としたAとBのヒストグラムである。なお、ヒスト
 グラムの各階級の区問は、左側の数値を含み、右側の数値を含まない。

  

 図1で、Aの最頻値が含まれる階級を求めよ。また、図2で、Bの中央値が含まれる階級を
求めよ。


(解) Aの最頻値が含まれる階級は、510以上540未満。また、Bの中央値が含まれる階
  級は、25番目、26番目が含まれる階級なので、450以上480未満。  (終)


(A) 図3は、A、Bそれぞれの箱ひげ図を並べたものである。ただし、中央値を示す線は省
 いている。

  

 図3より次のことが読み取れる。ただし、A、Bそれぞれにおける、速い方から13番目の選手
は、一人ずつとする。

・Bの速い方から13番目の選手のベストタイムと、Aの速い方から13番目の選手のベストタイ
ムの差はおよそ何秒か。
・Aの四分位範囲からBの四分位範囲を引いた差の絶対値の取り得る範囲を求めよ。


(解) 50÷4=12.5 から、Aの速い方から13番目の選手のベストタイムは、480秒で、

 Bの速い方から13番目の選手のベストタイムは、435秒である。よって、その差は、45秒

 Aの四分位範囲は、530−480=50(秒)、Bの四分位範囲は、485−435=50(秒)

 よって、両者の差の絶対値の取り得る範囲は、0以上20未満と言える。  (終)


(B) 太郎さんは、Aのある選手とBのある選手のベストタイムの比較において、その二人の
 選手のベストタイムが速いか遅いかとは別の観点でも考えるために、次の式を満たすzの
 値を用いて判断することにした。

 式 : (あるデータのある選手のベストタイム)
    =(そのデータの平均値)+z×(そのデータの標準偏差)

 二人の選手それぞれのベストタイムに対するzの値を比較し、その値の小さい選手の方が
優れていると判断する。

 下表は、A、Bそれぞれにおける、速い方から1番目の選手(以下、1位の選手)のベストタイ
ムと、データの平均値と標準偏差をまとめたものである。

 表 1位の選手のベストタイム、平均値、標準偏差

データ 1位の選手のベストタイム 平均値 標準偏差
A 376 504 40
B 296 454 45

 式と上表を用いて、Bの1位の選手のベストタイムに対する z の値を求めよ。
A、Bそれぞれにおける、1位の選手についてどんなことが言えるか。


(解) Bの1位の選手のベストタイムに対する z の値は、

 296=454+45z より、z=−3.51

 このことから、Bの1位の選手のベストタイムは、平均値より標準偏差のおよそ3.51倍だ
け小さいことがわかる。

 同様に、Aの1位の選手のベストタイムに対する z の値は、

 376=504+40z より、z=−3.2

 このことから、Aの1位の選手のベストタイムは、平均値より標準偏差のおよそ3.2倍だ
け小さいことがわかる。

 以上から、ベストタイムで比較すると、Bの1位の選手の方が速く、z の値で比較すると、B

の1位の選手の方が優れている。  (終)


(2) 太郎さんは、マラソン、10000m、5000 mのベストタイムに関連がないかを調べることに
  した。そのために、2022年末時点でのこれら3種目のベストタイムをすべて確認できた日
  本人男子選手のうち、マラソンのベストタイムが速い方から50人を選んだ。

 図4と図5はそれぞれ、選んだ50人についてのマラソンと10000 mのべストタイム、5000 mと
10000 mのベストタイムの散布図である。ただし、5000 mと10000 mのベストタイムは秒単位
で表し、マラソンのベストタイムは(1)の場合と同様、実際のベストタイムから2時間を引いた
時間を秒単位で表したものとする。なお、これらの散布図には、完全に重なっている点はない。

  

 次の(a)、(b)は、図4と図5に関する記述である。

(a) マラソンのべストタイムの速い方から3番目までの選手の10000 mのベストタイムは、3選
 手とも1670秒未満である。
(b) マラソンと10000 mの間の相関は、5000 mと10000 mの間の相関より強い。

 (a)、(b)の正誤を答えよ。


(解) ラソンのべストタイムの速い方から3番目までの選手の10000 mのベストタイムは、3選
 手とも1670秒未満なので、(a)は正しい。

 図4と図5の散布図を比較して、図5の方が密集している。よって、5000 mと10000 mの間
の相関の方が、マラソンと10000 mの間の相関より強いと言える。

 よって、(b)は誤りである。  (終)


(コメント) この設問も異様に文章量が多い。その割りに設問レベルは教科書の問いレベ
     ルで、忍耐力さえあれば高得点が期待できるだろう。


第1問 [1](@) 不等式 n<2<n+1 ・・・ @ を満たす整数nを求めよ。
  (A) 2の小数部分をaとおき、b=1/aとおく。このとき、bを求めよ。 ・・・ A
  (B) a2−9b2を求めよ。
  (C) @Aから、bの取り得る値の範囲を求めよ。
  (D) の小数第1位の数字、小数第2位の数字を求めよ。


(解)(@) 49<52<64 より、 7<2<8 なので、題意を満たす整数nは、n=7

(A) 題意より、a=2−7 で、b=1/(2−7)=(2+7)/3

(B) a2−9b2=(a+3b)(a−3b)=4・(−14)=−56

(C) (@)より、 7<2<8 なので、 14<2+7<15 より、

  14/3<b<5 となる。よって、 1/5<a<3/14 となる。

(D) (@)より、 7/2<<4 なので、の整数部分は、3 で、(C)より、

 1/5<2−7<3/14 なので、 18/5<<101/28

 ここで、18/5=3.6 、101/28=3.607・・・ なので、

 の小数第1位の数字は6で、小数第2位の数字は0である。  (終)


[2] 水平な地面(以下、地面)に垂直に立っている電柱の高さを、その影の長さと太陽高度
  を利用して求めよう。

  

 上図のように、電柱の影の先端は坂の斜面(以下、坂)にあるとする。また、坂には傾斜を
表す道路標識が設置されていて、そこには7%と表示されているとする。
電柱の太さと影の幅は無視して考えるものとする。また、地面と坂は平面であるとし、地面
と坂が交わってできる直線をLとする。
電柱の先端を点Aとし、根もとを点Bとする。電柱の影について、地面にある部分を線分BC
とし、坂にある部分を線分CDとする。線分BC、CDがそれぞれLと垂直であるとき、電柱の影
は坂に向かってまっすぐにのびているということにする。

 電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびているとする。このとき、4点A、B、C、Dを通る
平面はLと垂直である。その平面において、下図のように、直線ADと直線BCの交点をPと
すると、太陽高度とは∠APBの大きさのことである。

  

 道路標識の7%という表示は、この坂をのぼったとき、100mの水平距離に対して7mの
割合で高くなることを示している。

(@) nを1以上9以下の整数とするとき、坂の頓斜角∠DCPの大きさについて
 n°<∠DCP<n°+1°を満たすnの値を求めよ。

 以下では、∠DCPの大きさは、ちょうど(@)で求めた値とする。
(A) ある日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたとき、影の長さを調べたとこ
  ろ、BC=7m、CD=4mであり、太陽高度は∠APB=45°であった。点Dから直線AB
  に垂直な直線を引き、直線ABとの交点をEとするとき、BE、DEを求め、電柱の高さを、
  小数第2位で四捨五入して求めよ。

(B) 別の日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたときの太陽高度は
  ∠APB=42°であった。電柱の高さがわかったので、前回調べた日からの影の長さの
  変化を知ることができる。電柱の影について、坂にある部分の長さCDを求めよ。


(解)(@) tan∠DCP=7/100=0.07 より、 4°<∠DCP<5° なので、n=4

 以下で、∠DCP=4°とする。

(A) BE=4・sin∠DCP 、DE=7+4・cos∠DCP なので、

 AB=4・sin4°+(7+4・cos4°)tan45°=7+4(sin4°cos4°)

 よって、 AB=7+4(0.0698+0.9976)=11.2696

 小数第2位を四捨五入して、 AB=11.3(m)

(B) △ABP∽△DHP なので、

 7+CD・cos∠DCP+(CD・sin∠DCP)/tan42°: (CD・sin∠DCP)/tan42°

=AB : CD・sin∠DCP

よって、

AB・(CD・sin∠DCP)/tan42°

=(7+CD・cos∠DCP+(CD・sin∠DCP)/tan42°)・CD・sin∠DCP

すなわち、

AB=7・tan42°+CD・cos∠DCP・tan42°+CD・sin∠DCP より、

CD(sin∠DCP+cos∠DCP・tan42°)=AB−7・tan42°

したがって、 CD=(AB−7・tan42°)/(sin∠DCP+cos∠DCP・tan42°)

ここで、 AB=11.3(m) 、∠DCP=4°を代入して、

 CD=(11.3−7・0.9004)/(0.0698+0.9976・0.9004)

  =4.9972/0.9680=5.1624

したがって、前回調べた4mより、約1.1624mだけ長いことが分かる。  (終)


【 数学U・B 】

第5問 点Oを原点とする座標空間に4点A(2,7,−1)、B(3,6,0)、C(−8,10,−3)、
    D(−9,8,−4)がある。A、Bを通る直線をL1とし、C、Dを通る直線をL2とする。
(1) ABABCDを求めよ。


(解) AB=(1,−1,1) で、CD=(−1,−2,−1) より、

 ABCD=−1+2−1=0  (終)


(2) 花子さんと太郎さんは、点PがL1上を動くとき、|OP|が最小となるPの位置について考
  えている。

 PがL1上にあるので、AP=sAB を満たす実数 s があり、OP0A+sABが成り立つ。
|OP|が最小となる s の値を求めればPの位置が求まる。このことについて、花子さんと太郎
さんが話をしている。

花子:|OP|2が最小となる s の値を求めればよいね。
太郎:|OP|が最小となるときの直線OPとL1の関係に着目してもよさそうだよ。

(@) |OP|2を求め、花子さんの考え方で、|OP|が最小となる s の値を求めよ。

(A) |OP|が最小となるとき、直線OPとL1の関係に着目すると、OPAB=0が成り立つ
  ことがわかる。太郎さんの考え方で、|OP|が最小となる s の値を求めよ。


(解)(@) OP=(2+s,7−s,−1+s) なので、

 |OP|2=(2+s)2+(7−s)2+(−1+s)2=3s2−12s+54=3(s−2)2+42

より、s=2のとき、|OP|2が最小となる。

(A) OPAB=2+s−(7−s)−1+s=3s−6=0 より、s=2

 よって、s=2のとき、|OP|が最小となる。


(3) 点PがL1上を動き、点QがL2上を動くとする。このとき、線分PQの長さが最小になると
  きのP、Qの座標を求めよ。


(解) L1上の点Pについて、OP=(2+s,7−s,−1+s)

 L2上の点Qについて、OQ=(−8−t,10−2t,−3−t)

このとき、 PQ=(−10−t−s,3−2t+s,−2−t−s) で、

 PQ・AB=0 、PQ・CD=0 より、

 −10−t−s−(3−2t+s)−2−t−s=−15−3s=0 よって、 s=−5

 −(−10−t−s)−2(3−2t+s)−(−2−t−s)=6t+6=0 よって、 t=−1

 したがって、P(−3,12,−6) 、Q(−7,12,−2) である。  (終)


第4問(1) 数列{a}が an+1−an=14 (n=1、2、3、・・・) を満たすとする。

(@) a1=10 のとき、a2、a3 を求めよ。
(A) 数列{a}の一般項を、初項a1 を用いて表せ。


(解)(@) a2=a1+14=24 、a3=a2+14=38

 (A) 等差数列の一般項の公式より、 an=a1+14(n−1)  (終)


(2) 数列{b}が 2bn+1−bn+3=0 (n=1、2、3、・・・) を満たすとする。
 このとき、数列{b}の一般項を、初項b1 を用いて表せ。


(解) bn+1+3=(1/2)(bn+3) より、 bn+3=(b1+3)(1/2)n-1 なので、

  bn=(b1+3)(1/2)n-1−3  (終)


(3) 太郎さんは、(c+3)(2cn+1−c+3)=0 (n=1、2、3、・・・) ・・・ @ を満たす
  数列{c}について調べることにした。

(@)
 ・数列{c}が@を満たし、c1=5 のとき、c2 を求めよ。
 ・数列{c}が@を満たし、c3=−3 のとき、c2 、c1 を求めよ。


(解)(@) c1=5 のとき、 8(2c2−5+3)=0 より、 c2=1

 c3=−3 のとき、 (c2+3)(2c3−c2+3)=0 より、 (c2+3)2=0  よって、c2=−3

 (c1+3)(2c2−c1+3)=0 より、 (c1+3)2=0  よって、c1=−3  (終)


(A) 太郎さんは、数列{c}が@を満たし、c3=−3 となる場合について考えている。
  c3=−3 のとき、c4 がどのような値でも (c3+3)(2c4−c3+3)=0 が成り立つ。

 ・数列{c}が@を満たし、c3=−3 、c4=5 のとき、c5 を求めよ。

 ・数列{c}が@を満たし、c3=−3 、c4=83 のとき、c5 を求めよ。


(解) c4=5 のとき、(c4+3)(2c5−c4+3)=0 より、8(2c5−2)=0 よって、c5=1

 c4=83 のとき、(c4+3)(2c5−c4+3)=0 より、86(2c5−80)=0

 よって、c5=40  (終)


(B) 太郎さんは(@)と(A)から、c=−3 となることがあるかどうかに着目し、次の命題A
  が成り立つのではないかと考えた。

命題A 数列{c}が@を満たし、c1≠−3 であるとする。このとき、すべての自然数nにつ
    いて、c≠−3 である。

 命題Aが真であることを証明せよ。


(解) 数学的帰納法による。

 n=1 のとき、条件より、c1≠−3 なので、 n=1のとき、命題Aは成り立つ。

 n=kのとき、命題Aは成り立つと仮定する。すなわち、ck≠−3

 このとき、 (ck+3)(2ck+1−ck+3)=0 より、 ck+1=(ck−3)/2 において、

 ck+1=−3 と仮定すると、 (ck−3)/2=−3 より、 ck=−3

 しかるに、これは、帰納法の仮定 ck≠−3 に矛盾する。

 よって、ck+1≠−3 となり、命題Aは、n=k+1のときも成り立つことを示す。

以上から、すべての自然数nについて、c≠−3 である。  (終)


#時間短縮のためか、この証明は、本文では成り立つものとされ割愛されている。


(C) 次の(T)、(U)、(V)は、数列{c}に関する命題である。それぞれの真偽を調べよ。

(T) c1=3 かつ c100=−3 であり、かつ@を満たす数列{c}がある。
(U) c1=−3 かつ c100=−3 であり、かつ@を満たす数列{c}がある。
(V) c1=−3 かつ c100=3 であり、かつ@を満たす数列{c}がある。


(解)(T) c1=3≠−3 なので、命題Aから、c100≠−3 なので、このような数列{c}は

  存在しない。よって、偽である。

(U) c1=−3 のとき、c2 は任意である。そこで、c1=c2=・・・=c100=−3 である数列

 が存在しうる。よって、真である。

(V) c1=−3 のとき、c2 は任意である。そこで、c1=c2=・・・=c99=−3 で、

 c100=3 である数列が存在しうる。よって、真である。  (終)


第3問 以下での「晴れ」の定義については、気象庁の天気概況の「快晴」または「晴」とする。
(1) 太郎さんは、自分が住んでいる地域において、日曜日に晴れとなる確率を考えている。
  晴れの場合は「1」、晴れ以外の場合は「0」の値をとる確率変数をXと定義する。また、
  X=1である確率をpとする。

(@) この確率変数Xの平均(期待値)mを求めよ。

(A) 太郎さんは、ある期間における連続したn週の日曜日の天気を、上記の確率分布を
  もつ母集団から無作為に抽出した大きさnの標本とみなし、それらのXを確率変数
  X1、X2、・・・、Xn で表すことにした。そして、その標本平均を利用して、母平均mを
  推定しようと考えた。実際に、n=300として晴れの日数を調べたところ、下表のように
 なった。

天気 晴れ 晴れ以外
日数 75 225 300

 母標準偏差をσとすると、n=300は十分に大きいので、標本平均は近似的に正規分
布N(m,σ2/n)に従う。

 一般に、母標準偏差σがわからないとき、標本の大きさnが大きければ、σの代わりに標
本の標準偏差Sを用いてもよいことが知られている。Sは、

S=√{((X12+(X22+・・・+(Xn2)/n}
=√{(X12+X22+・・・+Xn2)/n−2

で計算できる。ここで、X12=X1、X22=X2、・・・、Xn2=Xnであることに着目し、右辺を整理
すると、S=√{(1−)}と表されることがわかる。

 表より、大きさn=300の標本から求められる母平均mに対する信頼度95%の信頼区間
を求めよ。(→ 参考:「平均の推定」)


(解)(@) m=0・(1-p)+1・p=p

(A) p=75/300=1/4 より、=1・(1/4)=1/4=0.25

 このとき、S=√{(1/4)(3/4)}=/4 となるので、信頼度95%の信頼区間は、

 −1.96・S/√300≦m≦+1.96・S/√300

より、 0.25−1.96/40≦m≦0.25+1.96/40 なので、計算して、

 0.201≦m≦0.299 となる。


(2) ある期間において、「ちょうど3週続けて日曜日の天気が晴れになること」がどのくらい
 の頻度で起こり得るのかを考察しよう。以下では、連続するk週の日曜日の天気について、
 (1)の太郎さんが考えた確率変数のうち X1、X2、・・・、Xk を用いて調べる。ただし、kは
 3以上300以下の自然数とする。

X1、X2、・・・、Xk の値を順に並べたときの0と1からなる列において、「ちょうど三つ続けて1
が現れる部分」をAとし、Aの個数を確率変数Uで表す。

例えば、k=20とし、X1、X2、・・・、X20 の値を順に並べたとき
   1,1,1,1, 0,1,1,1,0,0,1,1,1,1,1,0, 0,1,1,1
であったとする。この例では、赤字部分はAを示しており、1が四つ以上続く部分はAとはみな
さないので、U20=2 となる。
 k=4 のとき、X1、X2、X3、X4 のとり得る値と、それに対応したU4の値を書き出すと、下
表のようになる。

X1 X2 X3 X4 U4
0 0 0 0 0
1 0 0 0 0
0 1 0 0 0
0 0 1 0 0
0 0 0 1 0
1 1 0 0 0
1 0 1 0 0
1 0 0 1 0
0 1 1 00 0
0 1 0 1 0
0 0 1 1 0
1 1 1 0 1
1 1 0 1 0
1 0 1 1 0
0 1 1 1 1
1 1 1 1 0

 ここで、U4の期待値を求めてみよう。(1)におけるpの値をp=1/4とする。

(@) k=4のとき、U4の期待値を求めよ。

(A) k=5のとき、U5の期待値を求めよ。

(B) 4以上のkについて、kとE(U)の関係を詳しく調べると、座標平面上の点(4,E(U4))、
 (5,E(U5))、・・・、(300,E(U300))は一つの直線上にあることがわかる。

 この事実によって、E(U300)の値を求めよ。


(解)(@) U4の値が1となる確率は、1110、0111 から、 2・(1/4)3(3/4)=3/128

 なので、 E(U4)=1・(3/128)=3/128

(A) U5の値が1となる確率は、11100、01110、00111、11101、10111 から、

 3・(1/4)3(3/4)2+2・(1/4)4(3/4)=33/1024

 なので、 E(U5)=1・(33/1024)=33/1024

(B) 直線の傾きは、 (E(U5)−E(U4))/(5−4)=33/1024−3/128=9/1024

 題意より、 (E(U300)−E(U4))/(300−4)=9/1024 なので、

E(U300)=E(U4)+296・(9/1024)=3/128+333/128=336/128=21/8  (終)


(コメント) この問題も文章の長さに辟易しました。公式として当然知っていなければいけな
     いことまでクドクドと記述されていて疲れました!文章量の割りに計算量は極端に
     少ないです。


第2問 mをm>1を満たす定数とし、F(x)=3(x−1)(x−m)とする。また、
S(x)=∫0x F(t)dt とする。関数 y=F(x) と y=S(x) のグラフの関係について考えてみ
よう。

(1)m=2のとき、すなわち、F(x)=3(x−1)(x−2)のときを考える。

(@) F’(x)=0 となる x の値を求めよ。
(A) S(x)を計算し、S(x)の極大値、極小値およびそのときの x の値を求めよ。
(B) F(3)の幾何学的意味を答えよ。


(解)(@) F’(x)=3(x−1+x−2)=3(2x−3)=0 より、 x=3/2

(A) S(x)=∫0x 3(t−1)(t−2)dt=3∫0x {(t−1)2−(t−1)}dt

  =3[(t−1)3/3−(t−1)2/2]0x

  =3((x−1)3/3−(x−1)2/2+5/6)=x3−(9/2)x2+6x

 S’(x)=3x2−9x+6=3(x−1)(x−2)=0 より、x=1、2

 このとき、x=1でS(x)は極大で、極大値S(1)=5/2

 X=2でS(x)は極小で、極小値S(2)=2

(B) F(3)=6 で、S’(3)=6 なので、F(3)の値と一致するのは、関数 y=S(x) のグ

 ラフ上の点(3,S(3))における接線の傾きに等しい。  (終)


(2) 0≦x≦1の範囲で、関数 y=F(x)のグラフと x 軸およぴ y 軸で囲まれた図形の面積
 をS1、1≦x≦m の範囲で、関数 y=F(x) のグラフと x 軸で囲まれた図形の面積を S2
 とする。

(@) S1、S2 を式で表し、S1=S2 を簡単にせよ。
(A) S1=S2 が成り立つようなF(x)に対する関数 y=S(x) のグラフの概形を求めよ。
(B) S1>S2 が成り立つようなF(x)に対する関数 y=S(x) のグラフの概形を求めよ。


(解)(@) S1=∫01 F(x)dx、S2=−∫1m F(x)dx より、∫01 F(x)dx=−∫1m F(x)dx

 なので、 ∫0m F(x)dx=0

(A) S1=S2 が成り立つとき、 S(m)=0 で、かつ、 S(0)=0

 よって、S(0)=0で、0≦x≦1でS(x)は増加し、1≦x≦mでS(x)は減少し、S(m)=0

 となり、m≦xでS(x)は増加する。

(B) S1>S2 が成り立つとき、0<x において、S(x)>0 であるので、

 S(0)=0で、0≦x≦1でS(x)は増加し、1≦x≦mでS(x)は減少し、m≦xでS(x)は増加

する。  (終)


(3) 関数 y=F(x) のグラフの特徴から関数 y=S(x) のグラフの特徴を考えてみよう。

(@) 関数 y=F(x) のグラフは、ある直線 x=k に関して対称である。kの値を求めよ。
(A) すべての正の実数pに対して、∫1-p1 F(x)dx =∫ F(x)dx が成り立つような n
  の値を求めよ。
(B) M=kとおくと、0<q≦M−1 であるすべての実数 q に対して、
   ∫M-qM(−F(x))dx =∫MN (−F(x))dx が成り立つようなNの値を求めよ。
(C) (A)、(B)を計算し、等式を作れ。
(D) (C)から、すべての正の実数pに対して、2点(1−p,S(1−p))、(m+p,S(m+p))
  を結ぷ線分の中点について言えることを記述せよ。


(解)(@) k=(m+1)/2

(A) n=m+p

(B) N=M+q

(C) ∫1-p1 F(x)dx =∫m+p F(x)dx 、∫M-qM(−F(x))dx =∫MM+q (−F(x))dx

 より、

 S(1)−S(1−p)=S(m+p)−S(m) 、S(M−q)−S(M)=S(M)−S(M+q)

すなわち、 S(1−p)+S(m+p)=S(1)+S(m)

 2S(M)=S(M−q)+S(M+q)

 ここで、q=M−1 とおくと、 2S(M)=S(1)+S(2M−1)=S(1)+S(m) である。

(D) すべての正の実数pに対して、2点(1−p,S(1−p))、(m+p,S(m+p))を結ぷ

 線分の中点((m+1)/2,(S(1−p)+S(m+p))/2)について、

((m+1)/2,(S(1)+S(m))/2)=(M,S(M)) となることから、中点はpの値によらず

一つに定まり、関数 y=S(x) のグラフ上にあることが分かる。  (終)


第1問 [1](1) k>0、k≠1とする。関数 y=logx と y=log2kx のグラフについて考え
    よう。

(@) y=log3x について、x=27 のときのyの値を求めよ。
  また、y=log2(x/5) について、y=1 のときの x の値を求めよ。

(A) y=logx のグラフは、kの値によらずある定点を通る。定点の座標を求めよ。

(B) k=2、3、4 のとき、y=logx と y=log2kx のグラフの概形を述べよ。


(解)(@) y=log327=log33=3log33=3

 log2(x/5)=1 より、 x/5=2 なので、 x=10

(A) 0=log1 より、kの値によらず、定点(1,0)を通る。

(B) y=logx のグラフは、k=2、3、4 のとき、x>0 において単調に増加し、定点(1,0)

 を通り、さらに、

 k=2 のとき、(2,1)を通る。

 k=3 のとき、(3,1)を通る。

 k=4 のとき、(4,1)を通る。

 y=log2kx のグラフは、k=2、3、4 のとき、x>0 において単調に増加し、さらに、

 k=2 のとき、(1/2,0)、(1,1)を通る。

 k=3 のとき、(1/3,0)、(2/3,1)を通る。

 k=4 のとき、(1/4,0)、(1/2,1)を通る。  (終)


(2) x>0、x≠1、y>0 とする。logy について考えよう。

(@) 座標平面において、方程式 logxy=2 の表す図形の概形を述べよ。
(A) 座標平面において、不等式 0<logxy<1 の表す領域について述べよ。
  ただし、境界(境界線)は含まないものとする。


(解)(@) logxy=2 より、 y=x2 で、x>0、x≠1の部分

(A) 0<logxy<1 より、 logx1<logxy<logx

 よって、 0<x<1 のとき、 1>y>x で、x>1 のとき、 1<y<x  (終)


[2] S(x)をxの2次式とする。xの整式P(x)をS(x)で割ったときの商をT(x)、余りをU(x)と
 する。ただし、S(x)とP(x)の係数は実数であるとする。

(1) P(x)=2x3+7x2+10x+5、S(x)=x2+4x+7 の場合を考える。方程式S(x)=0
  の解を求めよ。また、T(x)、U(x)を求めよ。


(解) S(x)=0 より、 x=−2±√(4−7)=−2±

 実際に割り算をして、 T(x)=2x−1 、U(x)=12  (終)


(2) 方程式S(x)=0 は異なる二つの解α、βをもつとする。このとき、
  「P(x)をS(x)で割った余りが定数になる」ことと同値な条件を考える。

(@) 余りが定数になるときを考えてみよう。仮定から、定数kを用いて、U(x)=k とおける。
  このとき、どんなことが言えるか述べよ。

(A) 逆に、(@)が成り立つとき、余りが定数になるかを調べよう。

 S(x)が2次式であるから、m、nを定数として、U(x)=mx+n とおける。
 P(x)をS(x)、T(x)、m、nを用いて表すとき、P(x)を求めよ。
このとき、余りが定数になることを示せ。 

 (@)、(A)の考察から、方程式 S(x)=0 が異なる二つの解α、βをもつとき、P(x)をS(x)
で割った余りが定数になることと(@)は同値である。


(解)(@) 題意より、 P(x)=S(x)T(x)+k において、S(α)=S(β)=0 より、

 P(α)=P(β)=k なので、

 P(x)をS(x)で割った余りが余りが定数になるとき、P(α)=P(β)が成り立つ。

(A) 逆に、P(α)=P(β)が成り立つとする。

 このとき、P(x)=S(x)T(x)+mx+n において、

P(α)=mα+n 、P(β)=mβ+n から、mα+n=mβ+n 即ち、 m(α−β)=0

 α、βは、方程式S(x)=0 の異なる二つの解なので、 m=0 となる。

 よって、P(α)=P(β)が成り立つとき、P(x)をS(x)で割った余りが定数になる。  (終)


(3) p を定数とし、P(x)=x10−2x9−px2−5x、S(x)=x2−x−2 の場合を考える。
  P(x)をS(x)で割った余りが定数になるとき、pの値、および、そのときの余りを求めよ。


(解) S(x)=x2−x−2=(x−2)(x+1)=0 とおくと、 x=2、−1

 (2)の結果から、P(x)をS(x)で割った余りが定数になるとき、P(2)=P(−1)

 よって、 −4p−10=−p+8 より、 p=−6

 余りは、P(−1)=−(−6)+8=14  (終)



  以下、工事中!



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