・次元による違い                            GAI 氏

 a、b、c、d を実数とするとき、

(1) a^2+b^2=1 を満たす時 P=(a-b)*(b-a) の最小値とそれを満たす (a,b) は?

(2) a^2+b^2+c^2=1 を満たす時 Q=(a-b)*(b-c)*(c-a) の最小値とそれを満たす (a,b,c) は?

(3) a^2+b^2+c^2+d^2=1 を満たす時 R=(a-b)*(b-c)*(c-d)*(d-a) の最小値とそれを満たす
  (a,b,c,d) は?


(コメント) (1)を計算してみました。

 a2+b2=1 から、 a=sinθ、b=cosθ (0≦θ<2π) とおける。

このとき、 P=−(a−b)2=−2sin2(θ−π/4)

 −π/4≦θ−π/4<7π/4 において、θ−π/4=π/2 、3π/2 のとき、

すなわち、 θ=3π/4 、7π/4 のとき、Pは最小で、最小値は、−2

 このとき、  (a,b) =(1/,−1/)、(−1/,1/


#円に直線が接する場合を考えればいいのかな?


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年7月23日付け)

 とりあえず(1)と(2)だけ。

(1) u=a+b、v=a-b とおくと、u^2+v^2=2a^2+2b^2=2

 P=-v^2 が最小のとき、|v| が最大なので、u=0、v=±

このとき、a=(u+v)/2=±1/、b=(u-v)/2=干1/ (複号同順)

よって、Pは、(a,b)=(1/,-1/)、(-1/,1/) のとき、最小値 P=-v^2=-2 をとる。

(2) Qが最小値をとるためには、a>b>c または b>c>a または c>a>b
(∵このとき、Q<0、これ以外のとき、Q≧0)

なので、対称性より、a>b>c として考えればよい。

u=a+b+c、v=a-b、w=b-c とおくと、v>0、w>0 であり、

a=(u+2v+w)/3 、b=(u-v+w)/3 、c=(u-v-2w)/3

a^2+b^2+c^2
={(u+2v+w)/3}^2+{(u-v+w)/3}^2+{(u-v-2w)/3}^2=(u^2+v^2+w^2+(v+w)^2)/3=1 … (1)

Q=(a-b)(b-c)(c-a)=-vw(v+w)

v>0、w>0 なので、Qが最小 ⇔ vw(v+w) が最大

(1)から、|u|>0 のとき、vw(v+w) は最大ではない。
(∵|u|>0 ならば、u=0 として、その分 v、w を少し大きくできる)

∴ u=0

このとき、(1)から、 v^2+w^2+(v+w)^2=3 すなわち、2v^2+2w^2+2vw=3 から、

4v^2+4w^2+4vw=6 より、3(v+w)^2+(v-w)^2=6 となり、

v+w の最大値は、v=w のときで、

v=w、v+w=、u=0 から、v=w=1/ 、(a,b,c)=(1/,0,-1/) 、vw(v+w)=1/

よって、Qは、(a,b,c)=(1/,0,-1/) 、(0,-1/,1/) 、(-1/,1/,0)

のとき、最小値 Q=-1/ をとる。

(追記) (3)の予想

(a,b,c,d)=((+1)/4,(-1)/4,-(-1)/4,-(+1)/4)(の巡回も)のとき

最小値 R=-1/8

(再追記) (3)も解決しました。

 ある a、b、c、d で R が最小値をとるとき、

 a→b→c→d→a または d←a←b←c←d のように巡回するように値を入れ替えても、条

件を満たして同じ最小値をとるので、「a、b、c、d のうち a が最大」としてよい。

 このとき、a>b>c>d または a>d>c>b。
(∵大小関係がこのどちらかのとき、R<0、それ以外のときR≧0)

 a>d>c>b のとき、a、b、c、d すべての符号を反転しても条件を満たしてRは同じ値をと

る。このとき、b>c>d>a となるが、この b、c、d、a の値を順に、a、b、c、d としても、やは

り、条件を満たして、Rの値は変わらない。

 従って、Rが最小値をとるとき、a>b>c>d のようにすることができるので、a>b>c>d

という条件を追加しても最小値は変わらない。よって、この条件を追加して考える。

 u=a+b+c+d、v=a-b、w=b-c、x=c-d とおくと、v>0、w>0、x>0 であり、

a=(u+3v+2w+x)/4 、b=(u-v+2w+x)/4 、c=(u-v-2w+x)/4 、d=(u-v-2w-3x)/4

a^2+b^2+c^2+d^2=(u^2+2(v+w)^2+2(w+x)^2+(x+v)^2)/4 … (b)

R=(a-b)(b-c)(c-d)(d-a)=-vwx(v+w+x)

 v>0、w>0、x>0 なので、Rが最小 ⇔ vwx(v+w+x) が最大

 (b)から、|u|>0のとき、vwx(v+w+x) は最大ではない
(∵|u|>0 ならば、u=0 として、その分 v、w、x を少し大きくできる)

∴ u=0 で、このとき、(b)から、2(v+w)^2+2(w+x)^2+(x+v)^2=4 より、

 xv={2(v+x)^2+(v+2w+x)^2-4}/4

よって、 vwx(v+w+x)=w{2(v+x)^2+(v+2w+x)^2-4}(v+w+x)/4 となり、vwx(v+w+x) は(wを固定

したとき)、v+x が最大のときに最大

 また、2(v+w)^2+2(w+x)^2+(x+v)^2=4 、(v+x)^2+(v-x)^2+(v+2w+x)^2=4 … (c) となるので、

v+x が最大となるのは、v=x のとき。

 (c)で、v=x とすると、v^2+(v+w)^2=1

w>0 に注意して、これを w について解くと、w=√(1-v^2)-v

v=sinθ(0<θ<π/2)とおくと、cosθ=√(1-v^2) なので、w=cosθ-sinθ

vwx(v+w+x)=(sinθ)^2(cosθ-sinθ)(cosθ+sinθ)

=(sinθ)^2{(cosθ)^2-(sinθ)^2}=(sinθ)^2{1-2(sinθ)^2}=(1/8){1-(4(sinθ)^2-1)^2}

よって、4(sinθ)^2-1=0 すなわち、sinθ=1/2 すなわち、v=1/2、w=(-1)/2 のときに

vwx(v+w+x) は、最大値 1/8 をとる。

従って、u=0、v=x=1/2、w=(-1)/2 から、

a=(+1)/4、b=(-1)/4、c=-(-1)/4、d=-(+1)/4 なので、Rは、

(a,b,c,d)=((+1)/4,(-1)/4,-(-1)/4,-(+1)/4)、
 ((-1)/4,-(-1)/4,-(+1)/4,(+1)/4)、
 (-(-1)/4,-(+1)/4,(+1)/4,(-1)/4)、
 (-(+1)/4,(+1)/4,(-1)/4,-(-1)/4)

のときに、最小値 -1/8 をとる。

# 問題がシンプルなので、もっと簡潔な解き方がありそうな気がします。


(コメント) ラグランジュの乗数を使おうと試みましたが、挫折しました...(T_T)


 GAI さんからのコメントです。(令和5年7月24日付け)

 手計算でここまで探し出せる手腕に圧倒されます。

 実は、(3)は、2022年度アジア太平洋数学オリンピックの第5問として問われている問題であり、
次元を変えるとどんなになるんだろうと調べたら、面白かったので出題しておりました。

 勿論手計算では私は歯が立ちませんので、WolframAlpha さんの力をお借りして調査して
いました。

 なお、(3)での最小値を与える (a,b,c,d) の組合せでは、らすかるさんが示された4つの
他に、

(a,b,c,d)=(-(+1)/4,-(-1)/4,(-1)/4,(+1)/4)、
  ((+1)/4,(-1)/4,-(-1)/4,-(+1)/4)、
  ((-1)/4,(+1)/4,-(+1)/4,-(-1)/4)、
  (-(-1)/4,(-1)/4,(+1)/4,-(+1)/4)

もある様な調査結果を得ていたのですが、検討お願いします。

 (3)での最大値を調査したら、

(a,b,c,d)=(1/2,-1/2,1/2,-1/2) または (-1/2,1/2,-1/2,1/2) の時、1 でもある
ようでした。


 らすかるさんからのコメントです。(令和5年7月24日付け)

 あ、そうですね。a>d>c>b を排除するために、自分の回答の先頭の方では言及してい
たのに、長い回答を書いているうちに、逆まわりも回答になることを忘れていました。



  以下、工事中!



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