・正接の値は美しい 3類生 氏
正接(tan)は、正弦(sin)や余弦(cos)に比べてあまり目立たない。90°とか定義でき
ないし...。 そんな正接(tan)であるが、最近、「正接の値は美しい」ということを発見し
たので、報告したい。
正接(tan)の値、なんと、角度(単位は度)が、
7.5 22.5 37.5 52.5 67.5 82.5
のとき、きれいに求まるのだ!
正弦(sin)や余弦(cos)では、どうしても二重根号を使うことは避けられない。
(→ らすかるさんのHPの中のこちらを参照)
これに対して、正接(tan)の方はうまく打ち消しあって、美しい計算結果が得られる。
θ | tan θ | ||
7.5° | −2+−+ | = | (−)(−1) |
37.5° | −2−++ | = | (−)(+1) |
52.5° | 2−−+ | = | (+)(−1) |
82.5° | 2+++ | = | (+)(+1) |
22.5° | −1 | ||
67.5° | +1 |
(求め方) 三角関数における次の公式を用いれば容易に求められる。
まず、tan 7.5°を求めてみよう。
ここで、 (+)2−(2+)2 =1>0 より、 + > 2+
よって、 −2+−+ >0 なので、tan 7.5°= −2+−+
である。 この右辺は因数分解できて、 tan 7.5°= (−)(−1)
でもある。(この形の方が、美しいかも...。)
上記の式変形では、 2+ =(+1)2/2 というところが急所である。これは、二重
根号の考えに似ている。
同様にして、tan 37.5°= (−)(+1) である。
これらの値が分かると残りの値は容易い。
tan 52.5°=1/tan 37.5°=1/(−)(+1)=(+)(−1)
tan 82.5°=1/tan 7.5°=1/(−)(−1)=(+)(+1)
また、
tan2 22.5°=(1−cos45°)/(1+cos45°)=(−1)/(+1)=(−1)2
−1>0 なので、 tan 22.5°=−1
よって、 tan 67.5°=1/tan 22.5°=1/(−1)=+1
このような手法を用いれば、
tan 15°=2− 、tan 75°=2+
も簡単であろう。
(追記) 平成19年8月11日付け・・・塾長補足
上記で得られた tan 7.5°= −2+−+ という式から、 tan 7.5°が
4次方程式 x4+8x3+2x2−8x+1=0 の解になることが分かる。
このことに関連して、Anonymous さんが次のような問題を提起されている。
問1 tan 7.5°を解とする最小多項式 p(x)∈Q[x] を求めよ。
問2 商環 Q[x]/(p(x)Q[x]) は体となり、体 Q(tan 7.5°) と同型である。
このとき、 (tan 7.5°)7+(tan 7.5°)5+3 の逆元を求めよ。
問3 体 Q[x]/(p(x)Q[x]) は、Q の正規拡大体であることを示せ。
問4 Q()[x] において、p(x) を既約因子の積で表せ。
問5 p(x) の零点は全て tanθi (i=1、2、3、4) の形に表される。 θi を求めよ。
この問題を解くために、「有限拡大体の性質」が少し参考になるだろう。
読者の皆さん、挑戦してみては如何でしょうか?