・神奈川県高校入試                       S.H 氏

 令和3年2月15日(月)に行われた神奈川県公立高校入試の問題が翌日の新聞朝刊に
掲載された。数学の問題から、興味を引いた問題をいくつか解いてみた。問題が長文なの
で、要点だけを記することにする。

問5 3つの箱P、Q、Rがあり、Pには「1」、「2」、「4」のカード、Qには「3」、「5」、「6」のカ
   ードが入っていて、Rには何も入っていない。

 大小2つのさいころを投げ、大小のさいころの目の数をそれぞれa、bとする。

 出た目の数によって次の操作を行う。

【操作1】 カードに書かれた数の合計がaとなるように箱Pから1〜2枚のカードを箱Qに移す。

【操作2】 箱Qに入っているカードから、bの約数となるカードを全て取り、箱Rに移す。

(ア) 箱Rに入っているカードが4枚となる確率を求めよ。

  (解) 題意より、a=3、b=6 の場合のみなので、確率は、1/36  (終)

(イ) 箱Rに入っているカードが1枚となる確率を求めよ。

  (解) 全ての場合を確認する。

a\ 箱Q   \b
1,3,5,6      
2,3,5,6    
1,2,3,5,6          
3,4,5,6      
1,3,4,5,6        
2,3,4,5,6      

 よって、求める確率は、 16/36=4/9  (終)


(コメント) 約数を考えさせての確率の問題。数え漏れが起きそうですね。

 次は、円錐の側面の最短線を問う定番の問題です。慣れていれば難なく解答することが
できるでしょう。

問6(ウ)
   左図は長さ6の線分ABを直径とする円Oを底面とし、母線AC
  の長さ9の直円錐である。側面上でABを結ぶ最短線の中点をD
  とする。

   側面上で点Dから線分AC、BCと交わるように曲線を引き、最
  短となるようにする。

   このときの曲線の長さを求めよ。

(解) 展開図を描くと、

 左図において、底面の円周の長さは、6πなので、

 側面の扇形の中心角の大きさは、120°である。

  よって、∠ACB=60°となり、CD=9/2

 以上から、左図の赤線の長さは、

   (9/2)×(/2)×2=27/2  (終)

 次は面積比からの線分の長さを求める問題です。三角形の面積を直接求めなくても解き
うる問題になっていますが、直接求めても解けます。

問3(ア)(A)
   左図のように正三角形ABCの辺AB、BC、CA上にそれ
  ぞれ点D、E、FをAD=BE=CFとなるようにとる。

   AB=18で、AD<BDとする。△ABCの面積と△DEFの
  面積の比が12:7であるとき、線分ADの長さを求めよ。

(解) AD=BE=CF=x とおくと、 BD=CE=AF=18−x

 △ABC=S とすると、 △DEF=S−(x/18)S×(18−x)/18×3=(7/12)S

 よって、 18×18−3x(18−x)=(7/12)×18×18 より、

   108−18x+x2=63 すなわち、 x2−18x+45=0

  (x−3)(x−15)=0

 AD<BD から、 x=3  (終)


 次のような別解も考えられる。

(別解) 題意より、 △ABCの面積=36 とすると、△DEFの面積=21

   このとき、 △ADF=△BED=△CFE=5 となる。

 そこで、 △ADE=m とおくと、 (m+5)×(m+5)/m=36

 よって、 m2−26m+25=0 より、 m=1、25

 m=25 は不適で、 m=1

 したがって、 AD=18×(1/6)=3  (終)

(別解) AD:DB=1:m とおく。△ADE=1 とすると、

   △ADF=△BED=△CFE=m となる。

 このとき、 △ABC=m+1+m(m+1)=(m+1)2

 △DEF=(m+1)2−3m=m2−m+1

 題意より、 (m+1)2 : m2−m+1=12 : 7 なので、

 12m2−12m+12=7(m+1)2 すなわち、 5m2−26m+5=0

  (5m−1)(m−5)=0 より、 m=1/5、5

  AD<BD から、m=1/5 は不適で、 m=5

 よって、 AD=18×(1/6)=3  (終)


 勘の鋭い方は次のように簡単に洞察されるかもしれない。

(別解) 題意より、 △ABCの面積=36 とすると、△DEFの面積=21

   このとき、 △ADF=△BED=△CFE=5 となる。

 そこで、 AD:DB=1 : 5 とすると、 △ABE=6 となり、

BE : EC=6 : 30=1 : 5 で題意を満たす。

 よって、AD=18×(1/6)=3  (終)


(追記) 令和4年2月17日付け

 令和4年2月15日(火)に行われた神奈川県公立高校入試の問題が翌日の新聞朝刊に
掲載された。今年は難易度が大幅に上がり、配点も高難度の問題に重点的に加点された。
 その中から、興味を引いた問題をいくつか解いてみた。問題によっては改題されている。

問3(ア)(A) 下図において、四角形ABCDは平行四辺形とする。∠BCDの二等分線と
         ADとの交点をEとし、辺BCの延長上に点Fを、CF=DFとなるようにとる。
         今、四角形CFDEが平行四辺形のとき、∠ABCの大きさを求めよ。

      

(解) 上図において、 2●+○=180°、●+2○=180°

  このとき、辺々加えて、 3●+3○=360°より、 ●+○=120°

 辺々引いて、 ●−○=0 より、 ●=○ なので、 ○=60°

 よって、 ∠ABC=○=60°  (終)

問3(ウ) 下図のように、円Oの周上の点A、B、C、D、E について、BEとCDは平行で、
      線分ADは∠BDEの二等分線である。

     

 線分ADと線分CEの交点をFとするとき、∠AFEの大きさを求めよ。

(解) 上図より、 2○=86°より、 ○=43°

  また、 2●+○+67°=180°より、 ●=35°

 よって、 ∠AFD=180°−2○−●=59°  (終)


(追記) 令和4年2月18日付け

問3(エ) 下図において、線分ABは円Oの直径であり、2点C、Dは円Oの周上の点である。
      また、点Eは線分AC上の点で、BCとDEは平行であり、点Fは線分ABと線分DEと
      の交点である。

       

  今、AE=2、CE=1、DE=3のとき、△BDFの面積を求めよ。

(解) 下図のように、線分DEを延長し円Oとの交点をGとおく。

      

 このとき、方べきの定理より、 3×EG=2×1 なので、 EG=2/3

 また、△ADEにおいて、三平方の定理より、 AD= である。

 △AEG∽△ADB より、 2 : 2/3= : DB なので、 DB=/3

 したがって、 △ADF=×/3÷2=13/6 となる。

 AF : FE=2 : 1 なので、 △BDF=(13/6)×(1/3)=13/18  (終)


(コメント) 受検生によれば、この問題が一番難しかったらしい。解法は他にもいくつか考
      えられ、数学を純粋に楽しむ者にとっては、良問の部類に入るのだろう。ただ、
      限られた時間で結果を出さなければならない受検生にとっては、所謂「捨て問」
      とならざるを得なかったようだ。


(追記) 令和4年2月19日付け

問4(ウ) 下図のように放物線 y=(1/4)x2 と直線 y=x+3 が交わっている。また、
      A(6,9)、B(−6,9)、C(−6,−3)、D(−6,0)、E(5,0)である。

  線分AB上の点Fを、△AEFの面積が直線 y=x+3 によって2等分されるようにとり、
 直線 y=x+3 と線分EFとの交点をGとする。

    

 このとき、次の問いに答えよ。

(1) F、G の座標を求めよ。

(2) △BGF : △CEG を最も簡単な整数比で表せ。

(解)(1) F(x,9)、G(y−3,y)とおくと、題意より、

 (6−x)(9−y)/2=(6−x)・9/2・(1/2) より、 2(9−y)=9 なので、 y=9/2

 よって、 G(3/2,9/2) である。

 このとき、直線EGの方程式は、 y=(−9/7)x+45/7 なので、y=9とおくと、

 (−9/7)x+45/7=9 を解いて、 x=−2  よって、 F(−2,9) である。

(2) (1)より、 △BGF=4・(9−9/2)・(1/2)=9 となる。

 また、

 △CEG=(3/2+6)(9/2+3)/2+(9/2+3+3)(5−3/2)/2−(5+6)・3/2

      =225/8+147/8−33/2=30

なので、 △BGF : △CEG=9 : 30=3 : 10 である。  (終)


(コメント) △CEGの面積の計算では、次のような方法もあるでしょう。

 △AFG=(6+2)(9−9/2)/2=18 である。

 AC=√(122+122)=12

 直線 y=x+3 と点(5,0)との距離は、4 なので、 △ACE=48

 よって、 △CEG=48−18=30 であるので、

 △BGF : △CEG=9 : 30=3 : 10 である。

 また、上記では面積を直接計算して、△BGF : △CEG を求めたが、面積を計算しなくて
もよいようである。

 実際に、△BGF=S とおくと、 AF : FB=8 : 4=2 : 1 なので、 △AGF=2S

 また、題意より、 △AEG=2S で、 AG : GC=6−3/2 : 3/2+6=3 : 5 より、

 △CEG=(5/3)・2S=(10/3)S なので、

 △BGF : △CEG=S : (10/3)S=3 : 10 である。


(追記) 令和4年2月20日付け

問5(イ) 長さが10の線分PQがある。大、小2つのさいころを投げ、大きいさいころの目を
      a、小さいさいころの目をbとする。線分PQ上に点Rを、PR : RQ=a : b となる
      ようにとる。線分PRを1辺とする正方形の面積をX、線分RQを1辺とする正方形
      の面積をY とおく。このとき、X≧Y+25 となる確率を求めよ。

(解) X=(10a/(a+b))2 、Y=(10b/(a+b))2 なので、

   (10a/(a+b))2≧(10b/(a+b))2+25

 (10a/(a+b))2−(10b/(a+b))2=100(a−b)/(a+b) から、

   100(a−b)/(a+b)≧25  すなわち、 4(a−b)≧(a+b) より、 3a≧5b

 b=1 のとき、 a=2、3、4、5、6

 b=2 のとき、 a=4、5、6

 b=3 のとき、 a=5、6

 よって、求める確率は、 10/36=5/18  (終)


(追記) 令和4年2月21日付け

問6(ウ) 下図は、AB=5、BC=1、AD=4、∠ADC=∠BCD=90°の台形ABCDを
      底面とし、AE=BF=CG=DH=1を高さとする四角柱である。

     

  辺CD上に、CI : ID=7 : 3 であるように点 I をとり、この四角柱の表面上に点Aから点
 I まで辺EF、辺GHと交わるように線で結ぶ。このような線のうち、長さが最も短いのはいく
 つか?

(解) 上図の展開図を描くと、求めるものは線分AI の長さである。

  

 CI : ID=7 : 3 なので、 ID=4×(3/10)=6/5

 また、 △LEF∽△KAE より、 KE=1×(4/5)=4/5 、 AK=1×(3/5)=3/5

 よって、△AIJにおいて、三平方の定理より、

  AI2=(6/5−3/5)2+(5+4/5)2=(9+841)/25=34 なので、

 AI= である。  (終)


(追記) 令和5年2月15日付け

 令和5年2月14日(火)に行われた神奈川県公立高校入試の問題が翌日の新聞朝刊に
掲載された。昨年度は急激に難化ししたが、今年度もその傾向は変わらず、難しかったよう
だ。特に、基礎力のない受検生にとっては厳しい入試となった模様だ。

 ここで、興味を引いた問題をいくつか解いてみた。問題によっては改題されている。


問2(エ) 十位が4の3桁の自然数の百位と一位を入れかえた数は、元の数より396大き
      い。元の数の百位と一位の数の和が10のとき、元の数の一位の数を求めよ。

(解) 元の自然数は 100a+40+b と書ける。

  題意より、 (100b+40+a)−(100a+40+b)=99(b−a)=396

 よって、 b−a=4 で、また、 b+a=10 より、 b=7 である。  (終)


問3 次の問いに答えよ。

(ア) 下図のように、線分ABを直径とする円Oの周上に、2点A、Bとは異なる点Cを
   AC<BCとなるようにとり、線分ABに関して点Cと対称な円周上の点をDとおく。また、
   点Aを含まない弧BD上に、2点B、Dとは異なる点Eをとり、ABとCE、AEとBD、BDと
   CEの交点をそれぞれF、G、Hとおく。さらに、点AよりBDに平行線を引き、CEとの交
   点をIとおく。

   

 このとき、次の(@)(A)に答えよ。

(@) △AIF∽△EHG であることを示せ。

(A) ∠BDE=35°、∠DBE=28°のとき、∠CAI の大きさを求めよ。

(解)(@) △AIFと△EHGにいて、DBとAI は平行なので、平行線の同位角は等しいので、

 ∠AIE=∠DHE すなわち、 ∠AIF=∠EHG ・・・ @

 次に、仮定より、 ∠ABC=∠ABD ・・・ A

 また、弧ACに対する円周角は等しいから、 ∠ABC=∠AEC ・・・ B

 さらに、DBとAI は平行なので、平行線の錯角は等しいから、 ∠ABD=∠BAI ・・・ C

 A、B、Cより、 ∠BAI=∠AEC なので、 ∠FAI=∠GEH ・・・ D

 @、Dより、2組の角がそれぞれ等しいので、 △AIF∽△EHG である。


(コメント) 予め与えられた証明中、「∠AEC=∠BAI」とあるが、対応する三角形の角の大
      きさを考えて、「∠BAI=∠AEC」とすべきだろう。(←ちょっと気になった!)


(A) ∠BDE=35°より、∠BCE=35° また、∠BCA=90°から、∠ACE=55°

 すなわち、 ∠ABE=55° ところで、 ∠DBE=28°より、 ∠ABD=27°

 よって、 ∠BAI=27°で、∠AEC=27° また、∠AEB=90°より、∠BEC=63°

したがって、 ∠BAC=63°より、 ∠CAI=63°−27°=36°  (終)


(ウ) 学校から駅までの道のりは2400mで、その途中に「かもめ図書館」と「いちょう図書
   館」がある。A、Bの2人が16時に学校を出発し、それぞれが図書館に立ち寄ってから
   駅まで移動する中で一度すれ違ったが、駅には同時に到着した。

 Aは「かもめ図書館」に5分間立ち寄って本を借り、駅まで移動した。Bは「いちょう図書館」
に15分間立ち寄って借りたい本を探したが見つからなかったため道を引き返し、「かもめ図
書館」に5分間立ち寄って本を借り、駅まで移動した。

 

 このとき、移動中のA、Bの速さは一定とし、A、Bがすれ違った時間帯を定めよ。

(解) Bは、35−15−5=15(分)で、1800+600+1200=3600(m)を移動したの

 で、移動の速さは、 3600÷15=240 より、分速240mである。

 よって、Bの移動を赤実線で示せば、下図のようになる。

 

 上図のグラフから、A、Bがすれ違った時間帯は、16時23分から16時25分までの間と
なる。  (終)


(コメント) Bの移動の速さが分速240mということは、時速14.4kmなので、Bは自転車
      で移動したのだろう。

 問題が要求するのは時間帯なので、グラフが描ければ計算するまでもなく結論は得られ
る。以下で、具体的にすれ違う時間を特定しよう。

 A、Bがすれ違う前後での直線の方程式を求めれば、

 Aは、 y=(2/3)(x−4)+2=(2/3)x−(2/3)

 Bは、 y=−2(x−5)+2=−2x+12

となるので、連立して、 (2/3)x−(2/3)=−2x+12 より、  x=19/4

 よって、すれ違う時間は、学校を出発してから (19/4)×5=95/4=23.75(分後)

# 何となく、私立中学入試の算数の問題っぽい雰囲気でしたね!


(エ) 下図において、四角形ABCDは AB=CD=DA、AB : BC=1 : 2 の台形である。
   また、点Eは辺BC上の点で、BE : EC=3 : 1 であり、2点F、Gはそれぞれ辺CD、
   DAの中点である。さらに、線分AEと線分BFとの交点をH、線分AEと線分BGとの交
   点を I とする。このとき、△BHI と四角形CFHEの面積比を最も簡単な整数の比で表
   せ。

  

(解) 下図のように補助線を引く。

 

 このとき、 AI : IE=1 : 3 、AH : HE=6 : 3=2 : 1 であるので、

 AI : IH : HE=3 : 5 : 4 より、 △BHI : △BEH=5 : 4

同様にして、 BH : HJ=3 : 6=1 : 2 、BF : FJ=4 : 4=1 : 1 より、

 BH : HF : FJ=2 : 1 : 3 なので、 △BEH : △BCF=6 : 12=1 : 2

 よって、 四角形CFHEの面積=△BEH が成り立つので、△BHI と四角形CFHEの面

積比は、 5:4 となる。  (終)


(コメント) △BEH : △BCF の計算で、高さの比が、BH : BF=2 : 3 であることから、

  △BEH : △BCF=2・3 : 3・4=1 : 2 である。

 三角比を用いた三角形の面積の公式を知っていれば明らかだが、中学生対象なので、
上記のような解法となる。


問4 下図において、直線@は関数 y=−x+9 のグラフであり、曲線Aは関数 y=ax2
   のグラフ、曲線Bは関数 y=(−1/6)x2 のグラフである。点Aは直線@と曲線Aとの
   交点で、その x 座標は3である。点Bは、曲線A上の点で、線分ABは x 軸に平行で
   ある。点Cは直線@と x 軸との交点である。また、2点D、Eは曲線B上の点で、点D
   の x 座標は−6であり、線分DEは x 軸に平行である。さらに、点Fは線分BDと x 軸
   との交点である。

    

 原点をOとするとき、次の問いに答えよ。

(ア) a の値を求めよ。

(イ) 直線EFの方程式を求めよ。

(ウ) 線分BC上に点Gを、△BDG=△DEG となるようにとるとき、点Gの x 座標を求めよ。

(解)(ア) A(3,6) なので、 6=9a から、 a=2/3

(イ) B(−3,6)、D(−6,−6) より、直線BDの方程式は、 y=4x+18

  よって、4x+18=0 より、 x=−9/2 から、 F(−9/2,0)

  E(6,−6) なので、直線EFの方程式は、 y=(−4/7)x−18/7

(ウ) 下図のように補助線を引いて考える。

  

 B(−3,6)、C(9,0) より、直線BCの方程式は、 y=(−1/2)x+9/2 なので、

 (−1/2)x+9/2=−6 より、 X=21  よって、H(21,−6)となる。

 このとき、 DE : EH=12 : 15=4 : 5 なので、△GEH=5S とおくと、△DEG=4S

題意より、 △BDG=△DEG=4S となるので、 △BDH=13S となる。

 ところで、△BDH=27×12÷2=162 なので、 13S=162 から、 S=162/13

 よって、△GDE=4S=648/13 となるので、Gの y 座標を y として、

 12(y+6)÷2=648/13 から、 y=108/13−6=30/13

このとき、 (−1/2)x+9/2=30/13 より、 x=57/13  (終)


(コメント) 問3(エ)と同様な補助線を考えるパターンは、出題者はお好きらしい。ただ、数
     値が汚すぎて、受検生を戸惑わせるのに十分だろう。

 問題を見て、点と直線の距離の公式を使えばよい、と思ったものの、それは中学生の学習
範囲を超えたものなので躊躇してしまう。参考までに、その解法を調べてみた。

(別解) 点Dを通り、傾きmの直線の方程式は、y=m(x+6)−6 すなわち、

 mx−y+6m−6=0 である。このとき、

 点Bと直線の距離は、 3|m−4|/√(m2+1)

 点Eと直線の距離は、 12|m|/√(m2+1)

 △BDG=△DEG となるためには、 3|m−4|/√(m2+1)=12|m|/√(m2+1)

すなわち、 |m−4|=4|m| が成り立てばよい。

 このとき、 m−4=±4m から、m=−4/3 、4/5 であるが、 m=−4/3 は不適

よって、直線DGの方程式は、 y=(4/5)(x+6)−6

また、直線BCの方程式は、 y=(−1/2)x+9/2 なので、連立して、

 (4/5)(x+6)−6=(−1/2)x+9/2 より、 x=57/13  (終)


問5 下図のように、場所P、Q、Rがあり、場所Pには1〜6の数が1つずつ書かれた6個の
   直方体のブロックが、書かれた数字の大きいものから順に、下から上に向かって積ま
   れている。

   

 大小2つのさいころを同時に1回投げ、大きいさいころの出た目の数を a、小さいさころの
出た目の数を b とする。出た目の数によって、次の【操作1】、【操作2】を順に行い、場所P、
Q、Rの3か所にあるブロックの個数について考える。

【操作1】 a のブロックおよびその上のブロックを順番を変えずに場所Qへ移動する。

【操作2】 場所P、Qの b のブロックおよびその上のブロックを順番を変えずに場所Rへ移
      動する。

 今、大小2つのさいころを同時に1回投げるとき、次の問いに答えよ。

(ア) ブロックの個数が3か所とも同じになる確率を求めよ。

(イ) 3か所のうち、少なくとも1か所のブロックの個数が0個になる確率を求めよ。

(解)(1) 起こり得る場合は、(a,b)=(2,4)、(4,2) の2通りなので、

  求める確率は、 2/36=1/18

(2) 起こり得る場合は、

(a,b)=(1,1)、(1,6)、(2,2)、(2,6)、(3,3)、(3,6)、(4,4)、(4,6)、(5,5)、
     (5,6)、(6,1)、(6,2)、(6,3)、(6,4)、(6,5)、(6,6)

 の16通りなので、

  求める確率は、 16/36=4/9  (終)


(コメント) 【操作1】、【操作2】の意味が分かれば、易しい確率の問題でした。


問6 下図は、線分ABを直径とする円Oを底面とし、線分ACを母線とする円すいである。
   点Dは線分BCの中点で、点Eは円Oの周上の点で、点Fは線分ACの中点である。

   

 AB=8cm、AC=10cm、∠AOE=60°のとき、次の問いに答えよ。

(ア) 円すいの表面積を求めよ。

(イ) 2点D、E間の距離を求めよ。

(ウ) 円すいの側面上に点Eから線分BCと交わるように点Fまで線を引く。このとき、この
   ような線の長さの最小値を求めよ。

(解)(ア) 10×8π÷2+16π=56π(cm2

(イ) 中点連結定理より、 OD=5 なので、△DOBは2等辺三角形となる。線分OBの中

 点をMとおくと、 DM=√(52−22)=√21 である。

 また、 ME2=(22+42=28 なので、 DE2=DM2+ME2=49 より、

 DE=7(cm) となる。

    

(ウ) 側面を展開して扇形を作ると、その中心角は、8π/10=4π/5 即ち、144°

 このとき、 ∠ECF=144°×(5/6)=120°となる。

    

このとき、 EF2=(52+102=175 なので、 EF=5(cm) となる。  (終)


(コメント) 余弦定理を知っていれば、 EF2=102+52−2・10・5・(−1/2)=175
      から、EF=5(cm) であることは直ちに分かる。


(追記) 令和6年2月16日付け

 令和6年2月14日(水)に行われた神奈川県公立高校入試の問題が翌日の新聞朝刊に
掲載された。ところどころで難しい問題も散見され、基礎力のない受検生にとっては厳しい
入試となった模様だ。平均点は、例年通りの結果になる模様である。

 ここで、興味を引いた問題をいくつか解いてみた。問題によっては改題されている。


問3 次の問いに答えよ。

(ア) 下図のように、円Oの周上に、異なる3点A、B、CをAB=ACとなるようにとる。また、
  点Aを含まない弧BC上に2点B、Cとは異なる点DをBD>CDとなるようにとり、線分AD
  と線分BCとの交点をEとする。さあに、∠CADの2等分線と円Oとの交点のうち、点Aと
  は異なる点をFとし、線分AFと線分BCとの交点をG、線分AFと線分CDとの交点をHと
  する。

  

 線分ACの延長と線分DFの延長との交点を I とする。∠AID=73°、∠DHF=61°の
とき、∠AEBの大きさを求めよ。

(解) △AFI において、 ●+(●+61°)+73°=180°より、 ●=23°

 △ADH において、 ●+×+(180°−61°)=180°より、 ●+×=61°

 よって、 ×=38°である。

 このとき、∠AEB=●+●+×=84°  (終)


問3(ウ) 下図において、△ABCは∠ACB=90°の直角三角形であり、点Dは辺ABの
  中点である。また、2点E、Fは辺AC上の点で、BC=CEであり、BF‖DEである。

  

 さらに、点Gは線分DEの中点であり、点Hは線分BFと線分CGとの交点である。

 AB=24、BC=12のとき、線分GHの長さを求めよ。

(解) 題意より、△ABCにおいて、∠A=30°、∠ABC=60°である。

  

 このとき、AD=CD=12 なので、∠DCE=∠A=30°である。

 CGは2等辺三角形CDEにおいて、∠DCEの2等分線なので、∠GCE=15°となる。

このとき、△BCF∽△CHF なので、 ∠CBF=∠HCF=15°

 よって、∠DBI=60°−15°=45°となるので、

 GH=DI=12×(/2)=6  (終)


(コメント) 三角比を用いれば、

 GH=(12−12)cos15°=12(−1)+1)/4=6

と簡単に求められるが、これは、中学生には無理かな...?


問3(エ) 4%の食塩水300gが入ったビーカーから、食塩水 a gを取り出した。その後、
 ビーカーに残っている食塩水に食塩 a gを加えてよくかき混ぜたところ、12%の食塩水
 になった。このとき、a の値を求めよ。

(解) 題意より、 0.04×(300−a)+a=0.12×300 なので、

 12−0.04a+a=36 より、 0.96a=24 を解いて、 a=25(g)  (終)


(コメント) こういう食塩水の濃度の問題では、適切な問題設定か、よく注意している。100
     ml の水に溶ける食塩の量は、約36gが限界で、濃度だと、約26.5%くらい。


問4 下図のように、放物線 y=(1/6)x2 と直線 y=−x 、y=−3x が与えられている。

 点A(−6,6)、点B(6,6)、点C(−2,6)、点D(−6,0)、点E(−6,3)とする。

 さらに、原点をOとするとき、点Fは直線 y=−3x 上の点で、CO : OF= 2 : 1 であり、そ

の x 座標は正である。

  

 線分BD上に点Gを、△CEFと△COGの面積の比が △CEF : △COG=3 : 2 で、その x

座標が正となるようにとる。このときの、点Gの x 座標を求めよ。

(解) △CEF : △CEO=3 : 2 なので、 △CEO=△COG である。

 点E(−6,3)を通り、直線 y=−3x と平行な直線は、 y=−3(x+6)+3=−3x−15

 よって、x 軸と点(−5,0)で交わる。

 △CEO=△COG なので、点Gを通り、直線 y=−3x と平行な直線は、x 軸と点(5,0)

で交わる。その直線の式は、 y=−3(x−5)=−3x+15

 直線BDの方程式は、 y=(1/2)x+3 なので、その交点を求めると、

 −3x+15=(1/2)x+3 より、 (7/2)x=12 すなわち、 x=24/7  (終)


問5 1、2、3、4、5、6の数が1つずつ書かれた6枚のカードがある。
 大、小2つのさいころを同時に1回投げ、大きいさいころの出た目の数を a、小さいさいこ
 ろの出た目の数を b とする。出た目の数によって、次の【操作1】、【操作2】を順に行い、
 残ったカードについて考える。

【操作1】 a の約数が書かれたカードをすべて取り除く。
【操作2】 b が書かれたカードを取り除く。ただし、【操作1】により、b が書かれたカードを
     すでに取り除いていた場合は、残っているカードのうち、最も大きい数が書かれた
     カードを取り除く。

 大、小2つのさいころを同時に1回投げるとき、次の問いに答えよ。ただし、大、小2つのさ
いころはともに、1から6までのどの目が出ることも同様に確からしいものとする。

(ア) 残ったカードが「4」のカード1枚だけになる確率を求めよ。
(イ) 残ったカードに、「6」のカードが含まれる確率を求めよ。

(解) 残ったカードの起こり得る場合を表にまとめると、

大\小
2345 3456 2456 2356 2346 2345
345 345 456 356 346 345
245 456 245 256 246 245
35 35 56 35 36 35
234 346 246 236 234 234

 よって、求める確率は、

(ア) 5/36  (イ) 15/36=5/12 となる。  (終)


問6 下図は、点Aを頂点とし、BC=CD の二等辺三角形BCDを底面、△AEB、△ABD、
 △ADFを側面とする三角すいの展開図であり、∠AEB=∠AFD=90°である。

  

 また、点Gは辺AB上の点で、AG : GB=1 : 2 であり、点Hは辺ADの中点である。
AE=10cm、BC=5cm、BD=6cm のとき、この展開図を組み立ててできる三角すいにつ
いて、次の問いに答えよ。

(イ) 3点C、E、F が重なった点を I とする。この三角すいの側面上に、点Gから辺 AI と交
  わるように点Hまで線を引く。このような線のうち、最も短くなるように引いた線の長さを
  求めよ。

(解) 下図のように、側面AEBをAF側に移動させて考える。求める線分は、下図の赤色の
 直線GHである。G、Hより、直線BDに垂線を下ろし、その足をそれぞれQ、Pとおく。同様
 に、G、Hより、直線AFに垂線を下ろし、その足をそれぞれR、Sとおく。

  

 Gは、AG : GB=1 : 2 なので、FB=5より、FQ=5/3 で、さらに、AF=10より、

RF=20/3

 Hは、辺ADの中点なので、FD=5より、 PF=5/2 で、さらに、AF=10より、SF=5

 よって、 GH2=(5/2+5/3)2+(20/3−5)2=625/36+25/9=725/36 より、

 GH=(5/6)  (終)

(別解) 線分GBの中点をMとし、Mから線分FBに垂線MNを引く。

  

 △ADMにおいて、中点連結定理より、 GH=(1/2)DM

ここで、 DM2=(5+10/3)2+(10/3)2=625/9+100/9=725/9 より、

 DM=(5/3) なので、 GH=(5/6)  (終)


(コメント) 例年と比べて、問題レベルは平易だったように感じました。平均点も若干上がる
     かな?



  以下、工事中!


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