・ 数の累乗 S.H氏
三平方の定理の問題では、よく、次の関係式を見かける。
52=32+42
これが、実は、ある驚くべき性質を垣間見る端緒になっているということを最近知った。
上記の式の、ある意味での発展は、当HPの「美しい平方の和」で語られている。
それとは全く別な新しい発展に、思わず感動してしまった。
51=12+22 (=5)
52=32+42 (=25)
53=22+112 (=125)
54=72+242 (=625)
55=382+412 (=3125)
上記のように、5の累乗が、平方の和として書けるということに、数の持つ美しさを感じる。
このような性質は、「5」だけに特有の性質なのだろうか?大いに興味を引く研究対象に
なりうる予感がする。
(追記) 「5」は明らかに素数であるが、ある意味で特別な素数である。「5」のような素数
は、4n+1 型の素数といわれ、この型の素数は無限にあることが知られている。
さらに、「4n+1 型の素数は、ただ1通りに平方の和として表せる」ことは、既
に 1660年フェルマーによって発見され、オイラーによって証明が初めて与えられ
た。このことから、4n+1 型の素数 p が、
p = x2+y2 = (x+yi)(x−yi) (ただし、i は虚数単位)
と表されるとき、自然数 k に対して、
pk= (x+yi)k(x−yi)k
と考えることができ、 (x+yi)k と (x−yi)k は互いに共役な複素数であるので、
pk= X2+Y2
と、必ず書けることになる。しかも、この方法は、X、Yの求め方も教えている。
例 5 = 12+22 = (1+2i)(1−2i) より、
52 = (1+2i)2(1−2i)2 = (−3+4i)(−3−4i) =(−3)2+42 = 32+42
53 = (1+2i)3(1−2i)3 = (−11−2i)(−11+2i) =(−11)2+22 = 112+22
54 = (1+2i)4(1−2i)4 = (−7−24i)(−7+24i) =(−7)2+242 = 72+242
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冒頭の計算式だと、あたかも、54=625 を分割して求めているような雰囲気を与えてい
るが、そのような方法だと時間と労力ばかりがかかって、大変な困難さを感じざるを得ない。
しかし、このような舞台裏を覗くと、54 = 72+242 などのような式は、ある必然を持って
出現しているということに驚かされる。
100以下の 4n+1 型の素数は、素数表によれば、全部で、11個ある。
5、13、17、29、37、41、53、61、73、89、97
これらの平方数分解は、次の通りである。
5 = 12+22 13 = 22+32 17 = 12+42 29 = 22+52
37 = 12+62 41 = 42+52 53 = 22+72 61 = 52+62
73 = 32+82 89 = 52+82 97 = 42+92
このような事実と上記の理論を用いると、何かパズルの問題ができそうである。