壺に赤玉がa個、白玉がb個入っている。また、自分の手元にも赤玉がa個、白玉がb個あ
る。壺の中から無作為に玉を1つ取り出し、取り出した玉の色を確認して玉を壺に戻し、さら
に自分の手元にある玉の中から取り出した玉と同じ色の玉を1つ壺に入れる、という試行を
繰り返すと自分の手元から玉がひとつずつ無くなっていく。
このとき、赤玉が先に無くなってしまう確率はいくらか。
他の掲示板を見ていて気になったので教えてほしいです。関連する有名な問題(ポリアの
壺)として、以下のことは分かっていますが、この事実が使えるかどうかは…?
壺に赤玉がa個、白玉がb個入っている。また、自分の手元には赤玉も白玉も無数にある。
壺の中から無作為に玉を1つ取り出し、取り出した玉の色を確認して玉を壺に戻し、さらに自
分の手元にある玉の中から取り出した玉と同じ色の玉を1つ壺に入れる、という試行をn回繰
り返すとき、
n回目に赤玉を取り出す確率は、a/(a+b)
n回目に白玉を取り出す確率は、b/(a+b) (→ 参考:「ポリアの壺」)
DD++さんからのコメントです。(令和元年12月26日付け)
毎回確率が同じなら、反復試行の公式が使えるのではないでしょうか?
a回中、a回全て赤の確率
a回中、a-1回赤、1回白でその後aを引く確率
a+1回中、a-1回赤、2回白でその後aを引く確率
a+2回中、a-1回赤、3回白でその後aを引く確率
……
a+b-2回中、a-1回赤、b-1回白でその後aを引く確率
を合計すればいいと思います。
aとbを用いた綺麗な式には多分ならないと思いますが……どうかな?と思いましたが、考
えてみたらダメですね、これ。反復試行は毎回の試行が独立でなければいけませんが、こ
の試行は独立ではないため、反復試行の公式は使えませんでした。うーん、どうすればい
いんだろう?
らすかるさんからのコメントです。(令和元年12月27日付け)
まだきちんと示せてはいませんが、多分1/2になると思います。
at さんからのコメントです。(令和元年12月27日付け)
求める確率をf(a,b)とすると、
f(a,b)=(2*a-1)!*(a+b-1)!/((a-1)!*(b-1)!)*Σ[k=0〜b-1]((b+k-1)!/(2*a-1+b+k)!)*C(a+k-1,k)
# a、bの値を様々に変えて計算してみると、どうやら常に f(a,b)=1/2 となるようですね。
(コメント) a=2、b=3 として計算してみました。
f(2,3)=3!*4!/(1!*2!)*Σ[k=0〜2]((k+2)!/(k+6)!)*C(k+1,k)
=72*((2!/6!)*C(1,0)+(3!/7!)*C(2,1)+(4!/8!)*C(3,2))=1/2
ポリアさんからのコメントです。(令和元年12月27日付け)
DD++さんのアドバイスにしたがって素直に式を立てると、(0≦k≦b-1として)a+k-1回中、
a-1回赤、k回白である確率が
a/(a+b)*(a+1)/(a+b+1)*(a+2)/(a+b+2)*…*(a+a-2)/(a+b+a-2)
*b/(a+b+a-1)*(b+1)/(a+b+a)*(b+2)/(a+b+a+1)*…*(b+k-1)/(a+b+a+k-2)
=(2a-2)!/(a-1)! * (b+k-1)!/(b-1)! * (a+b-1)!/(2a+b+k-2)!
にC(a+k-1,k)をかけたもので、その後赤を引く確率が(2a-1)/(a+b+a+k-1)なので、
a+k回中、a+k-1回までにa-1回赤、k回白、最後に赤の確率が
(2a-1)!/(a-1)! * (b+k-1)!/(b-1)! * (a+b-1)!/(2a+b+k-1)!
これを0≦k≦b-1で足し合わせたものが、atさんのおっしゃる、求める確率f(a,b)になるわ
けですね。
このΣをうまく計算する方法があるのか、それとも別のうまい見方があって計算しなくても
1/2になると分かるのか…、どちらなのでしょうか?
DD++さんからのコメントです。(令和元年12月30日付け)
かなりトリッキーな方法ですが、解決しました。面倒な計算は一切ありませんが、面倒な日
本語は多いです。読むのが大変かもしれませんが頑張ってください。
まず、元の問題がこれです。
<問題1> 壺に赤玉がa個、白玉がb個入っている。また、自分の手元にも赤玉がa個、白玉
がb個ある。壺の中から無作為に玉を1つ取り出し、取り出した玉の色を確認して玉
を壺に戻し、さらに自分の手元にある玉の中から取り出した玉と同じ色の玉を1つ壺
に入れる、という試行を繰り返すと自分の手元から玉がひとつずつ無くなっていくが、
赤玉が先に無くなってしまう確率はいくらか。
この<問題1>は、よく考えてみると、以下の<問題2>と全く同じです。「 」が<問題1>との相
違部分です。
<問題2> 壺に赤玉がa個、白玉がb個入っている。「手元には赤玉も白玉もたくさんある。」
壺の中から無作為に玉を1つ取り出し、取り出した玉の色を確認して玉を壺に戻し、
さらに自分の手元にある玉の中から取り出した玉と同じ色の玉を1つ壺に入れる、
という試行を繰り返すと自分の手元から玉がひとつずつ無くなっていくが、「a+b-1
回目時点で赤玉をa個以上入れている確率」はいくらか。
a+b-1回目時点で赤玉をa個以上入れているならば、その時に白玉はまだb-1個以下しか
入れていないため、<問題1>の状況なら赤玉が先になくなっていることになります。
a+b-1回目時点で赤玉をa-1個以下しか入れていないならば、その時に白玉は既にb個以
上入れているため、<問題1>の状況なら白玉が先になくなっていることになります。
そして、この<問題2>は、よく考えてみると以下の<問題3>と同じです。「 」が<問題2>との
相違部分です。
<問題3> 「黒玉を1つ用意し、その左には赤玉をa個、その右には白玉b個を一列に並べて
おく。玉と玉の間1ヶ所を何らかの方法で無作為に選び、そこに新たな玉を1つ加え
る。ただし、そこが黒玉より左側ならばその場所に加えるのは赤玉とし、右側ならば
白玉とする。」という試行を繰り返すと自分の手元から玉がひとつずつ無くなっていく
が、a+b-1回目時点で赤玉をa個以上「列に加えている」確率はいくらか。
無作為に選ぶ方法は自由なので、その方法を「玉全てに異なる印をつけておき、黒玉以外
を壺に入れ、無作為に1つ取り出す。その後壺から全ての玉を取り出して印を見ながら元の
順に並べ、取り出した玉からみて黒玉がある側の隣を選んだことにする」という選び方にして
も問題ないはずです。
そして、その選び方の場合、結局取り出した玉と同じ色の玉を増やすので、やっていること
は<問題2>そのものです。
ということで、以下で、<問題3>を解くことにします。
a+b-1回行った時点で、玉は全部で2a+2b個になっており、その左端は最初から左端にあっ
た赤玉、その右端は最初から右端にあった白玉です。
さて、では残りの2a+2b-2個はというと、元からあったa+b-1個(a+b+1個のうち両端を除いた
ので)の出現順が決まっていますが、それ以外は何の制約もなく並んでいます。
各回でどこに玉を加えるかは同様に確からしいので、全体の結果も同様に確からしく出現
します。
さて、a+b-1回目時点で赤玉をa個以上列に加えている確率はいくらかという問題ですが、
実は非常に簡単です。
後から加えた玉のうち左からa番目の玉を玉Xと呼ぶことにします。問題は、玉Xが黒玉よ
り左にある確率はいくらか、と言い換えられます。
ところで、黒玉は両端を除く元々あった玉a+b-1個のうち左からa番目です。一方で、玉Xは
後から加えた玉a+b-1個のうち左からa番目です。
両端を除く2a+2b-2個の並び順が、元々あった玉の並び順の制約を除いて同様に確からし
く並ぶのであれば、玉Xと黒玉のどちらが左にあるかも同様に確からしい結果になるはずで
す。
したがって、<問題3>の答えは、1/2であり、遡って<問題2>や<問題1>も答えは同じく1/2と
なります。(……長い。)
りらひいさんからのコメントです。(令和3年8月18日付け)
上記の問題を、最近また考えていました。その過程で、二項係数の関係式が出てきたの
でメモしておきます。これらの関係式を使うと、atさんの示された式から1/2に到達できまし
た。
C(n,r) = n!/{r!*(n-r)!} とする。
○その1 p、q、r を0以上の整数とする。
Σ[k=0〜r] C(p+k,p) * C(q+r-k,q) = C(r+p+q+1,r)
説明: 碁盤状の道で、交差点(0,0)から交差点(p+q+1,r)までの最短経路を考える。式の右
辺は、通る道に制限がない場合の最短経路の数となる。
左辺の各項は、交差点(p,k)と(p+1,k)の間の道を通る最短経路の数であり、和をとると
交差点(0,0)から交差点(m+m'+1,n+n'+1)までの最短経路を漏れや重複なく網羅してい
るため右辺に一致する。
「2項係数の性質」の中にある定理
C(n,m)*C(k,0) + C(n-1,m-1)*C(k+1,1) + … + C(n-m,0)*C(k+m,m) = C(n+k+1,m)
と等価であり、文字の置き換えと関係式 C(n,r) = C(n,n-r) を利用すると導かれる。
○その2 m、m'、n、n' を0以上の整数とする。
f(i) = C(n+i,n) * C(n'+m+m'+1-i,n')
g(j) = C(m+j,m) * C(m'+n+n'+1-j,m')
S = Σ[i=0,m] f(i) 、S' = Σ[i=m+1,m+m'+1] f(i)
T = Σ[j=0,n] g(j) 、T' = Σ[j=n+1,n+n'+1] g(j)
とおき、 A = C(m+m'+1+n+n'+1,m+m'+1) とする。
このとき、 S+S' = T+T' = S+T = S'+T' = A が成り立つ。
また、 S = T' および S' = T も成り立つ。
説明: 碁盤状の道で、交差点(0,0)から交差点(m+m'+1,n+n'+1)までの最短経路を考える。
通る道に制限がなければ最短経路の数はAとなる。
交差点(i,n)と(i,n+1)の間の道を通る最短経路の数は、f(i)である。
交差点(m,j)と(m+1,j)の間の道を通る最短経路の数は、g(j)である。
S+S' の式で数えられる経路は、交差点(0,0)から交差点(m+m'+1,n+n'+1)までの最短経
路を漏れや重複なく網羅しているため、和がAに等しくなる。
T+T' 、 S+T 、 S'+T' に関しても同様である。
SとT'では数えている経路が一致するため、経路数は等しい。S'とTでも同様。
○その3 その2において、m=n かつ m'=n' が成り立っている場合、S = S' = T = T' = A/2
となる。
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年8月22日付け)
質問をさせて頂きたく存じます。
歪んだコインが1枚あり、コイントスをしたときに表が出る確率が a/(a+b) で、裏が出る確
率が b/(a+b) であるものとします。
また、自分の手元に赤玉がa個、白玉がb個あるものとします。
コイントスを1回行うつど、表が出たら手元の赤玉を1個減らし、裏が出たら手元の白玉を
1個減らすものとします。
コイントスを繰り返すと、自分の手元から玉がひとつずつ無くなっていきます。
このとき、赤玉が先に無くなってしまう確率はいくらでしょうか。
※ この確率が 1/2 になることは、ほとんど自明なのでしょうか?
らすかるさんからのコメントです。(令和3年8月23日付け)
「1/2にならない」ことが自明だと思います。
例えば、a=99、b=1 だったとき、99回連続で表が出る確率は、
h=1/100 は限りなく0に近いとして、近似計算により、
(1−h)(1−h)/h=(1+k)−(1+k)/k≒e−1=1/e (≒0.37) なので、
白玉が先になくなる確率の方が高いです。
スモークマンさんからのコメントです。(令和3年8月23日付け)
こういう考え方はおかしいのでしょうか?
a=99、b=1 の場合、
aが無くなる確率=(99/100)(98/99)...(1/2)=1/100
bが無くなる確率=1/100
で、同率?
(コメント) いくら「歪んだ」コインでも、赤玉、白玉の残りの個数で確率が変動するのは、ど
うなんでしょう?
らすかるさんからのコメントです。(令和3年8月23日付け)
これは何回コイントスした場合の話ですか?1回だけなら、bがなくなる確率は1/100ですが、
複数回の場合は、1/100ではありません。
また、「aが無くなる確率」の式の意味がわかりません。
毎回コイントスですから、a、bの確率は毎回 99/100 と 1/100 であり、「98/99」のような確率
が出てくることはありません。
スモークマンさんからのコメントです。(令和3年8月23日付け)
そっか ^^; 毎回の確率はコイントスでの確率で固定されているのでした ^^;;
ご教授ありがとうございました♪
では、以下のように考えればいいのかな?
a=2、b=1 のとき、1回目a、a、b それぞれがなくなる確率は同じだから、aは1個残っても、
bは0になり、a=99、b=1 でも、1回目でaが98残って、bが0になる確率同じになるから...まずa
が残る。^^;
Dengan kesaktian Indukmu さんからのコメントです。(令和3年8月24日付け)
らすかるさん、スモークマンさん、御教示、御応答のコメントを有り難うございました。
ポリアの壺について、数学的帰納法を用いずに解いてしまう方法を見かけてしまいまして、
それを理解しようと努めているうちに、今回の質問が浮かんだのでした。
数学的帰納法なしでのポリアの壺については以下に。
[パズルの国のアリス] 顔色をうかがい合うクラブ王室の面々 (日経サイエンス)