Sk(n)=1k+2k+・・・+nk とするとき、
k:奇数の場合 → Sk(n)は、S1(n)の多項式で表される。
k:偶数の場合 → Sk(n)は、S2(n)で割れ、その商は、また、S1(n)の多項式で表される。
という性質があり、この証明は、そこまで難しくないと書かれていたのですが、自分は全く分
かりませんでした。誰か教えてください。
ks さんからのコメントです。(令和3年10月4日付け)
『奇数のべき乗の和は、Σkの多項式で表せる。」について、
実際に、S=Σkとして、Σk3=S2 はよく知られています。
N3(N+1)3−N3(N−1)3=N3{(N+1)3−(N−1)3}=6N5+2N3
N=1〜n まで足し合わせると、 4S3=3Σk5+S2 より、 S5(n)=(4S3−S2)/3
同様にして、
N4(N+1)4−N4(N−1)4=N4{(N+1)4−(N−1)4}=8N7+8N5
N=1〜n まで足し合わせると、 2S4=Σk7+S5(n) より、
S7(n)=2S4−(4S3−S2)/3=(6S4−4S3+S2)/3
一般に、F(N)=Nk(N+1)k−Nk(N−1)k とすると、
F(−N)=(−N)k(−N+1)k−(−N)k(−N−1)k=Nk(N−1)k−Nk(N+1)k=−F(N)
となるので、F(N)は、奇関数であることがわかります。
よって、帰納法的に、奇数乗の和が全てSの式の多項式で表されることが予想されます。
この事実を一般化したものが、ファウルハーバーの定理です。
GAI さんからのコメントです。(平成30年7月25日付け)
私の備忘録−代数学分野−「数列の和」での話題について読んでみて下さい。
Sk(n) : kが奇数の時、S1(n)だけで表された式
Sk(n) : kが偶数の時、S1(n)、S2(n)だけで表されている式
(S2(n)で割り切れることも一目で納得)
などのものの式も出ています。
aki さんからのコメントです。(平成30年7月25日付け)
「数列の和」を拝見しました。上記の性質について書かれていたのは見たのですが、なぜ
そうなるのかという証明が省略されていました。証明方法を具体的に教えて頂けると幸いで
す。
(追記) 平成30年8月7日付け
すべてのkについて、Sk(n)がS1(n)で割り切れることは次のようにして分かる。
Sk(n)−Sk(n−1)=nk において、 Sk(1)−Sk(0)=1 、Sk(1)=1 より、Sk(0)=0
よって、nの多項式 Sk(n) はnで割り切れる。同様にして、 Sk(0)−Sk(−1)=0 より、
Sk(−1)=0 なので、Sk(n) はn+1で割り切れる。
以上から、nの多項式 Sk(n) はn(n+1)、すなわち、S1(n)で割り切れる。
# このアプローチでは、ファウルハーバーの定理の証明にかすりもしませんね。その証明
について、当HPがいつもお世話になっているHN「at」さんにご投稿いただきました。atさん
に感謝します。
(証明) 正整数 m、n に対して、S[m]を、 S[m]=1^m + 2^m + … + n^m で定める。2項係
数を C(k,r) とし、r<0 のときは、C(k,r)=0 とする。
kを任意の正整数とする。次の(1)、(2)が成り立つ。
(1) S[2k-1]は、(S[1])^k、S[3]、S[5]、…、S[2k-3] の線形結合で表すことができる。
(2) S[2k]は、S[2]、S[4]、S[6]、…、S[2k-2] の線形結合で表すことができる。
(1)の証明: (2*S[1])^k=(n(n+1))^k=Σ[m=1..n]((m(m+1))^k - ((m-1)m)^k)
=Σ[m=1..n](m^k)((m+1)^k - (m-1)^k)
=Σ[m=1..n](m^k)(Σ[r=0..k]C(k,r)(m^r) - Σ[r=0..k]C(k,r)(m^r)(-1)^(k+r))
=Σ[m=1..n]Σ[r=0..k]C(k,r)(m^(k+r))(1-(-1)^(k+r))
=Σ[r=0..k]Σ[m=1..n]C(k,r)(m^(k+r))(1-(-1)^(k+r))
=Σ[r=0..k]C(k,r)S[k+r](1-(-1)^(k+r))
=Σ[r≦k, k+rは奇数]C(k,r)S[k+r]*2
=Σ[r≦k-3, k+rは奇数]C(k,r)*S[k+r]*2 + k*S[2k-1]*2
よって、
S[2k-1]=(1/(2k))*((2*S[1])^k - 2*Σ[r≦k-3, k+rは奇数]C(k,r)*S[k+r]) ・・・(★)
この等式によって、(1)の成立が証明できた。
(2)の証明:
6*S[2]*(2*S[1])^(k-1)=(2n+1)*(2*S[1])^k=(2n+1)*(n(n+1))^k
=Σ[m=1..n]((2m+1)*(m(m+1))^k - (2m-1)*((m-1)m)^k)
=Σ[m=1..n]Σ[r=0..k]C(k,r)(m^(k+r))((2m+1) - (2m-1)(-1)^(k+r))
=Σ[r=0..k]Σ[m=1..n]C(k,r)(m^(k+r))((2m+1) - (2m-1)(-1)^(k+r))
=Σ[r=0..k]Σ[m=1..n](C(k,r)*2*(m^(k+r+1))(1 + (-1)^(k+r+1)) + C(k,r)(m^(k+r))(1 + (-1)^(k+r)))
=Σ[r=0..k](C(k,r)*2*S[k+r+1](1 + (-1)^(k+r+1)) + C(k,r)S[k+r](1 + (-1)^(k+r)))
=Σ[r≦k, k+rは偶数](C(k,r-1)*2*S[k+r]*2+C(k,r)S[k+r]*2)
=Σ[r≦k, k+rは偶数]S[k+r](4*C(k,r-1)+2*C(k,r))
=Σ[r≦k-2, k+rは偶数]S[k+r](4*C(k,r-1)+2*C(k,r)) + S[2k](4k+2)
よって、
S[2k]=(1/(4k+2))(6*S[2]*(2*S[1])^(k-1)
- Σ[r≦k-2, k+rは偶数]S[k+r](4*C(k,r-1)+2*C(k,r))) ・・・(★★)
この等式によって、(2)の成立が証明できた。
(★)において、k=1、2、3、4、… を順次代入することによって、S[1]、S[3]、S[5]、S[7]、…
を S[1]の多項式で表すことができる。
因みに、 S[1]=(1/2)*(2*S[1])=S[1] 、S[3]=(1/4)*((2*S[1])^2)=S[1]^2
S[5]=(1/6)*((2*S[1])^3 - 2*(C(3,0)*S[3]))=(1/6)*((2*S[1])^3 - 2*(S[1])^2)
=(4/3)*(S[1])^3 - (1/3)*(S[1])^2
S[7]=(1/8)*((2*S[1])^4 - 2*C(4,1)*S[5]))=(1/8)(16*(S[1])^4 - 2*4*S[5])=2*(S[1])^4
- S[5]
=2*(S[1])^4 - (4/3)*(S[1])^3 + (1/3)*(S[1])^2 、・・・
(★★)において、k=1、2、3、4、… を代入することによって、S[2]、S[4]、S[6]、S[8]、…を
S[2]*(S[1]の多項式) の形で表すことができる。
因みに、S[2]=(1/6)*(6*S[2])=S[2]
S[4]=(1/10)*(6*S[2]*(2*S[1])-S[2]*(4*C(2,-1)+2*C(2,0)))=(1/10)*(12*S[2]*S[1]-S[2]*(4*0+2*1))
=(1/10)*(12*S[2]*S[1]-S[2]*2)=S[2]*((6/5)*S[1]-1/5)
S[6]=(1/14)*(6*S[2]*(2*S[1])^2-S[4]*(4*C(3,0)+2*C(3,1)))=(1/14)*(24*S[2]*(S[1])^2-10*S[4])
=(1/14)*(24*S[2]*(S[1])^2-(S[2]*(12*S[1]-2)))=S[2]*((12/7)*(S[1])^2-(6/7)*S[1]+1/7)
S[8]=(1/18)*(6*S[2]*(2*S[1])^3-S[4]*(4*C(4,-1)+2*C(4,0))-S[6]*(4*C(4,1)+2*C(4,2)))
=(1/18)*(48*S[2]*(S[1])^3-2*S[4]-28*S[6])
=(1/18)*S[2]*(48*(S[1])^3-2*((6/5)*S[1]-1/5)-28*((12/7)*(S[1])^2-(6/7)*S[1]+1/7))
=S[2]*((8/3)*(S[1])^3-(8/3)*(S[1])^2+(6/5)*S[1]-1/5) 、・・・
(参考資料) A. F. Beardon 著 「Sums of Powers of Integers」のTheorem 3.1
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