ハンデの解消                          戻る

 高校では、国語授業の一環として、3学期に「百人一首大会」(かるた大会?)を開くとこ
ろが多い。
 4人1組でチームを作る。1クラス40人とすると、合計10チームできる。
源平方式(1対1の勝負を指す。ここでは1チームずつの対戦)で、100枚の札を取り合う。
取った札の枚数が多いチームを勝ちとする。

 全チームがすべて4人であったら、上記のようなルールで誰も異論はないであろう。

 問題は、どこかのチームに欠席者があり、相手チームより人数の面でハンデがある場合
である。

 たとえば、3人のチームで48枚(1人あたり16枚)とった場合と4人チームで52枚(1人
あたり13枚)とった場合を比較するとき、果たして、どちらを勝ちとしてよいのだろうか?

 人数に関係なく、チームの獲得枚数のみに注目すれば、もちろん、52枚とった方が勝ち
であるが、1人あたり16枚とった方が率的にはいいので、これを負けとするには忍びがた
いものがある。

 そこで、人数によるハンデを解消するため、勝ち負けの判定基準を、1人当たりにならし
た獲得枚数で考えることにした。

 この判定基準だと、先の例では、3人で48枚とったチームの勝ちとなる。

 このルールで、人数の差によるハンデが解消されたという人もいれば、いや、まだ解消
されていないという人もいる。果たして、どちらが正しいのだろうか?

 上記のルールで、欠席した1人の札をとる能力が他の3人と同等であるという前提のも
とに考えている部分が少し引っかかる。実際は、その能力は未知数であり、もしかしたら、
欠席した人が、たとえ出席したとしても、取った枚数が48枚のままかもしれない。このよう
に考えると、1人当たりにならした獲得枚数で考えることは、一見合理的なように感じるが、
チーム戦である以上、その特性を加味しなければ、正しい勝ち負けの判断はできないよ
うに思う。「まだ解消されていない」という人は、多分そこら辺のところを言っているのだろ
う。

 上記のことを極論すれば、抜群に優秀な生徒が1人いて、他の3人は、全然優秀でない
場合、ルールを逆手にとって、優秀でない生徒を故意に欠席させ、優秀な生徒の一人舞
台で勝ち上がってしまうことにもなりかねない。これでは、団体戦というよりも個人戦にな
ってしまうだろう。

 したがって、団体戦である以上、勝ち負けは、あくまでもチームとしての札の獲得枚数で
判断すべきだろう。

 互いの公平感を保つため、次のようなルールではどうだろうか?

 4人チームの中で、獲得枚数の最も少なかった者の枚数を、N とおく。
このとき、3人チームで欠席した者が獲得すると思われる期待枚数を、N×P 枚とする。
この期待枚数を加味して、勝負の判定をする。
 ただし、Pは、0≦P≦1 の範囲で、クラス全体で互いに納得する数を指定すればよい。

例 3人チーム(X、Y、Z  欠席 W)、4人チーム(A、B、C、D)が対戦する。
  ハンデキャップは、P=0.5 とする。
  対戦後、それぞれの獲得枚数は、次のようであった。

    X=19、Y=15、Z=14

    A=16、B=14、C=12、D=10

  したがって、3人チームの獲得枚数は、19+15+14+10×0.5=53 枚
         4人チームの獲得枚数は、16+14+12+10=52 枚

 以上から、3人チームの勝ちとなる。最低枚数のDを除いたメンバー同士の獲得枚数を
比較しても、この判定に異論はないであろう。

 また、獲得枚数が、

    X=19、Y=15、Z=14

    A=18、B=14、C=14、D=6

のとき、3人チームの獲得枚数は、19+15+14+6×0.5=51 枚
     4人チームの獲得枚数は、18+14+14+6=52 枚

となり、4人チームの勝ちとなる。これは、最低枚数のDを除いたメンバーが3人チームと
比べて若干劣っていても勝てる見込みがあるわけで、両者にとって欠席者を意識せず、勝
負に徹することができるという意味で、公平なルールだと思う。