グループ分け                              戻る

 集会などでクラスの生徒40名を2列に並ばせるには、出席番号順で1番〜20番までは
正面に向かって右側、残りは左側と指定する方法が普通だろう。

 このグループ分けについて、HN「H.I.」さんが当HPの掲示板「出会いの泉」に次のよう
な問題を提起された。(平成22年4月19日付け)

 テレビの政治番組を見て、ぼんやり思ったことを、ちょっとした問題にしてみました。

 初期には属性がない(性別・名前・外見・集団など一切の違いがない状態)利己的な人間
がいます。属性は後天的に獲得することが出来るとして、十分大きい n 人の人間がいると
き、ほぼ同数の2つのグループに自然に分けるには、「半分に分かれなさい」と言う以外の
方法だと、どうすればいいでしょう?

 また、ほぼ同数ずつの r 個 ( n≧r≧2 ) のグループに分けるには、「 r 個に分かれなさ
い」と言う以外の方法だと、どうすればいいでしょう?

 もちろん、「お金をあげるので、あなたはこちら」と言うのはなしとします。

答えは解釈によっても異なりますし、無限にあると思います。



 出題者のH.I.さんの期待する解答かどうかは分かりませんが、私は次のように考えまし
た。(一つの試案です!)

 n 人の集団の中にタスキを1個投げ入れ、「誰か一人、そのタスキを拾って掛けてね!」
と言う。そして、「さあ、互いに手を結んで一つの輪になろう!」と言い、輪が出来たら、「タ
スキの人から時計回りに順次右側、左側と並べ直してね。」と言う。
そうすると何人いても、出席番号が分からなくても、ほぼ同数の2つに分かれることが出来
る。この方法を用いれば、ほぼ同数の r 個のグループに分けることも容易だろう。

 でも、もしかしたら誰もタスキを拾ってくれないかもしれないし、「右側、左側」と言うという
ことは「半分に分かれなさい」と言うこととほとんど同義だろうし、...難しいですね!


 この問題に対して、出題者のH.I.さんが、(問題を考えた後で答えを探している部分が
あるので確かなことは言えないが、条件が複雑かつ曖昧ながら、答の一つだろうと思われ
る)という条件で、次のような解答を述べられている。(平成22年4月22日付け)

(設問1) ほぼ同数の半分に分けるにはどうすればいいか?

 第三者が以下のように言えばいい。

 条件1:「近い将来(※1)人数の多い方から2位のグループの一つ(※2)に、一定の報
      酬(※3)を与える」

 条件2:「ただし、どのグループにも属さない人間は『どのグループにも属さない人間のグ
      ループ』に属しているとみなす」

 これは、ちょうど半分に分かれなさいとは一応言っていません。簡単に、どういったことが
起きるのかシミュレートしてみましょう。

 初期状態では、全員が『どのグループにも属さない人間のグループ』(仮にグループA)に

属しているので、全員が1位のグループに属しており、誰も報酬を得ることが出来ない。

人間は全員利己的なので、報酬を得るために抜けようと考えますが、一人で抜けてしまうと

グループAに瞬く間に取り込まれてしまう。そのため、山分けした報酬が最も多くなる2人で

グループAを抜けてグループB1を作り、2位を確保することが短期的には最善となる。

 同様の考えで、2人のグループB2以下、無数の2位集団が形成されると、今度は単独2

位を狙って2位集団同士が別のグループを形成し始める。

 次第に2位集団の中で抜け出したグループ「ビッグB」が形成されてしまうと、既に3位集

団に落ちてしまった無数のグループとグループAから抜け出した人間を取り込み肥大化し

ていく。

 グループAと「ビッグB」の数がほぼ同数になったところで、2つの大きなグループから抜

け出して3位集団を形成することは無意味になるので、人間の移動は終わる。

 また、最初にグループAからかなり多くの人数が抜けグループBを形成した場合は、収束

が早くなるだけで同じことが起こる。

※1:何時何分に報酬を与えると指定してしまうと、直前の抜け駆けを許すことになるため
※2:同率2位で我慢していても得にならないようにするため
※3:報酬は山分けであり、人数に応じて支払われないことがないのを明記
※条件2について、一人グループを組むことがOKで、初期条件が一人グループであるとす
 ると、大きなグループを組むことが自然な誘導では出来ない。なぜなら、グループを組ん
 だ瞬間にそのグループが1位となり報酬が絶対に得られないため。

(設問2) ほぼ同数のr個のグループに分けるにはどうすればいいか?

 r=2 の場合、(設問1)と同様。

 r=3 の場合

  仮に、r=2 と似たような条件だと、初期条件ではグループAを形成することになるが、

 もし誰かが抜け駆けしても、2位のグループをつくることはできても3位になることはできな

 い。人間が無駄な行動を一切とらないとするならば、彼らは新たにグループを形成するこ

 と理由がないことになり、動きがとれない状態になってしまう。自然な抜け駆けを誘導する

 ならば、少なくとも2つのグループに分かれさせることが必要である。

  とすれば、最初に(設問1)の条件を使って「ほぼ数の等しい2つの集団」を作っておいて、

 (設問1)の条件1を、「近い将来、人数の多い方から3位のグループの一つに、一定の報

 酬を与える」とすればいいでしょう。

  以下、この方法では、r の数が多くなっても同様となる。


 この解答に対して、HN「らすかる」さんが、

 「ビッグB」が増えなくなったところで、「グループA」の中の半数ちょいの人が談合して抜け
出し、「グループC」を作れば、それが2位になるので、いつまで経っても安定しないのでは?


と疑問を呈された。(平成22年4月22日付け)

(コメント) 確かに、「グループAとビッグBの数がほぼ同数になったところ」で、報酬を得る
      ために2位狙いで別なグループCを形成することは十分考えられますね!


 このらすかるさんの疑問に答えて、H.I.さんは(平成22年4月23日付け)

 基本的にグループをつくること、入ること、抜けることは自由で拒否もできないので、グル
ープCを形成した瞬間に置いてきぼりをくったグループAが、すぐにグループCに合流する
ので、結局かわらないと思う。これはあえて書かなかったのですが、情報の伝達やグルー
プ形成にかかる時間に起因する問題です。グループAからグループCが抜けたことをグル
ープBも瞬時に知れば、グループBからもグループCに合流しようという勢力が存在するは
ずなので、安定はしないでしょう。グループに近いものが、その情報をより早く知ると考える
と、最初に書いたようにもとのグループAがグループCの独立を許さず、グループは安定に
向かう傾向があると思います。同様のことはグループBについても言えます。



 このことに関して、らすかるさんは(平成22年4月23日付け)

 グループBがある程度増えたところで他からの流入を拒否するのと同じで、グループCも
グループBの人数に達する場合は流入を拒否するはずですから、安定しないと思います。
グループBの増加が止まり、グループCの増加が止まらない理由はないでしょう。普通に考
えて、グループBが2位であることがわかっていたら、グループAにとどまっていても意味が
ありませんから、何らかの行動を起こすと思います。


 また、「基本的にグループをつくること、入ること、抜けることは自由で拒否もできない」の
に、「独立を許さない」とはどういうことでしょうか。



 これについて、H.I.さんは(平成22年4月25日付け)

 表現の問題で、グループに入ることも抜けることも、グループを作ることも自由ということは
独立することは自由でも、独立したグループの人数を制限することは後からは出来ないとい
うことです。嫌われ者でも入りたいといわれれば、受け入れなければならないと言うことです。
グループAが3番手に落ちても、2位にグループCがいる以上、A→Cの流入をグループCが
止めるすべはありません。



 このことに関して、らすかるさんは(平成22年4月25日付け)

 グループAが3番手に落ちても、2位にグループCがいる以上、A→Cの流入をグループC
が止めるすべはないとのことですが、それでもグループCの人数がグループBの人数−1
になったら(もう一人グループCに参加しても意味がないので)グループCの増加は止まる
んですよね?そうすると今度はグループBが解体し、2位グループが別に出来て、次はグ
ループCが解体し、・・・となって、結局動きは止まらないと思います。


(コメント) なるほど、2位狙いで離合集散が繰り返されて、いつまでたっても安定しないと
      いうことですかね?


       以下、工事中