極限の応用                                 戻る

 大学入試では、極限の応用問題が頻出である。今までまとまったページがなかったので、
ここで一念発起し、新しいページを起こしてまとめていきたい。

 次の東北大学 後期理系(1990)の問題も手頃な極限の問題である。

問題  nを自然数とし、xy平面上に(n + 1)個の点P0=(0,0)、P1=(1,0)、P2、・・・、P
  をとる。点P2、・・・、P
 (@) 線分Pj-1j (1≦j≦n)の長さは1。
 (A) 線分Pj-2j-1と線分Pj-1jとは互いに直交する。(2≦j≦n)
という条件のもとで動かし、このとき得られる線分P0nの長さの最大値をLnで表す。
(1) Lnを求めよ。
(2) 極限値 limm→∞ (L2m+1−L2m)を求めよ。

(解)(1) n=2m のとき、Ln2=L2m2=2m2=n2/2 より、 Ln=n/

 n=2m+1 のとき、

 Ln2=L2m+12=(m+1)2+m2=2m2+2m+1=2{(n−1)/2}2+n=(n2+1)/2

より、 Ln=√((n2+1)/2)

(2) L2m+1−L2m=√(2m2+2m+1)−√(2m2

=(2m+1)/(√(2m2+2m+1)+√(2m2))

=(2+1/m)/(√(2+2/m+1/m2)+

よって、 limm→∞ (L2m+1−L2m)=1/  (終)


(追記) 令和7年4月12日付け

 次の東北大学 後期理系(1991)の問題も手頃な極限の問題である。

問題  a を正の実数とし、nを正の整数とする。

(1) na/πを越えない最大の整数をmとするとき、2m≦∫0na |sin x|dx<2(m+1)
  が成り立つことを示せ。
(2) limn→∞0a |sin nx|dx を求めよ。

(解)(1) ∫0π |sin x|dx=∫0π sin x dx=[−cos x]0π=2

 ∫π |sin x|dx=−∫π sin x dx=[cos x]π=2

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、mの定義より、 m≦na/π<m+1 すなわち、 mπ≦na<(m+1)π なので、

 2m≦∫0na |sin x|dx<2(m+1)

が成り立つ。

(2) nx=t とおくと、dx=(1/n)dt なので、∫0a |sin nx|dx=(1/n)∫0na |sin t|dt

 na/πを越えない最大の整数をmとするとき、(1)より、

 2m≦∫0na |sin t|dt<2(m+1)

なので、 2m/n≦∫0a |sin nx|dx<2(m+1)/n

ここで、 mπ≦na<(m+1)π より、 a/π−1/n<m/n≦a/π なので、

はさみうちの原理により、n → ∞ のとき、 m/n → a/π となる。

よって、 limn→∞0a |sin nx|dx=2a/π  (終)


(追記) 令和7年9月12日付け

 次の東北大学 前期理系(1999)の問題も手頃な極限の問題である。

問題  正n角形Pnを次のようにして定義する。
  (@) P3は面積が1の正三角形である。
  (A) Pnと同じ面積をもつ円をDnとする。Pn+1はDnと周の長さが等しい正n+1角形で
  ある。
 n=3、4、5、・・・について、Pnの面積をanとしたとき、次の各問いに答えよ。

(1) n≧4について、an-1/anをnを用いて表せ。
(2) 極限 limn→∞2(an-1/an−(n/π)sin(π/n)) を求めよ。

(解)(1) 正n角形Pnの外接円の半径を kn とおくと、Pnの面積 an は、

 an=(1/2)kn2sin(2π/n)×n=nkn2sin(π/n)cos(π/n)

 円Dnの半径を rn とすると、題意より、 πrn2=an である。

 このとき、周の長さは、 2πrn で、題意より、

 2πrn=2(n+1)kn+1sin(π/(n+1))

よって、rn=((n+1)/π)kn+1sin(π/(n+1)) から、rn-1=(n/π)knsin(π/n)

このとき、an-1=πrn-12=(n2/π)kn2sin2(π/n) なので、

 an-1/an=(n/π)sin(π/n)/cos(π/n)=(n/π)tan(π/n)

(2) (1)より、

 n2(an-1/an−(n/π)sin(π/n))

=n2((n/π)tan(π/n)−(n/π)sin(π/n))

ここで、π/n=θとおくと、n → ∞ のとき、θ → 0+ で、

 与式=(π/θ)2(tanθ/θ−sinθ/θ)

 =(π23)sinθ(1/cosθ−1)

 =(π23)sinθ(1−cosθ)/cosθ

 =(π23)sin3θ/{cosθ(1+cosθ)}

 =π2(sinθ/θ)3/{cosθ(1+cosθ)} → π2/2  (終)



  以下、工事中!