辺の長さの積
円周上に、反時計回りに4点A、B、C、Dが配置されている。
(1) △ACDは1辺の長さが3の正三角形で、線分BDは円の直径である。
今、Axを、A以外の3点からなる三角形の3辺の長さの積、すなわち、Ax=bcf とする。
同様に、
Bxを、B以外の3点からなる三角形の3辺の長さの積、すなわち、Bx=cde とする。
Cxを、C以外の3点からなる三角形の3辺の長さの積、すなわち、Cx=adf とする。
Dxを、D以外の3点からなる三角形の3辺の長さの積、すなわち、Dx=abe とする。
このとき、 Ax−Bx+Cx−Dx の値を求めよ。
(解) 題意より、 c=d=e=3 で、a=b= 、f=2
なので、
Ax=bcf=18 、Bx=cde=27 、Cx=adf=18 、Dx=abe=9
よって、 Ax−Bx+Cx−Dx=18−27+18−9=0 (終)
(2) △ACDは、c=6、d=8、e=10 の直角三角形で、△ABCは∠B=90°の直角二
等辺三角形である。
このとき、 Ax−Bx+Cx−Dx の値を求めよ。
(解) 題意より、 c=6、d=8、e=10 で、a=b=5 である。
また、余弦定理より、
f2=(5)2+64−80
cos∠BAD=(5
)2+36−60
cos∠BCD
ここで、 cos∠BCD=cos(π−∠BAD)=−cos∠BAD なので、
(5)2+64−80
cos∠BAD=(5
)2+36+60
cos∠BAD
すなわち、114−80cos∠BAD=86+60
cos∠BAD より、
cos∠BAD=1/(5)
よって、 f2=114−80cos∠BAD=98 より、 f=7
このとき、
Ax=bcf=420 、Bx=cde=480 、Cx=adf=560 、Dx=abe=500
よって、 Ax−Bx+Cx−Dx=420−480+560−500=0 (終)
(3) (1)(2)の結果から、次のことが推察される。すなわち、
円周上に、反時計回りに4点A、B、C、Dが配置されている場合
について、Ax−Bx+Cx−Dx=0 が成り立つ。
この推察が正しいことを証明せよ。
(証明) (2)の f の計算と同様に、余弦定理から、
e2=a2+b2−2ab・cos∠ABC=c2+d2−2cd・cos∠ADC
cos∠ADC=−cos∠ABC なので、
a2+b2−2ab・cos∠ABC=c2+d2+2cd・cos∠ABC より、
cos∠ABC=(a2+b2−c2−d2)/(2ab+2cd)
よって、
e2=c2+d2+cd(a2+b2−c2−d2)/(ab+cd)=(ac+bd)(ad+bc)/(ab+cd)
から、 e=√{(ac+bd)(ad+bc)/(ab+cd)}
同様に、
f2=a2+d2−2ad・cos∠BAD=b2+c2−2bc・cos∠BCD
cos∠BCD=−cos∠BAD なので、
a2+d2−2ad・cos∠BAD=b2+c2+2bc・cos∠BAD より、
cos∠BAD=(a2+d2−b2−c2)/(2ad+2bc)
よって、
f2=b2+c2+bc(a2+d2−b2−c2)/(ad+bc)=(ab+cd)(ac+bd)/(ad+bc)
から、 f=√{(ab+cd)(ac+bd)/(ad+bc)}
このとき、
Ax−Bx+Cx−Dx
=bcf−cde+adf−abe=(ad+bc)f−(ab+cd)e
=√{(ab+cd)(ac+bd)(ad+bc)}−√{(ac+bd)(ad+bc)(ab+cd)}
=0
であることが示された。 (証終)
(コメント) 美しい結果ですね!感動しました。
四角形では、全部で 4C2=6(本) の線分があり、1つの頂点を除いた他の3点を結ぶ線
分は、3C2=3(本) で、計算も比較的簡単であった。円に内接する四角形の性質が使えた
のが大きかった。
それでは、問題をもう少し拡張して、六角形の場合にも同様のことが言えるのだろうか?
六角形では、全部で 6C2=15(本) の線分があり、1つの頂点を除いた他の5点を結ぶ線
分は、5C2=10(本) で、計算も爆発的に増大する。
一般の六角形では、全く途方に暮れてしまうので、特別な六角形に対して計算してみよう。
上図では、半径1の円に内接する六角形で、ADとCEは互いに直交する直径とする。B、F
はそれぞれ弧AC、AEの中点である。15本の線分の長さ
a 、b 、c 、d 、e 、f 、g 、h 、i 、j 、k 、l 、m 、n 、o
をそれぞれ求めていこう。
a=b=e=f : 余弦定理より、a2=b2=e2=f2=1+1−2(/2)=2−
なので、
a=b=e=f=√(2−)
c=d=g=h=i : 明らかに、c=d=g=h=i=
j=k=l=m : 三平方の定理より、j2=k2=4−(2−)=2+
なので、
j=k=l=m=√(2+)
n=o : 明らかに、n=o=2
ここで、頂点Aを除いた他の5点間の線分の長さの積を、Ax と表す。他の Bx、Cx、Dx、
Ex、Fx も同様である。
Ax、Bx、Cx、Dx、Ex、Fx の計算で、使わない辺の長さを、下表の通り「×」で示す。
a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | l | m | n | o | |
Ax | × | × | × | × | × | ||||||||||
Bx | × | × | × | × | × | ||||||||||
Cx | × | × | × | × | × | ||||||||||
Dx | × | × | × | × | × | ||||||||||
Ex | × | × | × | × | × | ||||||||||
Fx | × | × | × | × | × |
このとき、Ax=bcdegjklmo
=√(2−)・
・
・√(2−
)・
・√(2+
)・√(2+
)・√(2+
)・√(2+
)・2
=16(+1)
同様にして、Bx=32 、Cx=16 、Dx=16(−1) 、Ex=16 、Fx=32 となるので、
Ax−Bx+Cx−Dx+Ex−Fx=16(+1)−32+16−16(
−1)+16−32=0
が成り立つ。
このことから、一般の六角形ABCDEFに対しても、「Ax−Bx+Cx−Dx+Ex−Fx=0」が
成り立つことが推察されるが、証明はどうすればいいのだろう?
以下、工事中!