ロール紙の長さ                      戻る

 薄い紙を円柱の芯に巻いたものをロール紙という。トイレットペーパーとかキッチンペーパー
など、日常生活で目にすることは多い。ビデオテープなどもその類に入る。実際目にすること
はないと思われるが、新聞の印刷では、巨大なロール紙が用いられている。

 トイレと言えば、「トイレットペーパー!」と連想ができるほど、トイレットペーパーは各家庭に
普及している。これは、トイレの水洗化と大いに関係している。昭和48年のオイルショック時、
世のお母さんたちはトイレットペーパーの買占めに走ったものだ。

 私的にトイレットペーパーとの付き合いは、大学に入ってから。それまでは、「ちり紙」と言
われる長方形状の紙(材質・感触は、今のトイレットペーパーとは比較にならないくらいゴワ
ゴワ・ザラザラで厚手であった。)を使っていた。

 トイレットペーパー、ちり紙以前にどういうものがトイレで使われていたのか、その歴史を
辿ってみることもおもしろいが、このホームページの性格から大いに逸脱することになるの
で、それは読者の研究にまかせよう。

 トイレットペーパーなど、使い始めの頃はあまり気にしないが、残りがわずかになってくると、
「あと、どれくらい使えるのかな?」と、心配になってくる。そのときは普通事前にもう一個手
許に用意するのだろうが、その心配に答える公式を紹介したい。



   左図のようなロール紙において、2つの同心円の
  間の面積をS、巻かれた紙の厚さをX、芯の半径を
  Yとすると、

    S=π(X+Y)2−πY2=πX(X+2Y)

  が成り立つ。
  (但し、πは円周率を表す。)





  よって、ロール紙の(1枚の)厚さをd、長さ(の総計)をTとすると、次の公式により、Tの
値が求められる。

        T×d=S

例 市販されているトイレットペーパー(ダブル)について、測定の結果、X=3cm、Y=2cm
  であった。また、商品表示から、30mの長さということなので、T=3000cm。

 このとき、S=π・3・7=21π=65.97(cm2)より、d=0.022cm となる。

このdの値から、Xの値を知れば、残りのトイレットペーパーの長さが求められることになる。

 たとえば、最初の厚さの半分になったとき、すなわち、X=1.5(cm)のとき、

    T=π*1.5*5.5/0.022=1178.1(cm)・・・・・約11m80cm

 従って、まだ3分の1残っているので、安心である。

  それでは、X=1(cm)のときは、どうであろうか。

 計算してみると、T=714(cm)・・・・・約7m10cmとなり、これもほぼ安全圏であろう。

  T=5mを危険域とすると、それは、Xの値がいくらのときであろうか。

 計算してみると、X=0.74(cm)ということで、これは、180頁程度の文庫本の厚さ位で
ある。意外に厚いのに驚く。即ち、アッという間になくなるので、トイレに入るときは、要注意
である。

 上記では面積に着目して長さを計算したが、もちろん正攻法で求めても良い。

問題  紙の厚さが0.02cmのトイレットペーパーにおいて、2つの同心円の間の巻かれ
    た紙の厚さが3cm、芯の半径を2cmとするとき、トイレットペーパーの全体の長さを
    求めよ。

(解) 0.02x=3 より、 x=150 なので、

 (4+2・0.02)π+(4+2・0.02・2)π+・・・+(4+2・0.02・150)π

=(600+0.04×150・151/2)π

=1043π ・・・ 約3277cm


 因みに、面積で求めると、

 25π−4π=0.02×T より、 Tは、約3299cm


(コメント) 両者ともだいたい同じ値となったが、ちょっとの差が気にかかる。この差は果た
      してどこから?


(追記) 当HPがいつもお世話になっているHN「ks」さんからのご投稿です。
                                       (平成29年2月7日付け)

 中学の教科書(東京書籍)にあった問題です。トイレットペーパーが、64mの長さあり、円
形部分の直径が11cm、中の空洞部分の直径が4cmです。何回転するでしょうという問題
です。

 紙の厚さも気になりますが、それは記されていません。


 らすかるさんからのコメントです。(平成29年2月7日付け)

 紙の断面積がπ((11/2)^2-(4/2)^2)=105π/4(cm^2) なので、紙の厚さは、

  (105π/4)/6400=21π/5120(cm)

よって、巻き数は、 (11/2-4/2)÷(21π/5120)=2560/(3π)≒272(回転)


 とあるAKBファン(だった)さんからのコメントです。(平成29年2月9日付け)

 ドーナツ型の面積公式を使えば、長さの計測を1回で済ませることができます。真ん中の
穴の接線のうちSに含まれる部分の長さをLとすると、S = πL^2 / 4 。これからTも求めら
れますね。


 ksさんからのコメントです。(平成29年2月10日付け)

 らすかるさん、スマートな解答有り難うございます。実際に、やってみました。

 外直径10.5cm、内直径4cm、長さ31mでけいさんすると、理論値は、135.98回でし
たが、実測は、134回でした。誤差は、空気の厚さかな?因みに、二枚重ねです。


 らすかるさんからのコメントです。(平成29年2月10日付け)

 意外に正確なんですね。もっと誤差が大きくなると思っていました。

# 数えた後は巻き戻したんですか?(笑)


 ksさんからのコメントです。(平成29年2月11日付け)

 長さは、1.8mのテーブルで、裁断し計りました。17回と0.4mで、31mになりました。
誤差が気になり、厳密な計測ではありませんが意外な結果になりました。アバウトな、計測
が理論値に近づいたのかもと思います。因みに、計算間違いが2度あって、結果正解した
解答に出合ったことがあります。