等距離                                  戻る

 平面上に相異なる2点A、Bを与えるとき、それらから等距離にある点の集合として、直
線がただ一つ存在し、その直線は、線分ABの垂直2等分線と言われる。

    

 空間においても同様の問題を考えることが出来る。すなわち、

 空間において相異なる2点A、Bを与えるとき、それらから等距離にある点の集合として、
平面はただ一つ存在する。

 この平面は、線分ABの中点を通り、線分ABに垂直な平面である。

        

 上記では、2点A、Bから等距離にある点の集合としての図形を考えたが、ある図形があ
って、2点A、Bから等距離にあるという条件を考えると、事情は一変し、上記の直線や平
面に限らずにもっと無数の直線や平面が存在することになる。
      (この件で、当HPがいつもお世話になっているらすかるさんからアドバイスを頂きました。

 例えば、平面においては線分ABに平行な直線、空間においては線分ABに平行な平面
がそうである。

 空間において、同一直線上にない3点を考えると、その3点を通る平面はただ1つ存在し、
したがって、それらの3点から等距離にある平面は無数に存在する。この場合、平面の個
数を問うてみても、問題にならない。

 しかし、この視点で、問題を考えることは、あながち無駄ではないだろう。

 そこで、次のような問題を考えることにする。

 空間において、同一平面上にない4点A、B、C、Dを与えるとき、これらの点から

等距離にある平面は幾つ存在するか?


 一見すると難しそうに感じるかもしれないが、

 「同一平面上にない4点A、B、C、Dを与える」ということを、

 「空間において、四面体ABCDが与えられている」と考えれば、解法の糸口が見えて

くることだろう。

 2つの場合が考えられる。

(1) 求める平面の片側に3点、反対側に1点の配置になっている場合

  A−BCD のとき、

    線分AB、線分AC、線分ADの中点を通る平面

   が求める平面で、ただ1つ存在する。

  同様にして、 B−CDA 、C−DAB 、D−ABC

  の場合も各1面ずつ存在する。

  よって、この場合の平面の個数は、4個である。






(2) 求める平面の片側に2点、反対側に2点の配置になっている場合

  AB−CD のとき、

    線分AD、線分BCの中点を結ぶ直線を含み、

   線分AB、CDに平行な平面が求める平面で、

   ただ1つ存在する。

  同様にして、 AC−BD 、AD−BC

  の場合も各1面ずつ存在する。

  よって、この場合の平面の個数は、3個である。



 以上から、求める平面の個数は、 4+3=7(個) である。


 さらに、次のような問題を考える。

 空間において、同一平面上にもなく同一球面上にもない5点A、B、C、D、Eを与え

るとき、これらの点から等距離にある平面または球面は幾つ存在するか?


 答えは、15個だが、十分難しそうに感じますね!

 考え方は上記の問題と同様である。以下の2つの場合が考えられる。

(1) 求める平面(または球面)の片側に4点、反対側に1点の配置になっている場合

  A−BCDE のとき、

   4点B、C、D、E が同一直線上、同一円周上に存在することはないので、4点B、C、

  D、E を通る平面(または球面)がただ一つ存在する。

   このとき、明らかに、この平面(または球面)と点Aから等距離にある平面(または球

  面)がただ一つ存在する。

  同様にして、 B−CDEA 、C−DEAB 、D−EABC 、E−ABCD

  の場合も各1面ずつ存在する。

  よって、この場合の平面(または球面)の個数は、5個である。

(2) 求める平面(または球面)の片側に3点、反対側に2点の配置になっている場合

  AB−CDE のとき、

   明らかに、3点C、D、Eを通る直線(または円)がただ一つ存在する。

   3点C、D、Eが同一直線上にあるとき、上記の問題の(2)と同様にして、5点から等

  距離にある平面がただ1つ存在する。

   3点C、D、Eが同一円周上にあるとき、△CDEの外接円の中心を通る垂線を L とお

  き、線分ABの中点を通り、線分ABに垂直な平面を α とおく。

  (イ) 垂線 L と平面 α が交わる場合、その交点を O とすると、O を中心として、5点

     から等距離にある球面がただ1つ存在する。

  (ロ) 垂線 L と平面 α が平行な場合、2点A、Bは、3点C、D、Eを通る平面から等

     距離にある。このとき、明らかに、5点から等距離にある平面がただ1つ存在する。

  よって、この場合は何れにしても5点から等距離にある平面(または球面)がただ1つ存

  在する。

   5点から2点を選ぶ他の場合も同様である。

  よって、平面(または球面)の個数は、5個から2個取る組合せの数 52=10(個)だけ

 存在する。

 以上から、求める平面(または球面)の個数は、 5+10=15(個) である。


 さらに、想像することが楽しくなるような次の問題を考えよう。

 空間において、4つの平面があり、これらの交線により三角錐が出来るものとする。

このとき、4つの平面のすべてから等距離にある点は最大で幾つ存在するか?


 答えは、8個だが、頭がパニックになりそうですね!



   以下、工事中