弧の長さ                                   
 円における円周の長さの計算と同様に、曲線における曲線の弧の長さの計算も数学では
大切な計算である。このページでは、弧の長さに関する問題をまとめていこうと思う。
 次の東北大学 理系(1979)の問題は、美しい性質を示唆する。
第4問  平面上に、それぞれ y=2((x−2)/3)^(3/2) 、y=−2√x で与えられる曲線
  C、C’がある。C上の点P(a,b)におけるCの接線がC’と交わる点をQとする。
(1) C上の2点A(2,0)とPの間の弧の長さLを求めよ。
(2) 線分PQの長さとLとの差を求めよ。
(解)(1) y’=((x−2)/3)^(1/2) なので、√(1+y’2)=√{(x+1)/3} より、
L=∫2a √{(x+1)/3}dx=(1/ )・(2/3)[(x+1)^(3/2)]2a
)・(2/3)[(x+1)^(3/2)]2a
 =2/(3 )・((a+1)^(3/2)−3
)・((a+1)^(3/2)−3 )=2{(a+1)/3}^(3/2)−2
)=2{(a+1)/3}^(3/2)−2
(2) 点P(a,b)におけるCの接線の方程式は、
 y=((a−2)/3)^(1/2)・(x−a)+2((a−2)/3)^(3/2)
 y=−2√x と連立して、((a−2)/3)^(1/2)・(x−a)+2((a−2)/3)^(3/2)=−2√x
すなわち、
 ((a−2)/3)^(1/2)・x+2√x−(a+4)/3・((a−2)/3)^(1/2)=0
√x に関する2次方程式として、解の公式より、
√x=(−1+√(1+(a+4)/3・(a−2)/3)/((a−2)/3)^(1/2)
 =(−1+√(1+(a2+2a−8)/9))/((a−2)/3)^(1/2)
 =(−1+(a+1)/3))/((a−2)/3)^(1/2)
 =((a−2)/3)^(1/2)
よって、Qの x 座標は、x=(a−2)/3 となるので、y 座標は、−2((a−2)/3)^(1/2)
このとき、
PQ2=(a−(a−2)/3)2+(2((a−2)/3)^(3/2)+2((a−2)/3)^(1/2))2
 =4((a+1)/3)2+4((a+1)/3)2・(a−2)/3
 =4((a+1)/3)3
より、 PQ=2((a+1)/3)3/2 となる。
したがって、線分PQの長さとLとの差は、2 となる。  (終)
(コメント) 計算が上手く出来ていますね!
(追記) 令和7年10月29日付け
 次の東北大学 後期理系(2001)の問題は、懸垂線の長さを計算する問題である。
問題   a>0 に対して、曲線 y=(eax+e-ax)/(2a) (−1≦x≦1) の長さをL(a)とする。
(1) この曲線の概形を描け。
(2) L(a)を求めよ。
(3) L(a)は a の関数として単調増加関数であることを示せ。
(解)(1) y’=(e2ax−1)/(2eax)=0 とおくと、 x=0
 x=0 の前後で、y’の符号は負から正に変わり、x=0 で極小で最小値 1/a をとる。
 曲線の概形は、下図。
  
(2) L(a)=∫-11 √(1+y’2)dx=(1/2)∫-11 (eax+e-ax)dx
 =(1/(2a))[eax−e-ax]-11=(ea−e-a)/a
(3) L’(a)={(ea+e-a)a−(ea−e-a)]/a2 より、
 F(a)=(ea+e-a)a−(ea−e-a) とおく。
 F’(a)=(ea−e-a)a+(ea+e-a)−(ea+e-a)=(ea−e-a)a
 G(a)=ea−e-a とおくと、 G’(a)=ea+e-a>0 から、G(a)は単調に増加する。
 G(0)=0 から、a>0 のとき、 G(a)>0 すなわち、 F’(a)>0
 よって、F(a)は単調に増加し、F(0)=0 から、a>0 のとき、 F(a)>0
すなわち、 L’(a)>0 となる。
 よって、L(a)は a の関数として単調増加関数である。  (終)
  以下、工事中!