本結び                               戻る

 今年(平成15年)は冷夏(9月に入ってから猛暑!)であったが、私自身にとっては熱い夏とな
った。8月6〜8日の3日間、日本赤十字社主催の救急救命法の講習会に参加したからだ。

 講習会の最終日には、久々(?)の試験(学科試験・実技試験)もあるということで、幾ばく
かのプレッシャーを感じつつの3日間となった。

 学科試験の方は、講習会用の教本(164ページ!!)があり、それを覚えればよいのである
が、専門用語とその分量に圧倒された。講習会では、5時間程度の学科講習があり、教本に
則って要点を教わった。ただ、その時間だけでの習得は困難で、家に帰ってからの復習が必
要だった。

 実技講習がメインで、15時間ほど費やした。いろいろな部位における適切な包帯の仕方や
止血法、心肺蘇生法、運搬法などを学習した。このように体系的に教わったおかげで、今ま
で何となくやってきたことの中で、いろいろと不具合な対応をしていたことに気づかせていただ
いた。

 心肺蘇生法の講習には、15時間のうち5時間があてられたが、複合化された手順の中で、
10秒間に15回の心臓マッサージと5秒間に2回の人工呼吸(これが、1サイクルで、4サイ
クルを繰り返す)をしなければならず、とてもハードだった。(正直に告白すると、膝の皮が赤
く腫れ、しばらくして皮が剥けた。)

 講習会が終わって一ヶ月ぐらい経った今でも、心肺蘇生法の際の確認の言葉:

「人が倒れています」
「周囲の状況の観察」・・・「二次事故の危険性なし」
「全身の観察」・・・「大出血等なし」
「意識の確認」・・・「もしもし、大丈夫ですか」・・・「意識なし」
「誰か来て下さい。119番お願いします」
「気道確保」
「呼吸の確認」・・・「呼吸なし」
「人工呼吸」
「循環のサインの確認」・・・「循環のサインなし」
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が頭の中をよぎる。

 講習会からほぼ一ヵ月後、検定試験合格ということで、日本赤十字社から、日本赤十字社
救急法救急員の認定証をいただいたが、実際に事故現場に遭遇した場合、適切に対応がで
きるかどうか、正直なところ、あまり自信がない。特に、心肺蘇生法については、機械相手の
講習で反応が確認できたが、生身の人間に対峙した場合では大いに不安である。

 ただ、もし事故があった場合、その対処の手順をみっちり教わったので、教わっていない人
よりはパニックにならず、冷静に対応ができるのではないかな(?)と思う。

 救急法の講習会で、特に、包帯法が記憶に残る。数学的にも興味があった。

包帯を結ぶとき、必ず、「本結び」で結ぶのが鉄則である。

 本結びは、真結び、堅結び、こま結び、スクエア・ノット、リーフ・ノットともいわれる。

次のような手順で結ぶのが、「本結び」である。

 この「本結び」の特徴は、どんなに固く結んでも、簡単な操作(上の左下図で、黒(赤)矢印を
反対方向にそり返す。)で、容易にほどける点である。それは、「本結び」が、次のような構造
になっているからである。(左下図をトポロジー的に少し変形!)

                 

 赤のこぶを持って、黒は容易に引き抜ける。

 女性は、無意識のうちに「本結び」で結ぶそうである。女性の読者の方、いかがですか?

(参考文献:日本赤十字社 救急法講習教本
        小暮幹雄 著 [用途別]結び方事典 (ナツメ社))