ダイヤル錠を作ろう                        戻る

 子供の頃、不思議だったものに錠前がある。鍵穴が一つあって、その鍵穴にあう鍵でな
いと開かないという点に数学と似た何かしら同じ匂いを感じた。一つの問題に対して、必要
とされる公式というものがあって、違う公式を適用しても解けない。

 もっとも錠前が違う道具を用いて簡単に開けられるように、数学の問題も違う解き方で解
きうるということは少し数学が分かるようになってから気がつくことであろう。

 錠前の中で、南京錠は大体その構造が子供心に予想されるが、ダイヤル錠については、
その構造が今まで予想もつかなかった。「右に3回まわして数字の5にあわせ、左に2回ま
わして数字の7にあわせる、...」というような開け方に、とても神秘さを感じた。

 最近、その構造を知る機会があったので紹介したい。

   

 上手のような鍵の土台があるものとする。これは固定されていて動かない。(真ん中の黒
点は中心)

 この土台の上に、ダイヤルの輪が置かれる。これは、回転する。土台の▼印に数字をあ
わせる。

   

 この輪の出っ張り部分は、これからのせる3枚の輪全てを動かしうる厚さを持っているもの
とする。その3枚の輪は、下記のような形状をしている。それぞれの凹凸の位置は異なる。

      


 上の輪の外側のへこみの部分とダイヤルの輪の出っ張り部分はかみ合っている。

          


            

 3枚の輪の内側のへこみの部分全てと土台の欠けている部分が一致した場合にのみ鍵
は開くものとする。

 このダイヤル錠の大切な点は、輪の外側の出っ張りの部分とダイヤルの輪の出っ張りの
部分が接触した場合のみ一緒に回転するが、接触していないときは回転せず、動かないと
いうところであろう。

 上図を印刷してダイヤル錠を作成し、皆さんも、その原理を体感してみよう。

(実際に作ってみると、ダイヤル錠の原理の素晴らしさに感嘆させられた。因みに上図の
 鍵は、「右に2回まわして、数字の8にあわせ、左にまわして数字の1にあわせれば開け
 られます。)

(参考文献:西山 豊 著 サイエンスの香り 生活の中の数理 (日本評論社))