109 | 令和6年度前期 | 名古屋大学 | 理系 | ・・・ | 確率・積分(数A・V) | やや難 |
名古屋大学 前期理系(2024)
第4問 袋の中にいくつかの赤玉と白玉が入っている。すべての玉に対する赤玉の割合を
p (0≦p≦1)とする。袋から無作為に玉を一つ取り出して袋に戻す試行を行う。試行をn
回行うとき、赤玉をk回以上取り出す確率をF(k)とおく。
(1) n≧2に対して、F(1)とF(2)を求めよ。
(2) k=1、2、・・・、n に対して、等式
を示せ。
(3) 自然数kに対して、定積分
を求めよ。
(解)(1) 題意より、 F(1)=1−(1−p)n 、F(2)=1−(1−p)n−np(1−p)n-1
(2) n≧2のとき、k=1、2、・・・、n−1 に対して、F(k+1)=F(k)−nCk pk(1−p)n-k
そこで、k=1、2、・・・、n に対して、等式
が成り立つことを数学的帰納法で示す。
k=1 のとき、左辺=F(1)=1−(1−p)n
右辺=n∫0p (1−x)n-1dx=[−(1−x)n]0p=1−(1−p)n
よって、k=1のとき、成り立つ。
k=m (m≧1) のとき、成り立つと仮定する。すなわち、
k=m+1 のとき、
F(m+1)
=F(m)−nCm pm(1−p)n-m
=n!/((m−1)!(n−m)!)・([(1/m)xm(1−x)n-m]0p+(n−m)/m∫0p xm(1−x)n-m-1dx)
−n!/(m!(n−m)!) pm(1−p)n-m
=n!/(m!(n−m)!)pm(1−p)n-m+n!/(m!(n−m−1)!)・∫0p xm(1−x)n-m-1dx
−n!/(m!(n−m)!) pm(1−p)n-m
=n!/(m!(n−m−1)!)・∫0p xm(1−x)n-m-1dx
なので、k=m+1 のときも成り立つ。
したがって、n≧2 で、k=1、2、・・・、n に対して、等式
が成り立つ。
ここで、n=1 のとき、k=1 なので、右辺=p 、左辺=F(1)=p となり、等式は、n=1
のときも成り立つ。
(3) (2)で示した等式において、kにk+1、nに2k+1、pに1/2を代入して、
F(k+1)=(2k+1)!/(k!k!)・∫01/2 xk(1−x)kdx
ここで、2k+1回の試行で赤玉がk+1個以上の確率は、
F(k+1)=Σm=k+12k+1 2k+1Cm(1/2)m(1−1/2)2k+1-m=Σm=k+12k+1 2k+1Cm(1/2)2k+1
また、2k+1回の試行で赤玉がk個以下、すなわち、白玉がk+1個以上の確率は、
1−F(k+1)=Σm=k+12k+1 2k+1Cm(1−1/2)m(1/2)2k+1-m=Σm=k+12k+1 2k+1Cm(1/2)2k+1
なので、 F(k+1)=1−F(k+1) から、 F(k+1)=1/2
したがって、 (2k+1)!/(k!k!)・∫01/2 xk(1−x)kdx=1/2 から、
∫01/2 xk(1−x)kdx=(k!)2/{2(2k+1)!}
が成り立つ。 (終)
(コメント) いや〜、難しかったですね!
以下、工事中!