戻る
108 令和6年度前期  名古屋大学   理系 ・・・  ベクトル(数学B)  標準

名古屋大学 前期理系(2024)

第3問 座標空間の3点 A(3,1,3)、B(4,2,2)、C(4,0,1) の定める平面をHとする。
  また、AP=sAB+tAC (s、t は非負の実数) を満たすすべての点Pからなる領域をKと
  する。
(1) 内積 ABABACACABAC を求めよ。
(2) 原点O(0,0,0)から平面Hに下ろした垂線の足をQとする。AQABACで表せ。
(3) 領域K上の点Pに対して、線分QP上の点で AR=rAC (r は非負の実数)を満たす
 点Rが存在することを示せ。
(4) 領域Kにおいて原点Oからの距離が最小となる点Sの座標を求めよ。

(解)(1) AB=(1,1,−1)、AC=(1,−1,−2) より、

 ABAB=1+1+1=3 、ACAC=1+1+4=6 、ABAC=1−1+2=2

(2) AQ=sAB+tAC とおくと、

 OQOAAQ=(s+t+3,s−t+1,−s−2t+3)

 題意より、 OQAB 、OQAC なので、

OQAB=3s+2t+1=0 、OQAC=s+3t−2=0

これを解いて、 t=1、s=−1 なので、 AQ=−ABAC

(3) 点Pは、AP=sAB+tAC (s、t は非負の実数) を満たす。

 点Xを線分QP上の点とすると、 QX=kQP (0≦k≦1) と書ける。

このとき、Xは線分QPを k : 1−k に内分する点なので、AX=(1−k)AQ+kAP

すなわち、

AX=(1−k)(−ABAC)+k(sAB+tAC)=((s+1)k−1)AB+((t−1)k+1)AC

そこで、k=1/(s+1) とおくと、0≦k≦1 を満たし、

 AX=((t−1)/(s+1)+1)AC=(t+s)/(s+1)AC

このとき、r=(t+s)/(s+1) とおくと、r は非負の実数で、AR=rAC を満たす線分QP上

の点Rが存在することを示す。

(4) (2)より、AQBC なので、下図を得る。

  

OP2=OQ2+QR2 で、OQは一定なので、OPが最小となるのは、QPが最小の時である。

Qから直線ACに垂線を下ろし、その足をRとおく。(3)より、AR=rAC を満たす非負の実数

r が存在する。このとき、 QRAC より、 (ARAQ)・AC=0

すなわち、 (rACABAC)・AC=0 より、 6r+2−6=0 を解いて、 r=2/3

 このとき、 AR=(2/3)AC=(2/3,−2/3,−4/3) より、R(11/3,1/3,5/3)で、

RはK上の点である。

 したがって、領域Kにおいて原点Oからの距離が最小となる点Sの座標は、

 S(11/3,1/3,5/3)

である。  (終)



  以下、工事中!